ヒューマノイドを支える最新歯車加工技術
- 投稿日時
- 2026/06/29 09:00
- 更新日時
- 2026/07/13 13:24
ロボット・航空・宇宙に商機
歯車は、近年注目されるヒューマノイドロボットや市場拡大が有望視される航空・宇宙、造船分野でも利用される。歯車メーカーでJISQ9100(航空機や宇宙機器などの製品において高い安全性と信頼性を確保するために策定された日本工業規格の一つ)を初めて認証取得したのは菊地歯車(栃木県足利市、5面に記事)で2009年だった。以来、認証取得したり近く取得しようと社内プロジェクトチームを立ち上げたりする歯車メーカーは少なくない。


ヒューマノイドの生産拡大が著しい。野村総合研究所未来創発センターの李智慧チーフエキスパートは「中国は他国を大幅に上回る出荷台数を実現している」と6月23日にオンラインで開いたメディア向けセミナーで述べた。
「中国は2025年の世界の出荷台数の84%を占め、先んじて人型ロボットの量産フェーズへ移行している。24年の約2800台から25年は約2万台へと7倍に成長した。特定のロボット本体企業に限らず、複数の企業が量産体制を整えつつある」
■巨大歯車市場が誕生?
ヒューマノイドの生産拡大にともない歯車需要の急拡大が見込まれる。この分野に詳しい歯車加工機メーカー、清和ジーテックの達俊彦社長はロボット1体につき数百の歯車が組み込まれると言う。
「人型ロボットの初期のタイプで、モジュール0.09ほどの歯車が遊星ローラースクリューなどの減速機に十数個組み込まれている。その減速機がヒューマノイド1体に多用されるので歯車は150~300個必要になる。巨大な歯車市場が誕生する」
ヒューマノイドは量だけでなく質も高まっている。中国で開かれた人型ロボットのハーフマラソンをニュースで見た人も多いだろう。21チームが参加した25年の優勝タイムは2時間40分だったが、102チームが参加した26年はわずか50分に短縮。上位3位が男子の世界記録を超えた。しかも25年は平地と坂道から構成される比較的単純なコースだったが、26年はそれに急カーブ、狭隘区間など10種類以上の複雑な地形を含んでいた。
■いかに冷やすか
ロボットの脚・腕のパワーや正確な動作はモーターや減速機の性能向上によるところが大きい。中国ハーフマラソンで使われたモーターの最大トルクは420Nm(25年)から600Nm(26年)に増加した。減速機について李氏は中国の中で競争が激しくなっていると言う。

「ある減速機メーカーは受注生産が7~8割を占める。競争が激しいのでコスト度外視で受注生産に対応できるかどうかが、国内で生き残るキーポイントの1つになる。背景にはロボットが常に改善されていることがある」
大きく進化したとはいえ人型ロボットにはまだ課題が残る。単一バッテリーでの航続距離が10㌔メートルに到達したとはいえ(ホットスワップによりその場で最短10秒でバッテリー交換可能に)、李氏は「放熱技術の継続改善が必要」と指摘する。25年は空冷で放熱されたが、26年は液冷放熱(効率は空冷の10~50倍)が採用された。この業界もデータセンター業界と同様にいかに冷やすかが問われるようだ。
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(日本物流新聞2026年7月10日号掲載)