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ソディック、仙台に技術センター

 ソディックは8月1日、仙台営業所を移転し「仙台テックセンター」(=写真、2階建て、延床面積約1191平方?b)として営業始めた。同センターは営業所機能に加え、部品・人材・技術拠点と位置づけ、国内最大級のショールームには最新機種を8台設置。技術アプリケーションスタッフが常駐し、技術スクールの開催やテスト加工などを通じて顧客をサポートする。 センターでは今後、定期的にワイヤ放電加工機や形彫り放電加工機・射出成形機などの技術スクールを行う予定。立地する東北地区はマイクロコネクタを代表とする精密加工品の産業集積地のひとつで、同社機シェアが高い地域でもある。 (2023年8月10日号掲載)

(株)ソディック

2023年08月23日

リンナイ、ガス衣類乾燥機が累計販売台数100万台

 リンナイのガス衣類乾燥機「乾太くん」の累計販売台数が、7月26日に100万台を突破。同時に、ガス衣類乾燥機を製造している愛知県瀬戸市のリンナイ暁工場をメディアに初公開した。 乾太くんは4人分6?`グラムの衣類を1時間で仕上げるガス衣類乾燥機。1992年から製造・販売開始し2016年度には累計販売台数50万台に到達した。 そこから7年間で50万台を販売、19年は前年比137%の急成長を記録した。「売上げの加速は、共働き世帯の増加やゲリラ豪雨の発生の増加などが背景」と同社は見る。また、7月12日にはデラックスタイプをフルモデルチェンジし、乾燥容量9?`モデルを取り揃え、大容量化とさらなるスピード乾燥に対応する。 暁工場は工場敷地面積3万3334平方?bで、ガス衣類乾燥機やハイブリッド給湯のタンクユニット部や浴室暖房乾燥機などを生産している。生産台数は61万3千万台(22年度実績)。 「ガス衣類乾燥機の前板やドラムユニット、ガスコン・バーナや電子ユニットなど品質や性能に大きくかかわる部品はグループで内製している。AGVによる自動搬送や自動供給など、省人化と生産率向上を図っている」と生産本部・堀田庄三工場長は説明した。 (2023年8月10日号掲載)

2023年08月23日

山善アセアン、ハノイで過去最大規模の自社展

 山善アセアン支社のYAMAZEN VIET NAMは6月17日までの4日間、ハノイ事務所に併設する展示場でプライベートショーを開いた。生産財メーカー35社の出展に170社から約400人が来場した。4年前にオープンしたこの展示場での催しは3カ月に一度ほど開き、昨年は4回実施。半年ぶりとなった今回は会期をこれまでの2倍にし、出展社数・来場者数もやはり約2倍と過去最大規模での開催となった。 現地法人長の平田天平氏は「半導体、金型、成形関係と様々な業種のお客様が多く、目新しい内容の展示で各社の生産性アップに貢献することを目指した」と言う。力を入れるオークマ、ブラザー工業、シチズンマシナリーの製品だけでなく、ソディックの60?d射出成形機や金型加工機、クリンビーの洗浄機、測定機など用意し、加工の前後工程を含めた総合力を訴えた。日系よりも現地企業の来場が多く、「ローカル企業の来場が6割を占め、ベトナムだけでなく韓国・台湾系も多かった」と言う。 ただ、平田氏によるとベトナム景気の低迷は激しい。「半導体業界に左右されやすく、景気はこの半年以上、過去最低水準。円安の影響もあり日本の仕事を受けて日本に出荷すると現地生産が割高になる。製造各社は投資意欲はあるも金利が高く、資金繰りが厳しい。いま機械稼働率が50%に満たない会社が少なくない」と話す。 YAMAZEN VIET NAMは景気低迷を脱する一助になればと今展は趣向を大きく変えた。次回は12月から来年3月までに同規模で開催する予定という。 (2023年8月10日号掲載)

