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インタビュー

KUKA Japan マネージングディレクター 秋山 和彦 氏 
高付加価値の自動化で日本市場攻略

投稿日時
2026/09/30 09:38
更新日時
2026/09/30 09:42

KUKAはドイツ・アウクスブルクに本社を置く世界有数の産業用ロボット・自動化メーカー。近年M&Aを重ねて提案の幅を増やし、2016年には美的集団(Midea)傘下となり、中国市場へのアクセスと成長投資を確保した。日本でのビジネスは順調なのだろうか。大手総合商社から転職し、今年6月に、日本法人KUKA Japan(2007年設立)のトップに就いた秋山和彦氏に聞いた。

――貴社の強みは。

「当社最大の強みは、ロボット単体のみならず、製造自動化ソリューションをワンストップで提供できることです。グループ全体で『One KUKA』戦略を推進しており、産業用ロボット・協働ロボット・スカラロボット・AMRに加え、Swisslogの自動倉庫・物流自動化、Visual Componentsのデジタルツイン・3Dシミュレーションまで含めた提案が可能です。お客様は、設備導入前にシミュレーションや効果検証を行い、その後の運用・保守点検まで含めて一気通貫で支援を受けることができます」

――トピックはありますか。

「今年の10月に次世代ロボットオペレーティングシステム『iiQKA・OS2 9・3』『KR C5︱2』をリリースします。最新の安全規格やサイバーセキュリティ規格への対応も大きな特徴で、国際的な安全規格IECのSL2認証をロボットメーカーとして初めて取得しました。2027年12月に施行される欧州CRA(サイバーレジリエンス法)にも対応しています」

――日本の企業はどちらかというと保守的で、いずれロボットを使いたいけれどもう少し先とおっしゃる方が多いのでは。

「日本市場においては、人手不足の深刻化や生産性向上ニーズを背景に、自動化投資への関心は引き続き高いと感じています。当社が重点業界としている自動車・一般製造業に加え、半導体・電子部品・物流分野でも需要拡大を実感しています。政府・自治体からの補助金や税制優遇を活用し、初期投資を抑えながら設備導入を行う中小企業も増えており、以前よりハードルが下がっている印象を持っています」

――大手および中堅のロボットメーカーが多数あり、日本市場は厳しいと想像できます。

「日本企業は品質・安全性・安定稼働を非常に重視されますが、KUKAは高剛性、高精度、高信頼性という強みを評価いただいており、全国各地にKUKAブランドを支持してくださるお客様が多数いらっしゃいます。最近では『工程全体の自動化』や『工場全体最適化』を検討されるお客様が増えており、ロボットとAMRを組み合わせた自動化への引き合いも増えています。熾烈な競争にさらされている業界であることは否定できませんが、市場環境は総じて前向きであり、自動化・省人化需要は中長期的に拡大していくと考えています」

――貴社は世界4大メーカーの1社です。

 「ありがたい評価でありますが、常にお客様から選ばれる存在であり続けること、お客様の課題解決にどれだけ貢献できるかが重要だと考えています。一方で、市場には優れた競合も多く、日々切磋琢磨しているという認識です。市場環境は非常に競争が激しく、常に技術革新とお客様価値の向上に取り組み続ける必要があると考えています」

――日本での販売目標はありますか。

「日本市場はKUKAにとって非常に重要な戦略市場です。具体的な数値目標については公表していませんが、ロボット、AMR、物流自動化、デジタルツイン、IoT分析などを組み合わせ、付加価値の高い自動化ソリューションを提供することが目標です。世界最先端の技術と日本市場に密着したサポートを組み合わせ、長期的なパートナーとして成長を支援していきたいと考えています」

■欧米の2規格に適合するAMR

――いち押し製品は。

「AMRです。KUKAのAMRは安全性と搬送能力の両立が大きな特長です。日本市場における主力製品であるKMP Pシリーズには、UL/CE/FCCといった国際認証、周囲360度を常時監視するレーザースキャナーと3Dカメラなど、人と共存する現場で安全に稼働するための標準装備がされています。その他、クリーンルーム対応モデル・高可搬モデル・フォークリフトタイプなど豊富なラインナップを揃えています」

――期待する需要業種は。

「足元では、自動車・半導体・建機・農機業界などからの需要が大半を占めていますが、今後は、食品・医薬品・物流センターなど幅広い業界への需要拡大を期待しています」

――課題はありますか。

「日本市場では、自動化ニーズは高い一方で、設備投資に対する投資対効果の可視化や導入後の運用人材不足が課題になっています。また、多くの企業が部分最適から全体最適への移行を進める段階にあり、ロボット単体では十分な成果を得られないケースもあります。当社はロボット販売中心のビジネスから、ソリューション提案型ビジネスへの転換を進めており、お客様の課題全体を解決することを目指しています」

16面リレーインタビュー・KUKA秋山和彦マネージングディレクターP2(AMR-2).jpg

主力のAMR「KMP Pシリーズ」


技術とスピード


ドイツのロボット技術と中国のスピード。その2つを併せもつのがKUKAと言っていいだろう。同社には中国の資本が入り、同時に中国の工場も手に入れた。培ってきた技術に生産効率が加わり、中国流のスピード感も手にしたようだ。日本法人としてもグループ横断でソリューションを提供するOne KUKAを掲げ、「日本流のきめ細やかなサービスを合わせて、世界水準のサービスを提供できることが売りになっている」と話す。




執筆:モノクエ編集部
本記事は、創刊70年超のモノづくり専門紙「日本物流新聞」の編集部が制作しています。製造業に精通した専門記者が、現場取材に基づいた正確で鮮度の高い情報をお届けします。



(日本物流新聞2026年9月25日号掲載)