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メーカー首脳18人が語る設備投資の展望、DC・半導体・航空機・造船が需要牽引

投稿日時
2026/09/27 09:00
更新日時
2026/10/08 11:56

工作機械をはじめとする、生産財需要が急拡大している。AIの爆発的な普及がデータセンター(DC)の建設ラッシュを促し、半導体と製造装置、および発電インフラの需要を喚起した。メーカー各社には冷却板や液冷用継手、発電設備などの加工需要が殺到。他に目を向けても航空機、造船業界が活況を呈しており、さらなる成長の芽がある。そこで編集部では生産財メーカーの首脳を計18人、一挙にインタビューした。各社のコメントも交えながら、注目のDC、半導体、航空機、造船市場の最新動向を一挙に読み解く。


DC、半導体、発電の『三つ子需要』


設備産業が活況に沸いている。半年前の記事で記者は「半導体、26年に爆発か」と小見出しを打ったが、今となれば末尾の『か』は不要だった。半導体と製造装置需要は26年に“爆発”。恩恵は工作機械や機械工具など生産財市場へ一気に波及した。工作機械の受注総額(日本工作機械工業会会員ベース)は過去最高の2兆円超えへ高原状態を維持している。

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行き過ぎたAI開発を懸念する声もあるが、こうした事情で急転直下のブレーキでもかからない限り勢いは止まりそうもない。SEMI(国際半導体製造装置材料協会)は7月に世界の半導体製造装置の26年の売上高を過去最高の1659億㌦(前年比23・2%増)と予測。28年には2295億㌦に達すると見込む。需要の源はAIとデータセンター(DC)だ。急速に普及するAIエージェントは演算量を従来のチャットボットとは比べ物にならないほどに押し上げ、GPUを詰め込んだDCの規模と数を全世界で膨張させている。

この過熱市場の中で生産財各社の状況はどう推移しているのか。モノクエ編集部はメーカー首脳ら18人の「リレーインタビュー」を掲載してきた。そこではやはり、半導体とDC需要の活況を伝える声が際立った。

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ニデックはAI サーバーラックを効率的に冷却できるCDUを展開する

コンバムの佐藤穣社長は「大きく変わったのは25年の秋ごろ。半導体関連が一気に動き始めた。後工程装置向けの注文が急激に増えた」と振り返る。シチズンマシナリーの伊奈秀雄社長は「半導体が明確に出てきた。特に中国では、スマートフォン関連の設備投資でも見られたように、実需を上回るのではないかと心配するほど大量の設備投資が行われるケースがある」と話す。静電チャックで半導体製造を支えるクリエイティブテクノロジーの北野隆志社長は「生成AI向けDC投資に牽引され、半導体製造装置向け需要は非常に旺盛」と足元の実感を語った。「(伸びているのは)圧倒的に半導体関連で、直近の受注の4~5割を占める」(聖和精機・泉谷直弥社長)、「(米国は)DCの建設ラッシュに絡んだ需要がある」(AIRMAN・佐藤豪一社長)と、活況を伝える声は多い。

DCの建設ラッシュは継手や冷却板など部品加工需要を喚起するだけに留まらない。DCと電力インフラは“双子”の関係であり、莫大な電力を24時間365日消費するDCは発電インフラを必要とする。芝浦機械の坂元繁友社長は「特に活況なのはDCなどで使われる小型原子力モジュール向けの加工。しばらくは需要が続くとみている」と展望。これが一過性の需要でないことを印象づけた。

水冷方式に備えて次世代継手を提案するメーカーも(26年3月に都内で開かれたData Center Japanで).jpg

水冷方式に備えて次世代継手を提案するメーカーも(26年3月に都内で開かれたData Center Japanで)

本紙取材で半導体関連はおおむね今後2~3年、DC関連はその先も需要が続くとの見方が多かった。ただ需要の急増は歪みを生むかもしれない。クリエイティブテクノロジー北野社長は「肌で感じるのは急成長の裏にある現場の疲弊。世界中で工場の建設が続き、装置が増設されている。現場の技術者が圧倒的に不足している。ここが市場拡大のボトルネックになる可能性がある」と半導体業界のマンパワー不足に懸念を示した。

■航空機・造船が追随

半導体・DCに勝るとも劣らない好況がうかがえたのが航空機だ。民間航空機の受注残が積みあがり、各国の防衛投資も相まって関連需要が急増している。本紙取材で航空機の好調さに触れたのは芝浦機械、津田駒工業、イワシタなど。サンドビック コロマントカンパニー・髙宮真一プレジデントは「今後は航空機の自然増に加え防衛関連も国策の後押しで急速に裾野が広がるだろう」と見通した。

造船では35年に24年比で建造量を倍にする計画のもと、官民1兆円の投資枠組みが動き出している。同分野では芝浦機械やロボットSIerの髙丸工業が好調を語った。EVシフトに揺れ、投資が停滞する国内自動車産業でも「今年に入り引き合いの数自体は戻りつつある」(アサイ産業・眞野清二社長)、「以前より動きが出てきた」(松本機械工業・松本晶久社長)など、薄日が差しつつあるようだ。モビリティの中でも濃淡はあれど、総じて多方面で設備需要が立ち上がっている。

需要が急増すると、懸念されるのが生産や納期面だ。足元で工作機械メーカー各社の受注残は増えており、生産能力を強化した企業も「場所より人がネック」と漏らす。ある工作機械メーカー幹部は「ついに来たかという感じ」と、複数の部材が品薄で納期が延びている状況に懸念を滲ませた。