2023年08月23日

ロボットSIer協会、設立5周年で会員300社超

 6月1日付で一般社団法人となった日本ロボットシステムインテグレータ協会(旧FA・ロボットシステムインテグレータ協会)は7月13日、設立総会と懇親パーティーを都内で開いた。協会が設立されたのはちょうど5年前の同日だった。久保田和雄会長(三明機工社長)はパーティーで「会員123社と協力会社21社の144社の船出だった組織が5年で309社と2倍以上に拡大。本日、独り立ちすることができた」と感慨深げに挨拶した。 ロボットシステムは日本全体の生産性向上に直結するとし、協会は社団法人化にあたり新たに次の目標を挙げた。SIerを若者が憧れる職業にする、自動化業界発展の牽引者になる、日本を自動化大国にし世界を席巻する、の3つだ。久保田会長は「日本には50年のロボットシステム構築のノウハウがありすり合わせの技術がある。他国より一歩先を歩み続けられる」と話した。 (2023年8月10日号掲載)

2023年08月21日

アジア関連企業3社、9月EMO Hannoverでデジタル技術アピール

 世界屈指の工作機械関連見本市EMO Hannover 2023(9月18~23日、ドイツ・ハノーバー、42カ国から1750社以上が出展)の見どころを紹介するプレビューが本番10週間前の7月5日、フランクフルトで開かれた。集まった報道関係者(30カ国から約70人)を前に自社の出展内容を発表しようと8カ国から出展社31社(うち2社は欠席)が参加した。 ただし各社に与えられた発表時間はわずか90秒。説明の途中でばっさり打ち切られる発表者が続出した。アジアに関連する企業としては3社が登壇した。 「なぜ私たちが街に魅了されるのでしょうか」と切り出したのはDMG MoriのIrene Bader氏だった。9千平方?bの巨大な自社ブースを「街」と捉え、「街はダイナミックでデザインと技術がある。そこではコミュニケーションが行われ、出会いがある。ぜひ9月にホール2の私たちの街に来てください」と誘う。ハードとしての製品、自動化、デジタルサービスなどを紹介する同社は「街の真ん中」にトランスフォーメーション広場を用意し、世界初公開製品を展示し、製造業の将来像を見せる考えだ。 韓国に本社を構え、創業して50年以上のDN Solutionsは旋盤やマシニングセンタ、ガントリーシステム、パレットハンドリング装置を自動車・航空機・医療業界向けに提供する。Jaewon Yang氏は自社のことを「インテグレーション・テクノロジーのプロバイダーで、デジタル化したフレキシブルな製造設備のメーカーです」と紹介した。設備の稼働状態はデジタルツインやシーメンスのPLCなどを利用して詳細に把握できるという。 純日本メーカーとして唯一の参加となったOkuma CorporationのEugen Teichrib氏は創業125周年を迎えたことをアピールし、60年の歴史がある自社開発CNCの最新版「OSP-P500」を欧州で初披露することを明かした。実に10年ぶりの刷新で11代目にあたるCNCだ(日本では昨秋のJIMTOFで発表し、23年5月から納入を始めている)。現在、セキュリティ上の課題もうまくクリアしようとしており、EMOショーでは「イノベーティブなデジタルトランスフォーメーションとデジタルツインを形成し、初心者でも簡単にプログラミングできることを示す」と意気込む。 Okuma CorporationのEugen Teichrib氏(左)とDN SolutionsのJaewon Yang氏 (2023年8月10日号掲載)

