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インタビュー

菊地歯車 社長 菊地 義典 氏 
ギヤ4千種を製造、航空・宇宙分野を強化

投稿日時
2026/07/13 11:11
更新日時
2026/07/13 11:15

1億円以上する欧米の歯車研削盤やギヤシェーパーなどを多数保有し、両手に持てるサイズの多様な歯車を製造する。事業譲受により工場をどんどん増やし、現在は足利市および芳賀郡に計8工場に。航空・宇宙分野などの難易度の高いギヤづくりを目指し、設計・開発にも力を注ぐ。

菊地歯車 代表取締役社長 菊地 義典 氏(日本歯車工業会会長)
約20年前、35歳で4代目社長に就いた菊地義典さん。高さのある、2台目のグリーソン製ギヤシェーパー「P600ES」(ワーク外径600㍉まで)を紹介してくれた。

――自動車分野を得意とされています。

「当社はあらゆる分野を対象としますが、近年は航空機やロボットなどの新規分野に力を入れ、売上比率としては自動車分野を減らしています。現在は自動車分野は43%20256月期)で前年より5ポイント減りました。逆に航空機分野は10%2.3ポイント増えました。伸びる業界に仕事の内容をシフトしていくことが非常に大事です。私が入社した頃はコピー用紙のシュレッダーの歯車をたくさん製造していましたが、非常に単純な形状で、結局その仕事は台湾などアジアに流れていきました。ですから日本で仕事するには難しいものにチャレンジしなければなりません」

――歯車の生産量に変化はありますか。

「大きな変化はありません。年間でおよそ4000種、290万個の歯車(直径10~400㍉)を出荷しています。関西のお客様が5割以上を占めます。1ロット100個前後が多いですが1個からでもつくります。お客様が持ち込まれたものを修理することもあれば、持ち込まれたものと同じものをリバースエンジニアリングで作ったり、減速機として納めることもあります。当社が設計してユニットとして納めた減速機は25年度は約200台です」

「そういえば昨年9月、栃木県子ども総合科学館(宇都宮市)がリニューアルオープンするのに合わせて『歯車パペット』を寄贈しました。パペットとは動かして楽しむために作られた操り人形を意味します。遊星歯車など様々なギヤを組み合わせたもので、ハンドルを回して実際にギヤを回転させてモノを動かすことができ、歯車の仕組みが理解できると思います。社会貢献の一環です」

――貴社はホブ盤を多数お持ちのほか、欧州製の歯車研削盤をたくさん設備されています。

「創業時に保有していたのがホブ盤ですから、今でも台数としては67台(全8工場で)と最も多いです。ギヤシェーパー23台、ギヤシェービング盤15台などの歯車加工機以外にNC旋盤42台、マシニングセンタ28台(うち5軸機8台)などもあります。歯研はライスハウァーが8台、リープヘルが2台、KAPP2台です。グリーソンのギヤシェーパー2台も航空機向けで活躍していますよ。航空機エンジン部品はシェーパーで上下にゆっくり押し込んで加工する必要があります。エンジン部品はギヤード化の流れにあり、要はファンブレードの回転と他部品の回転周期をずらしてエネルギー効率を高めるためにたくさんのギヤが必要になります」

――(工場で加工の様子を見ながら)ギヤシェーパーの上下運動はもっと激しいと思っていました。

「車のエンジン部品のように速く動かすとカッターが溶けてしまいます。チタン系の材料は剛性が高いですから。当社は歯車メーカーとしてQCDを満たすのは当然のことですが、それプラス、ISOなどを認証取得し全体のマネージメントを行い、安定した品質の製品を供給し続けていると自負しています。JISQ9100(航空機や宇宙機器などの製品において高い安全性と信頼性を確保するために策定された日本工業規格の一つ)は2009年に認証取得し、日本の歯車メーカーで初めてでした。国内の重工メーカーと仕事させてもらっています。しばらく途絶えていた宇宙関係の仕事も今年から始め、ギヤや減速機を納めています」

――試作を担う宇都宮工場(栃木県芳賀郡)は順調ですか。

2411月に事業譲受して当社の工場となり、順調に受注を伸ばしています。スポーツカーなど自動車用ギヤの試作などを担い、軌道に乗り始めました。短納期で納められるよう機能強化しており、来期には黒字化できる見通しです。設計・開発の仕事を主軸の1つにしていきたいと考えています」

5面歯車加工特集・菊地歯車P2.jpg

栃木県子ども総合科学館に寄贈した「歯車パペット」




MEMO


菊地歯車株式会社

1940年創業、1969年設立、社員174

栃木県足利市福富新町726-30

10-400mmサイズの歯車4000種を年に290万個出荷

自動車分野(43%20256月期)を中心に建機・油圧機器(26%)、航空機(10%)、ロボット向け(5%)の歯車を製造。海外売上は1%未満。設計・開発にも力を注ぎ、減速機として納めることも。近年は航空・宇宙、ロボット分野の仕事が増加。2009年に取得した航空宇宙品質マネジメントシステムJISQ9100は歯車業界で初という。資格取得者が多く(全社員の実に66%)、国家認定特級技能士15人、同一級技能士60人、同二級技能士38人。2024年に事業譲受により稼働した宇都宮工場(栃木県芳賀郡)ではスポーツカー向けギヤなどを試作する。



(日本物流新聞2026710日号掲載)