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インタビュー

クリエイティブテクノロジー 社長 北野 隆志 氏 
半導体以外のFA市場広げる

投稿日時
2026/10/02 10:10
更新日時
2026/10/02 10:14

AI特需に沸く半導体産業。その急成長を足元で支えるのが静電チャックメーカーのクリエイティブテクノロジーだ。ファインセラミックスなどいわゆる難削材に対する高い加工技術を原点に、1990年代半ばの黎明期から静電チャックを最前線で手掛けてきた。本年4月の新体制移行とともに、長年培ってきた静電技術の次なる領域への昇華を目指す。代表取締役 CEOに就任した北野隆志氏に聞いた。

――本年4月に代表取締役 CEOに就任されました。北野CEOは弁護士でもある異色のバックグラウンドをお持ちです。

「企業法務を中心に手掛けてきた経緯もあり、当社とは顧問弁護士として関わるようになりました。数年前から役員として経営全般も見るようになり、本年4月にバトンを引き継ぐことになりました。当然、社内には私よりも静電チャックや半導体業界に通じた人材が多数います。しかし、次の柱を作っていくためにも、異分野で培った知識や客観的な視点が必要だと辰己良昭会長(前社長)が判断されたのだと思います。実際、内示をいただいた際は、『この会社が持つ可能性やポテンシャルを活かして、自由な発想で新しい会社を作っていってほしい』、そう背中を押されました」

――半導体関連市場の現況について教えてください。

「生成AI向けのデータセンター投資などに牽引され、半導体製造装置向けの需要は非常に旺盛です。静電チャックへの引き合いも同様の状況となっています。ただ、当社が肌で感じているのは、その急成長の裏にある現場の疲弊です。世界中で工場の建設が続き、装置が増設されていますが、それを動かし保守・メンテナンスする現場の技術者が圧倒的に不足しています。ここが、市場拡大のボトルネックになる可能性があると考えています」

――保守・メンテにも貴社の静電チャックが活躍する。

「必ずしも静電チャックを使用するわけではありません。半導体製造装置のチャンバー内壁には、生産に付随して付着物が堆積するため定期的な清掃や部品交換が不可欠です。これまでは防護具を着けた作業者が、狭いチャンバー内に身を乗り出してスポンジなどでゴシゴシと磨いてきました。しかし、こうした作業は人手不足に加えて、保守作業は極めて高い精度を求められます。手作業ではどれほど熟練した方でもばらつきが出てしまう。人には出せない高い再現性にも価値があると思い、ここを当社はロボット化したいと考えています。既にポリッシュロボットなどは一部で評価・実証が進んでいます」

――ロボットも手掛ける。

「静電チャックを応用し、静電吸着式のロボットハンドを開発しています。そこで培ったエンジニアリング力を半導体分野にも適用していきたいと考えています。また、当社は20年以上前から静電チャックの再生事業に取り組んできました。世界中の工場で使われた静電チャックをお預かりして新品同様に修理・再生する事業で、『装置内でどんなトラブルが起きているか』『どのようなメンテナンスが行われているか』を長年現物で見続けてきました。『半導体現場の深いノウハウ』と『お客様との信頼関係』という蓄積は、他社にない財産だと思っています」

■FAでも活用広がる

――半導体以外の領域に関しても教えてください。

「前述の通り、メンテナンスロボットの技術的背景となったのが、静電チャックなどの搬送ツールと協働ロボットを掛け合わせたFA(ファクトリーオートメーション)事業です。樹脂製静電チャックを軸に、従来のエア式では保持できなかった通気性の高い布や穴の開いた素材、薄くて柔らかいフィルムなどの搬送自動化に貢献しています」

――具体的な活用領域は。

「本当に多様です。例えば、航空宇宙や船舶でのCFRP(炭素繊維強化プラスチック)部品をはじめ、自動車のシート材、リチウムイオン電池の電極箔などの搬送で、日々その活用の幅は広がっています」

――搬送物はシート材に限定されるのでしょうか。

「曲面や立体ワークには、形状追従可能な『ジャミングチャック』を用意しています。粉体が入った袋の空気を抜くと形状に沿って固まる『ジャミング現象』と、柔軟性のある樹脂製静電チャックを組み合わせたもので、立体物の搬送も可能です。例えば射出成形機の部品取り出し工程では、従来何百種類も必要だった着脱治具を、わずか2~3種類のハンドに集約できる可能性があり、導入検討が進んでいます」

――今後のビジョンをお聞かせください。

「旧社名『創造科学』が示す通り、私たちの使命は『科学の力で創造性あふれるもの創りをし、社会に価値を提供する』ことです。1985年の難削材加工から始まり、静電チャックの量産・再生、そしてロボティクスなど応用製品へ、ジャンルを超えて挑戦を繰り返してきました。2035年に『科学の力で新しいものを創り続けた50年だった』と言えるよう、人、技術、アイディアを自由につなげてイノベーションの連鎖を起こしていきます」

差し替えポリッシュロボット×ネジ締めロボット.jpg

半導体製造装置向けに開発を進めるポリッシュロボット(左)とネジ締めロボット


清掃分野でも静電気が活躍


静電気の力が活躍するのは搬送工程だけではない。同社が活用を広げるのが清掃分野だ。 静音型クリーナー「ESCLEAN」は、モーターファンや排気風を一切使わず静電吸着の原理でホコリを捕集する。風を立てないため微細な粒子を舞い上げず、高いクリーン度が求められるクリーンルームなどに最適だ。さらに、ほぼ無音という特長を生かし、音や風を出せない夜間の一般家庭や医療現場へも新しい清掃スタイルを提案している。






執筆:モノクエ編集部
本記事は、創刊70年超のモノづくり専門紙「日本物流新聞」の編集部が制作しています。製造業に精通した専門記者が、現場取材に基づいた正確で鮮度の高い情報をお届けします。


(日本物流新聞2026年9月25日号掲載)