2023年08月21日

山善中国、深?現法が華南国際工業展に4年ぶり出展

 山善中国支社の山善(深?)貿易有限公司は深?市の深?国際会展中心で6月29日まで3日間開かれた、華南地区最大の自動化をメインとした産業見本市「2023華南国際工業博覧会」に出展した。同社は例年参加していたが、コロナ禍で同展が延期されていたため4年ぶり。8万平方?bの会場に800社超のメーカーが出展、12万6877人が来場した。 山善(深?)は今回、ヤマハ発動機のリニアコンベアモジュール「LCMR」上にスカラロボット3台を搭載した自動化デモ機を目玉とし、X-TEC製「X-WORKER」、ミツトヨ製3次元測定機「MiSTAR555」、ブラザー工業製小型マシニングセンタ「S500Xd1」の3社協業の加工から機外測定までを自動で行う自動化モデル装置などを実演。「両展示には非常に多くの集客があり、今後の営業活動が楽しみ。業界関係者の来場のほか、外国からの来場者も多く、コロナ明けを改めて実感した」と言う。 人口の多い中国でも労働力不足は以前から叫ばれており、自動化へ投資はむしろ積極的だ。工業系だけでなく民生系の自動化も多くみられるとする同社は「ロボットが調理を行ったり、ホテルの各部屋までロボットが製品を搬送したりと様々なところでロボットの活躍・自動化の波が見られる。当社としてもこの勢いをしっかりと掴んでいきたい」としている。 (2023年8月10日号掲載)

2023年08月21日

スギノマシン、静岡にバリ取り研究所開設

 スギノマシンは7月20日、掛川事業所内にバリ取り研究所「デバラボ」(Deburring Labo at SUGINO)を開所した。近年、生産性向上や危険作業の廃止を目的に旺盛な自動化ニーズがある「バリ取り」に着目し、ウォータージェットによるバリ取りや、フローティング加工といった特殊で高度なバリ取り技術・商品の研究開発を行う。 バリ取り工程は仕上がり基準があいまいかつ、部品の設計段階ではバリ取り工程が考慮されていないため、自動化に多くの課題を抱えている。加えて、バリは大きさ、硬さ、発生する場所が不均一なため、単一製品で全てのバリに対応するのは難しい。同社は開所に当たり「バリ取りを考えるすべての人に閃きを」をミッションに掲げ、作業者だけでなく、開発・設計者も交えてバリ取りの自動化を考えことで、技術追求とユーザーとのコミュニケーションによる「閃き」によって問題解決を狙う。 施設は打合せや軽作業スペースを備えた「Hubエリア」と各種研究装置を備え、研究・テストを行う「Laboエリア」を設置。Laboエリアには高圧水バリ取り部品洗浄機「JCC 104 HYBRID」やBARRIQUAN搭載のロボットバリ取り装置などを用意する。 (2023年8月10日号掲載)

2023年08月18日

三共製作所、工作機械資料館が機械遺産に認定

 8月7日、三共製作所が静岡県菊川市の静岡工場内に開設した三共工作機械資料館の歴史的工作機械群(計137台)が(一社)日本機械学会が認定する「機械遺産」に登録された。本資料館は近代工業の発展を支えてきた工作機械の保存・展示を目的として2021年11月に同社が開設したもので、産業革命前後(17世紀末から19世紀初頭)の工作機械(88台)を系統別、時代順に並べて常設展示するほか、測定器や機構模型の展示なども行っている。 三共工作機械資料館の大澤隆館長  同社の小川廣海会長兼社長がアメリカのヘンリー・フォード博物館の学芸員と知り合ったことをきっかけに、1980年から保存を目的に資料価値の高い工作機械を少しずつ集め始めた取り組みが、200台を超えるアンティーク工作機械のコレクションを築いた。欧米ではマザーマシンである工作機械を近代資本主義の発展を支えた遺物として、国立博物館などで展示しているのに対して、世界有数の工業国に成長した日本では工作機械を展示・学べる施設がわずかしかないことから資料館の設置を決めた。 同館の大澤隆館長は施設の特長について「日本製の工作機械が3台しかないことが特長の一つ。ヨーロッパでは17世紀中頃に旋盤が発明されていたのに対し、日本に工作機械が初めて輸入されたのは19世紀半ば。そのため、工作機械の始まりの歴史を描く際、日本製の機械は登場しない。産業革命前後の世界の様々な機械を揃えている博物館は国内には他にない。機械遺産に登録された理由はそこにある」とする。 大澤館長は「一番見に来てもらいたいのは学生さん」と付言し、「実際に工作機械を見て興味を持ってもらいたい。我々がやっていることはモノづくりですから、その原点である工作機械について発信していくことで、三共製作所の考え方や文化の源流を知っていただき、三共ファンになってもらうきっかけとなれば」と話した。 創業者の小川良平氏が使用していた日光精機製作所の芯なし研削盤(左)と「資料館の中で最も貴重」と大澤館長が説明する17世紀にイタリアで製造された木製旋盤  (2023年8月10日号掲載)

