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インタビュー

TOWA 取締役上席執行役員 西村 一洋 氏 
半導体の技術つぎ込んだ「尖った工具」で攻勢

投稿日時
2026/09/28 13:43
更新日時
2026/09/28 13:48

材料調達ルートが他社の参入障壁に

半導体のモールディング装置で世界シェア6割を有するTOWAは、その知見と技術を活かし、超硬工具等の外販事業を強化している。「タングステンなど母材は半導体のサプライチェーンを活用し、現在も安定的に調達できている。超硬工具の安定供給も大きな武器にシェア拡大を狙う」と語る同社取締役上席執行役員生産本部長兼ツール事業本部長の西村一洋氏に、工具事業の強みと今後の戦略を聞いた。

――工具事業に乗り出した経緯をお聞かせください。

「当社は半導体用モールディング装置の金型など、高硬度材の超精密加工をミクロンオーダーで行っています。加工手法が型彫り放電から高速ミーリングによる直彫りへ移行する際、既存の市販工具では自動化運転に必要な形状精度の工具がありませんでした。そこで19年前に自社で工具を内製化したのが始まりです。その当時は、変動の大きい半導体装置事業に対するリスクヘッジとして、事業の柱へ育てるべく2014年に外販を開始しました」

――後発である以上、尖った技術でないと他社をキャッチアップできません。

「工具市場への後発参入である以上、大手メーカーに追いつくには当社にしかできない『尖った技術』が不可欠です。ハードクロムめっき以上に金型の離型性を高めるために自社開発した技術を応用したのが、超硬工具用の『ionDepoコーティング』です。このコーティングの成膜材には、半導体業界のサプライチェーンを通じてしか量産レベルで手に入らない特殊な元素を『鼻薬』として配合しています。材料の調達ルート自体が参入障壁となっており、ノウハウを含めて他社には真似のできない独自技術です。また、アルミナなどのセラミックス系膜で課題となる密着性についても、半導体製造で培った表面処理技術を応用しました。膜の組成を徐々に変化させるグラデーション構造にすることで、母材との強固な密着性を得ています。切削加工で極めて重要とされる摩擦係数(μ)の低減ニーズにしっかり応え、高い切削性能を発揮します」

「さらに当社は、純粋なセラミックスコーティング技術において独占的な特許を保有しています。この『BANCERAコーティング』をCBNエンドミルの刃先に施すことで、切削時の溶着や摩耗を抑え、被削材の加工面を非常に美しく仕上げることが可能になりました。当社にしか作れない『尖った工具』を武器に、半導体や航空宇宙分野をターゲットとして、高硬度材・難削材対応ラインナップの強化を図っています」

――JIMTOFでの展示見どころや訴求ポイントは。

「JIMTOFでは、航空宇宙分野で需要が高いインコネルや64チタンなどの難削材加工をターゲットにした超硬防振型エンドミル『TW―VSシリーズ』の訴求を一層強化します。びびりを防ぎ安定加工を実現することで圧倒的な長寿命を狙った製品で、社内のテストデータでは従来の2倍近い寿命向上を達成しました。一般的な工具は、炭素鋼やSS材まで幅広く削れるオールマイティーさを追求しがちです。しかし本シリーズは、ステンレス鋼以上の難易度を持つ耐熱合金への対応に完全に特化させました。さらに、工具の製造工程を極めて丁寧に行うことで精度と耐久性を限界まで高めています。万能性を追うのではなく、難削材の加工課題に直面しているお客様にピンポイントで響く『刺さる製品』として自信を持って提案します。とはいえ、尖った製品以外をお求めのお客様にも『二の矢』の提案を用意しています(笑)」

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TW-VSシリーズ




SUS材をノンステップで加工


「他社にないものをリリースし、まずは工具メーカーで10位以内に入りたい」(西村氏)と意気込む。JIMTOFで訴求するステンレス用超硬ドリル「TW―SUSシリーズ」は、オイルホールなしの外部給油でありながら、ステンレス鋼のノンステップ加工を実現する注目製品だ。独自の溝形状を採用し、小径でも切削油を刃先まで効率よく供給する。今回のJIMTOFを勝負の「正念場」と位置づけ、品質を一段と高めたCBN工具とBANCERAコーティングを施したCBN工具による高硬度材の直彫り提案、難削材用超硬エンドミル「TW―VSシリーズ」など強力な陣容で来場者を迎え撃つ。






執筆:モノクエ編集部
本記事は、創刊70年超のモノづくり専門紙「日本物流新聞」の編集部が制作しています。製造業に精通した専門記者が、現場取材に基づいた正確で鮮度の高い情報をお届けします。





(日本物流新聞2026年9月25日号掲載)