1. トップページ
  2. インタビュー
  3. 安田工業 社長 安田 拓人 氏 精度と安定性は自動化と好相性

インタビュー

安田工業 社長 安田 拓人 氏 
精度と安定性は自動化と好相性

投稿日時
2026/09/10 09:00
更新日時
2026/09/10 15:32

徹底した高精度・高耐久の工作機械で国内外のモノづくり現場から高い信頼を寄せられる安田工業。足元では海外売上比率が7割に達し、前年比20〜25%増と好調な受注を維持する。中国での精密金型やロボット減速機向けをはじめ、世界的な半導体・航空宇宙関連の需要を取り込み、躍進を続ける同社。多面パレットを搭載した5軸マシニングセンタ「PX30i」を通じた部品加工の自動化提案や、市場の現況について安田拓人社長に聞いた。

――足元の業況やグローバル市場の動向はいかがですか。

「全体的に好調で、受注状況は前年同期比で20〜25%ほど伸びています。特に中国市場が堅調に推移し、全体を牽引しています。国内はもう一つですが、北米は昨年の関税問題による一時的な落ち込みから回復傾向にあり、欧州も比較的良好。世界共通で半導体関連と防衛を含む航空宇宙産業の引き合いが強く、国内でもこの2分野が動いています。中国ではスマホ等の精密金型や容器向け金型の加工需要が継続して高く、このほか半導体関連やロボット減速機向けも力強い引き合いをいただいています。一方でEV向けは以前の勢いはないものの、自動車向け部品加工では今も動きがあります」

――需要増に伴い生産面での対応も重要になりますね。

「受注の拡大に伴ってリードタイムがかかってきているのは事実です。しかし人員の補強に加え、設備導入や敷地・スペースの確保を計画的に進め、生産能力を高めている最中です。当社は2029年に創業100周年を迎えますが、現在の投資はその節目に向けてというわけではなく、純粋に旺盛なグローバル需要に対応するため。ですが社員一丸となってさらに伸びていこうという意識は一段と高まっており、需要増へ確実に供給できる体制づくりを進めています」

――注力分野として「部品加工」や「5軸化」を挙げられています。主力機種は。

「もともと金型加工分野で強みを発揮してきましたが、いま改めて部品加工用の機械にも力を入れています。航空宇宙や半導体製造装置、そして金型も含めて機械の5軸化の機運が世界的に高まっています。その流れを汲み、特に推しているのは高精度加工と多面パレットによる自動化が可能な5軸MC『PX30ⅰ』です。多面パレットセル(標準33パレット)を融合させたモデルで、多品種少量の高精度部品加工を長時間、無人で自動運転させることに特化しています。5軸加工は複雑形状の一発加工や工程集約ができる反面、機械構造上、精度を維持するのが難しくなります。当社の強みである高い機体安定性と多面パレットの組み合わせによる『高精度な部品加工の自動化』を提案します」

■熟練工の「気遣い」を機械に宿す

――グローバルで高い認知度と信頼をお持ちですが、選ばれるマシンとしてどういう強みや他にはない提案力があるとお考えですか。

「我々は高精度加工をターゲットとして機械作りをしてきました。超高精度な加工ができるのはもちろんですが、同時に『精度の安定性(ばらつきの少なさ)』が非常に高いという強みがあります。かつては熟練工が機械の特性や環境変化に気を配りながら精度を出していましたが、熟練のオペレーターが不足する中、我々の機械ならばその『気遣い』を機械側がカバーし、精度の確保が可能です。この安定性は自動化とも相性がとてもいい。24時間、あるいは週に7日間連続で自動運転をさせても、機械が自動的に安定した精度で加工を続けられます。極限の超高精度を狙う場合でなくても、公差内で確実に、安定して製品を作り続ける。その自動化・無人化での安定的な連続稼働に強みがあるため、お客様に選ばれていると捉えています」

「精密金型の微細加工などは加工時間が何十時間にも及びます。長時間の加工においても、機械の初期精度と安定性が最終的な加工精度に直結するため、当社の機械が大きな効果を発揮します」

――来月に控えるJIMTOFで提案するテーマを先駆けて教えてください。

「『PX30i』と、微細金型加工機『YMC650』の2機種を出展予定です。高精度加工の実力を示すだけでなく『6つのソリューション』をテーマとして掲げ、工程集約や長時間稼働で現場のオペレーターが何に困っているのか、熟練工不足をどう解決するのかという視点から、課題解決の道筋を提示したいと考えています」

――今後の見通しと目標について聞かせてください。

「半導体関連や航空機の旺盛な需要は今後、数年は続くでしょう。また、現状は中国が非常に好調ですが、特定の地域に依存しすぎるのはリスクでもある。北米や欧州での販売比率をさらに伸ばすために、現地でのテスト加工などにスピーディーに応えられるサポート体制の構築に力を入れています」

「『超高精度加工』の軸をぶらさずに、多様化するユーザーニーズに応える機械づくりを続けていくこと。熟練工が手作業で行っていた機内測定や補正を機械自身で自動化し、経験の浅いオペレーターでも簡単かつ確実に高精度加工が行えるMCを実現していきます」

安田工業_PX30影有り.jpg

部品加工向けの大容量ATCとAPCを標準搭載した5軸MC「PX30i」




高精度加工という高成長の芽


安田社長は、高精度化のニーズは今後さらに増えると見る。「例えば半導体関連だけでも、さらなる高効率ポンプの開発、精密位置決めステージなどの精度要求が上がり、1㍈以下の世界を狙う加工が確実に増えていく。加工の難易度が上がるほど、うちの機械が活躍する領域が増える」と期待をあらわす。