2023年08月18日

キャステム、全長0.2ミリの超微細3D福山城制作がSNSで話題

 キャステム(広島県福山市)はよくバズる。特に昨年築城400年を迎えた福山城の機運を盛り上げるべく、全長0.2ミリ、約17万分の1スケールで超微細3D福山城を制作し大きな話題となった。京都先端科学大学と共同研究を進める世界最高精度の3D光造形装置Nanoscribeシステムを利用し、超微細3Dプリントサービスを行う。 戸田有紀専務  積層2光子重合の3D造形技術とサブミクロンの解像度で固まる性質を持つIP樹脂を用いることで、従来の製法では不可能な形状や極小サイズの造形を実現する。最小寸法はX・Y軸が0.2ミクロン、Z軸が0.3ミクロンだ。 微細なレンズ(マイクロオプティクス)による通信性能向上や、毛細血管を止血できる医療用分野のクリップなど用途は広い。「簡単に言うと紫外線で硬化する樹脂に0.2ミクロンのレーザーを照射して造形していく。造形自体よりデータ作成が難所だ。3DCADデータからGコードを書き出すが、例えば四角形を造形する条件で三角形にレーザーを照射すれば先端が熱で反る。薄い、厚い、細いなど形状に合わせてレーザーの出力、照射時間、角度などの条件を、職人的な経験値を踏まえて設定していく」(桝谷周平上席主任)とし「2年間、研究データを蓄積しており最終的には自動化を目指したい」(同)と語る。 最新技術だけでなく、同社は古くからある鋳造技法の「ロストワックス製法」を独自のノウハウで進化させ、一般産業分野の精密鋳造では国内トップシェアという。 金型(アルミ型)にワックス(ロウ)を注入して形状を作る。ロウをセラミックでコーディングしたのち、熱処理するとロウが溶けてなくなり、セラミック鋳型が焼成される。それに溶融させた金属を注湯するのが同製法だ。鉄系、ステンレス系、銅、アルミなど幅広い金属に対応でき寸法精度が高く、面粗度が美しいのも特徴だ。 同製法ではワックス(ロウ)模型を作るため必要な金型製作(費)を必要とするが、3Dプリンタを用い、樹脂素材模型を製作することで金型レス(型費不要)で鋳造品を一個から製造対応する『デジタルキャスト』の提案を推し進めている。 最小サイズは約4センチ、最大サイズで50センチ程度まで鋳造が可能だ。この技術は“ホリエモンロケット”の重要部品にも使われた。複雑三次元形状が得意で、ロケットなどの丸いダクト状の構造は、試作段階では切削加工した部品を溶接でつなぎ合わせることが多いが、鋳造なら一体化でき剛性もあがる。またコストも大幅に下がるという。 ■最新技術で平和の折り鶴量産  最新デジタル技術と同社の精密鋳造技術を掛け合わせ「広島の企業として本当に意義深い」と戸田有紀専務が語る事業が行われた。12歳で夭折した原爆被爆者の佐々木禎子さんが生前最後に折った折り鶴を、3Dスキャンしたデータを元にステンレスで忠実に再現し量産にこぎつけた。これがG7首脳が平和記念資料館で決意を示した机上に置かれ、メディアが世界中に配信した。 同専務は「過去二カ年、売り上げを一割ずつアップさせており、今期の売上目標100億は達成できると思う」と自信を見せる。増加する受注に対して17年に碌々産業Android2、18年にDMG森精機DMU50、22年に金属3DプリンタTruPrint1000、23年(予定)に西部電機超精密ワイヤ放電加工機MEX15など新規導入し、設備投資も積極化する。また25年3月稼働を目指しベトナムに7カ所目の海外工場を計画している。 原爆被爆者の佐々木禎子さんの折り鶴をステンレスで再現 (2023年8月10日号掲載)