民需と防衛費増に沸く日本航空機産業

2兆円市場の現状と中小企業への期待


日本の航空機産業は、歴史的な大転換期を迎えている。世界的な旅客需要の急回復を受けた民間航空機の増産、そして防衛予算の増額という双輪が強力な推進力となり、国内の航空機生産額は前年比20%増の2兆2898億円と、初めて2兆円の大台を突破。空前の活況は、三菱重工業や川崎重工業、IHIといった大手プライムメーカーだけでなく、国内の製造業の基盤を支える中小サプライヤーの地殻変動をも促している。

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現状の10台から月産14機体制を目指すボーイング787

日本の航空機産業の牽引役となっているのは、過去最高水準に達している民間航空機のバックオーダーだ。米ボーイングや欧州エアバスの受注残は積み上がっており、国際的なサプライチェーンの一翼を担う日本企業への増産要求はかつてないほど高まっている。

民間向け生産額は前年比18%増の1.6兆円に達した。その中核をなすのが、日本企業が構造部品の約35%を供給する「ボーイング787」プログラムの復調である。川崎重工は月産レートの引き上げに対応すべく生産体制を再整備しており、航空エンジン部品を手掛けるIHIも、旺盛なスペア部品需要やメンテナンス(MRO)需要を背景に、工場稼働率を最高水準に引き上げている。

これに並行して、防衛関連の生産額も前年比26%増の6795億円と驚異的な伸びを記録した。安全保障環境の変化に伴う防衛省の予算増額が本格的に執行され、自衛隊向け装備品の近代化発注が相次いでいるためだ。三菱重工は12式地対艦誘導弾能力向上型などの量産・開発契約を3781億円で受注。川崎重工は陸上自衛隊向けのCH―47輸送ヘリコプター17機を2325億円で一括受注するなど、防衛大手の受注残高は大きく伸長しており、これが国内の製造ラインを長期的かつ安定的に潤す構造が確立されつつある。

印調査会社のモルドール・インテリジェンスによる市場予測によれば、日本の航空宇宙市場は2026年以降も拡大を続け、2031年には160億3000万米㌦(年平均成長率17・19%)に達すると試算されるなど、中長期的な視界も極めて良好だ。

この巨大な成長市場に対し、参入が期待されているのが国内の中小製造業である。単価が高く長期的な需要が見込める航空機部品・エンジン部品分野への参入は自動車関連に代わる新たな「米びつ」となりうる。

しかし、航空機産業への参入障壁は極めて高い。航空機部品の製造には、世界の航空宇宙業界で共通の品質マネジメントシステム規格である「Nadcap(ナドキャップ)」や「JISQ9100」の認証取得が絶対条件となる。数ミクロンの誤差も許されない加工精度に加え、数十年間にわたるトレーサビリティの確保など、厳格な品質管理が求められるからだ。

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川崎重工が受注したCH-47ヘリコプター

こうした課題を克服するため、自治体や公的機関による支援体制も強化されている。例えば東京都中小企業振興公社は、中小企業の認証取得やビジネスマッチングを包括的に支援するプログラムを展開。神戸市や静岡県など、主要なものづくり集積地では中小企業がグループを組んでアライアンスを構築し、大手プライムメーカーからの大口発注を狙う共同戦略が成果を上げ始めている。

民間機向けか防衛向けかによって異なる厳しい契約・情報保全ルールに対応するため、専門のコーディネーターを配する自治体も増えており、中小企業の参入障壁は以前に比べて格段に下がっている。

■先端分野で問われる技術力

現在の航空機産業における最大の技術潮流は、脱炭素化とデジタル技術による製造最適化の二点に集約される。

航空業界は2050年までの温室効果ガス排出実質ゼロを掲げており、機体の軽量化と次世代燃料への対応が急務となっている。政府は2035年以降の社会実装を見据え、官民で今後10年間に約4兆円を投じる次世代国産機の開発計画を打ち出した。ここでは、水素燃料電池やサステナブル航空燃料(SAF)に対応したエンジン技術、そして電動垂直離着陸機、いわゆる「空飛ぶクルマ」の技術開発が焦点となっている。

これに伴い、部品レベルでもチタン合金やニッケル基合金といった難削材の超精密加工や炭素繊維強化プラスチック(CFRP)に代わる新素材の成形技術への要求が高まっている。

センサー技術の分野では、機体の健全性をリアルタイムで監視する半導体ひずみゲージなどの高度なセンシングソリューションの導入が進んでおり、過酷な高温・高圧環境に耐える次世代パワー半導体材料を用いたコンポーネント開発が新たな成長領域として注目されている。

急激な増産圧力の一方で、深刻なのは製造現場における人手不足と熟練技術者の高齢化だ。航空機部品の製造は、自動車のような大量生産とは異なり、多品種少量生産かつ手作業の工程が多く残る。この課題を解決するため、現場では高度な自動化への投資が不可欠となりつつある。

生産額2兆円を突破した日本の航空機産業は、単なる一時的な特需に沸いているわけではない。自動車産業の構造変化を受け止める新たな受け皿として、また次世代の最先端技術を育むインキュベーターとして、日本経済における重要性を急速に増している。

世界の空を飛ぶ民間機の信頼性を支える中小企業の高い技術力と、防衛予算の増額に伴う国内基盤の強化、そして脱炭素時代を見据えた技術革新にどこまで対応できるか。ニッポンのモノづくりの真価が試されている。




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(日本物流新聞2026年9月25日号掲載)