インタビュー
津田駒工業 常務 大河 哲史 氏
AWCと測定用円テーブルをJIMTOF2026で披露
- 投稿日時
- 2026/09/29 14:30
- 更新日時
- 2026/09/29 14:34
津田駒工業はJIMTOF2026で、従来の切削向けマシンバイスやNC円テーブルといった既存事業の枠を超えた新製品・新技術を発表する。複数の駆動技術と柔軟な開発力をバックボーンに、マシンバイス・NC円テーブルに続く「第3の柱」の創出を加速させる考えだ。工作機械関連事業を統括する大河哲史常務執行役員に、オートワークチェンジャー(AWC)や測定用薄型円テーブルなど、新製品の動向と足元の受注環境を聞いた。

――マシンバイス・NC円テーブルに続く“第3の柱”創出に向け製品開発を加速されています。JIMTOFにも初めて発売するAWCなど意欲的な出品を予定されているそうですね。
「人手不足の深刻化で、少しでも機械の稼働を延ばしたい切実なニーズがあります。大型ワークチェンジャーはすでに各社が手がけていますが、我々はそれとは一線を画し、手軽に導入できる仕様を目指しました。MECT2025に試作機を出した際、手応えを得た一方で『9パレットでは少ない』という声も頂いた。そこで内製スカラロボットを搭載し、省スペースのまま30パレットに拡張性を高めました。3軸マシニングセンタ(MC)にNC傾斜円テーブルを付加する従来の工程集約提案にオンすることで、自動化まで一括対応できるのが強みです。披露する仕様はあくまでベース。ユーザーの声でさらに機能を強化する予定です」
――第3の柱という観点で、昨年発売した小型加工機の反響は。
「100V電源で稼働し、どこでも持ち運べる手軽さや低価格が評価され、実績が少しずつ増えています。特に積層造形の後加工など狙い通りの需要を捉え始めていますね。小型MCと競合しない絶妙なゾーンを狙った開発が実を結びつつあります。今展は村谷機械製作所様の金属積層造形装置、ジェービーエムエンジニアリング様のCAMと連携します。また、ミツトヨ様とのコラボで三次元測定機専用のφ800大型円テーブルも開発しました」
――切削用途とは異なる領域ですが、背景は。
「航空機分野が勢いづき、エンジンブレードなど丸物ワークが大型化しています。大型テーブルの問い合わせに関しては、従来は切削用円テーブルを提案していましたが、Z方向の厚みがネックとなり、NC円テーブルの取付やワーク寸法に制限が出るなどの支障がありました。そこでダイレクトドライブ(DD)モーターを採用して薄型化し、加えて測定器の設置環境に配慮し油圧を使わない仕様にしました。提案先にも高く評価されています。将来的に難削材加工など測定以外の領域への横展開も見込んでいます」
――切削用NC円テーブルでも新しい取り組みはありますか。
「今展ではユニットを自由に組み合わせられる『ブロックビルド型』のNC円テーブルをお見せします。EV化に伴い被削材が多様化しました。ギガキャストはその最たる例で、軽切削なのに巨大なワークになるわけです。この場合に標準品ではオーバースペックになりがち。とはいえカスタムは納期と費用がかかり、市場スピードに対応できません。ならばユニットを組み合わせ、『軽くて設計負荷の低い』NC円テーブルをすぐ作れないかと」
――貴社はウォームギヤ、ボールドライブ、DDモーターという3つの駆動方式を展開されています。その強みが活きるわけですね。
「まさにそこが最大の持ち味です。ウォームギヤは高剛性、DDは高回転、ボールドライブはその中間というように、駆動方式にはそれぞれ一長一短があります。当社の技術を生かし、回転軸、傾斜軸、サポートといった複数のユニットを組み合わせることで、その加工に最適なテーブルを短納期で提案できます。保守の面でもユニット式の利点は大きいです」
■今は切粉が出ている
――足元の受注環境はいかがですか。
「全体的に好調です。航空機向けで1000㍉以上の大形のNC円テーブルが伸びています。地域別では北米や中国が好調です。北米はティア2など裾野まで投資が降りてきており、40番MC用のNC円テーブルが売れています。中国は自動車のほか、風力や人型ロボットの部品加工も活況です。昔から『マシンバイスとチャックは景気のバロメーター』と言われてきました。今は国内でも当社のマシンバイスの売上が伸びている。つまり工場で切粉が出ている証拠です。インドも自動車、二輪、エネルギー関連など押し並べて活況ですね」
――全般に需要が旺盛だと生産対応が大変では。
「そこが今一番のネックですね。とはいえ市場が停滞した時期に比べれば贅沢な悩みです。今回発売するAWCもまずは自社で導入し、生産効率をあげられないか検討しています。ブロックビルド方式によるリードタイムの短縮効果にも期待しています。生産が忙しくとも開発ペースは緩めません。今後も意欲的に新製品を投入します」

開発した測定用NC円テーブル
小型加工機、着実に
昨年本格発売した小型加工機「TSUDAKOMA i-CUBE」。高さ1761㎜、フロア面積はテーブルサイズ250㎜角仕様で1129×899㎜とコンパクトで、100V稼働のため使用場所を選ばない点が特長だ。同機が足元で着実に実績を増やしているという。主な用途は積層造形の後加工やバリ取りなど。大河氏は「小型MCと競合しない線を当初から狙っていた。類似機はほぼ海外製で高価。導入しやすい我々の機械が選ばれている」とする。
執筆:モノクエ編集部
本記事は、創刊70年超のモノづくり専門紙「日本物流新聞」の編集部が制作しています。製造業に精通した専門記者が、現場取材に基づいた正確で鮮度の高い情報をお届けします。
(日本物流新聞2026年9月25日号掲載)