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インタビュー

岡本工作機械製作所 社長 伊藤 暁 氏 
半導体海外シェア拡大へ

投稿日時
2026/09/09 16:28
更新日時
2026/09/09 16:31

技術とヒトで世界を攻める

本年7月、新たに岡本工作機械製作所のトップに就任した伊藤曉社長。これまで技術開発本部長、営業本部長を兼任し同社を牽引してきた同氏が、経営の柱として掲げるのは、「技術革新」「グローバル」「ヒト」の三つ。ヒトの力を引き出し、技術力をさらに高めることで成長へのアクセルを踏み込む構えだ。

――社長就任から2カ月、現在の率直な感想は。

「それなりの歴史がある会社を任せていただいたので、責任の重さは痛感しています。ただ、プレッシャーよりも、これからどんな会社を、どんな未来を作れるかという方にワクワクしているというのが率直な気持ちです。これは以前から感じていたことですが、当社には非常に優秀な人材が揃っていると改めて実感しました。この強いメンバーを中心に、しっかりと強く打って出たいと思っています」

――直近の受注状況は。

「日工会の受注額は右肩上がりで推移しており、当社の月次受注も増加傾向にあります。ただ、業界全体の動きに対して当社の研削盤は2、3カ月遅れて追随する傾向があり、今はその効果もあってかなり状況は良くなっています。海外比率は、日工会全体では7割程度に上るのに対し、当社は6割程度。国内は付加価値が高い機種が売れています」

――旺盛な需要に対して供給の不安は。

「そこへの備えはすでに対策済みです。タイ、シンガポールはアジアの生産拠点ですが、世界の受注が落ち込むと現地の人員が余剰になりかねません。過去にはそれを避けるため定期採用を一時的に抑える調整をしてきました。現在は現地の状況を熟知した人材が本社に戻り、さまざまな経験を踏まえて人員のバックアップを取っていますので、急に生産量が増えても大きな問題はないと考えています」

――現在の生産体制とグローバルでの受注状況は。

「生産は住み分けをしています。日本では高付加価値の機種や超大型機を、それ以外の汎用的なNC機や標準機はタイとシンガポールで生産しています。海外では特に北米と中国の販売が好調で、合わせると海外受注全体の5割を超えます。またインドも急激に伸びてきています」

――中期経営計画の進捗は。

「半導体やEV向けの化合物半導体の市場立ち上がりが想定より遅れた影響を受けましたが、今期目標である売上500億円、営業利益30億円は計画通り進捗しています。中期目標の売上高700億円についても変更せず、来年度、再来年度で積み上げていきたいと考えています」

――目標達成に向けカギとなるのは。

「日本市場は今後伸びる余地は限られるため、国内は新技術・新商品の開発拠点と位置づけ、成果をアメリカ、中国、インドへ横展開していく方針です。特に次世代半導体材料向けでは、当初はEV向けのSiC(炭化ケイ素)関連の需要立ち上がりを見込んでいましたが、実際にはデータセンター向けの先端パッケージ関連の半導体製造装置の需要が先に立ち上がりそうです。そちらの開発を優先し、前倒しで展開しようとしています。設計人員の増強や、九州の協力会社を活用した生産体制の拡充も進めています」

■代理店との連携深化目指す

――半導体分野で工作機械メーカーとして持つ強みは。

「半導体の加工は化学的な要素と力学的な要素が混じり合う領域です。当社の砥粒加工は砥粒というメディアを使うため、ハード面の構造をそのまま生かせるのが強みです。精度を維持するための機械の作り込みは一朝一夕にはまねできない蓄積があり、これが大きなアドバンテージになっていると思います」

――経営基盤を強化するために注力する点は。

「間違いなく人材育成です。当社の製品はすでに世界で通用する水準にありますが、今後は世界でどう売り、サービス拡充していくかが課題です。適材適所の人材登用や、特定の地域で成功した人材を別の拠点に横展開する取り組みを進めています。海外人材の定着には、働く環境や、活躍に見合った処遇を含め、魅力ある会社であり続けることが欠かせないと考えています」

――海外での販売体制について。

「国内は代理店と密に連携できており、ユーザーの要求が的確に伝わってきます。一方、海外では総代理店に任せきりになりがちで、そうした連携が難しいのが実情です。今後は日系企業に限らず現地の商社の開拓も進め、サービス体制を含めて拡充したいと考えています。単に販売を代行してもらうだけでなく、代理店に情報や開発の起点になってもらい、共同でプロジェクトを進める体制を構築していきたいですね」

――JIMTOF2026の見どころは。

「会場が縮小される中、明確なコンセプトを打ち出すことが重要になります。当社は『ものづくり現場における省エネ・省人化・省力化の技術を駆使した最適化ソリューション』をコンセプトに掲げています。展示する機種に限らず、どの機械でも自動化提案ができる点をしっかり伝えていきたいと考えています」

――今後の抱負を一言。

「先代までが築いてきた『世界唯一の総合研削盤メーカーとしてグローバルナンバーワンを目指す』という方針は変えません。技術革新への継続投資、グローバル市場での存在感強化、そして人を中心とした経営という3つの柱を軸に、社員が生き生きと活躍できる会社を創っていきたいです」

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JIMTOF2026では新機種「PSG84CA-iQ」を中心に研削加工の自動化、省人化を提案する




インド市場攻略、上位レイヤーに照準


平面研削盤分野において世界トップクラスのシェアを持つ同社。だが、成長著しいインド市場について伊藤社長は「高シェアを狙う戦略ではなく、インド製造業の中でもピラミッドの頂点にある企業がターゲット。それだけでも市場規模はかなり大きい。iPhoneの製造が中国からインドへシフトしていったことからも分かるように、良いモノを作るためには良い工作機械を使わなければならないということを理解している顧客を攻めていきたい」と力を込める。



(日本物流新聞2026年9月10日号掲載)