インタビュー
AIRMAN 社長 佐藤 豪一 氏
好調の米国で本格生産へ
- 投稿日時
- 2026/09/30 09:27
- 更新日時
- 2026/09/30 09:30
エンジンコンプレッサー国内最大手のAIRMAN。中国、米国での生産を強化する一方、バイオディーゼル燃料や水素を利用する製品の開発にも力を入れる。北越工業からの社名変更(昨年4月)も相まって同社は環境対応製品を手がけるグローバルカンパニーのイメージがついてきた。

新潟と東京を行き来し、工場にもよく顔を出すという佐藤豪一社長
――貴社の強みは。
「当社製品はエンジンコンプレッサー、エンジン発電機、モーターコンプレッサー、そして高所作業車の4本柱で構成されています。いずれも高品質と耐久性、信頼性を強みにしています。現在、米国での売上は好調で、この要因としては米国の大手レンタル会社との取引きが拡大し、エンジンコンプレッサーやエンジン発電機を大量に購入していただけていることが大きいです。もとより米国景気がいいことも追い風になっています」
――貴社は第1四半期で過去最高の売上高と利益を記録されました。
「たしかに見込み以上の数字になりましたが、外部からは見込みが弱腰すぎないかとの指摘もあります。世界的に不透明感が強まる中で、戦争が各地で起こり、石油が入手しずらい状況で予想を立てたということを考慮していただけたらと思います」
――米国景気は全体としてよいですか。
「そうですね。データセンターの建設ラッシュに絡んだ需要もありますし、2028年ロサンゼルスオリンピックも控えています。これらに限らず様々なインフラ需要により多くの工事が進められていて、当社製品はそのような工事現場で使われています」
――日本国内はいかがですか。
「国内は少し低迷傾向が見えてきています。建築需要は引き続きあるのですが、人手不足や材料費高騰により工事計画が遅れており、今まで好調であった高所作業車も需要が低迷してきています。ただ、当社の高所作業車は自走式の垂直昇降型で、お客様のニーズに応えた使い勝手のよい機能を備えているため、国内販売で6割ほどのシェアを維持しています」
――最近のトピックはありますか。
「新たにコールドチェーン業界に進出しました。伊藤忠メタルズ様と協業し、リーファーコンテナ(冷凍コンテナ)専用の発電機を開発しました。国内はそれほど大きな市場ではありませんが、昨年から国内での販売を始め、より大きな海外市場にも展開したいと考えています」
■環境対応製品を強化
――貴社のいち押し製品は。
「先ほどの4本柱の製品すべてがいち押しです(笑)。エンジンコンプレッサー、エンジン発電機は世界中で使われていて、高圧のコンプレッサーは標高の高い鉱山などでも使われます。高いところは酸素が少なく、気温も低いので始動しにくいのですが、当社製品はそんな過酷な環境でも問題なく始動します。イニシャルコストだけを気にすると割高に感じるお客様もいらっしゃいますが、機械が壊れると何百キロと離れたところからメンテナンス部隊を呼ぶのにイニシャル以上のコストがかかることがあるため、壊れにくいことが評価されています」
「いち押し製品を2つに絞ると、まずは今年発売したエンジンコンプレッサー『PDSG750LVRD』があります。排出するドレンには油分が混じるため、通常はそのまま排出することはできません。しかし、オプション設定予定のドレン処理装置により法令上排水可能なレベルまで油分を除去するため、そのまま排水することができます(一部自治体を除く)。お客様に手間がかからず、環境にも優しい製品です。もう1つは廃食油から生成するバイオディーゼル燃料で動く発電機で、今秋から量産予定です」
――バイオディーゼル燃料発電機は近未来を感じる製品です。どんな用途を想定されていますか。
「様々な業界で使っていただきたいと考えています。電気は用途が広いので、たとえば工場のバックアップ電源にもなりますし、廃食油を再利用できるため、環境対応への取り組みとしてのメリットもあると思います」
――貴社の課題と今後目指す方向を教えてください。
「当社はどんどん海外展開を広めていきたいと考えています。いまは米国が非常に好調ですが、世界は他にも多くの需要があり、アジアやオセアニア、中東にはある程度、製品を展開していますが、まだ開拓できていない国や地域もあり、色々な地域に海外展開が進めば需要の変動や地政学的なリスクにも対応できます。近年の海外売上比率は45%前後ですが、理想としては海外比率を50%以上にしていきたいと考えています。もちろん日本国内の市場を大事にした前提での海外展開となります」
「中国では合弁会社で部品を現地調達して生産をしていますが、米国では日本で組み上げた機械に現地でエンジンを組付けるだけの生産を行っていました。しかし近年、日本から内部の主要部品を送り、米国で板金などの部品を調達して一から発電機を組み立てることができるように準備を進め、ようやく1モデルで品質確認の目途が立ちました。関税措置や為替、在庫等の問題により一時保留としていましたが、近くまたそれをスタートして、本格的な現地生産をしていく予定です。日本からの輸出は円安の時はいいのですが、円高時は利益が減少しますので、リスクヘッジを含めて現地での生産体制を構築し、全体での生産能力を増やすことが必要と考えています」

海外強化を見据えた社名変更
インタビューを始めると「ゴーグルつけなくていいですか?」と佐藤社長は場をなごませる。同社のイメージCMにAIRMANゴーグルをつけて社長自らが出演しているからだ。2024年2月に社長に就任してまず実施したのは北越工業からの社名変更だった。海外展開を強化する決意とともに、柔軟性をもつ企業であることも示すようだ。「リクルートにもプラスに働けばと、密かに期待しています」と佐藤社長は笑う。
執筆:モノクエ編集部
本記事は、創刊70年超のモノづくり専門紙「日本物流新聞」の編集部が制作しています。製造業に精通した専門記者が、現場取材に基づいた正確で鮮度の高い情報をお届けします。
(日本物流新聞2026年9月25日号掲載)