2023年08月18日

カシフジ、内覧会を創業110年式典兼ね盛大に

 カシフジは7月20日と21日、京都市南区の本社・工場で内覧会を実施し、両日で約120人が訪れた。製品の説明会、工場見学のほか創業110年の感謝の気持ちを込めた懇親会も行われた。 内覧会で注目を集めたのは新機種の歯車面仕上げ盤「KGH250」、歯車面取盤「KD250C」、CNCホブ盤「KN81」(参考出品)だ。「歯切り後、焼き入れしてそのまま製品にしていたユーザー様も多くいたが、今はより静粛性の高い歯車が求められる。歯車研削盤ほどのコストは掛けられないが今より静かな歯車を欲するニーズにはハードホビングやKGH250など、さまざまなソリューションを提案していく」(尾崎博史営業部長)と話す。 KGH250は歯車研削盤のように歯形や歯すじのコントロールはできないもののホブ切りで生じる多角形誤差や送りマークの除去、歯面粗さ向上が可能だ。同社のホーニングはねじ状の弾性砥石を歯車にかみ合わせ歯面間の面圧で加工する工法となる。「JIMTOF出展時はEV系の研削歯車を鏡面仕上げする量産ラインに組み込む自動化仕様を展示した。今回は少量多品種に適した仕様を展示した」(同)とする。 KD250Cはバイトを使った『キツツキモーション』で段付きやボス付き歯車端面のバリ取りができるのが特徴。またカッターの旋回角度を自在にできるので、両端面の面取りのほか、ハスバ歯車の加工では従来機に比べ、きついネジレ角の歯車諸元も加工できる。面取り品質の向上と取り扱いの容易化、省人化に対応した機械を提案する。 KN81はすでに実用化したフレージング加工装置に加えて、切削面取り装置を搭載できるオプションを開発した。従来からの焼入れ歯車のホブ切り仕上げなども1台の機械で対応、多品種加工にもフレキシブルな対応ができる。 工場見学では長年の過酷な使用にも耐える同社ホブ盤のキモである匠の技によるキサゲ作業も見ることができた。 懇親会の挨拶で樫藤剛司経営企画室室長は「自動車産業は100年に一度の変革期であり、加えてエネルギー高やコロナショックなどユーザー様の経営環境は不確実性が高まりニーズも多様化している。そこで製品開発ではお客様のニーズに幅広く対応できるように努めていく」とした。 挨拶する樫藤剛司経営企画室室長 (2023年8月10日号掲載)

2023年08月16日

ニデックG、歯車・減速機でシナジー発揮

 ニデックマシンツールとニデックドライブテクノロジーは電気自動車(EV)シフトにおける歯車加工とロボット分野の波動歯車減速機の開発でグループシナジーを発揮し世界と戦っている。ニデックドライブテクノロジーの西村幸久常務執行役員とニデックマシンツールの谷村昌秀歯車機械システム事業部統括部長に戦略と展望を聞いた。西村常務は「同じ歯車の高精度化でもEVは研削工程に、ロボットでは歯切りに力点が置かれるなど大きく違う」と難しさを語る。 ノイズの低減や伝達効率の向上が求められるEV用に高精度歯車が求められている。谷村部長は「15年ほど前のエンジン車の歯車では焼き入れ前に、熱処理歪みを計算に入れたうえでシェービングする工法が主流だった。その後EVだけでなくエンジン車でもより精度を出すため焼き入れ後の歯車研削の重要性が増してきている」とする。 はすば歯車の歯すじ方向にクラウニングを付与した時に生じる歯面のねじれを打ち消し、ノイズを静穏化する「バイアス修整加工」が不可欠になってきている。「サイクルタイムを犠牲にせずバイアス修整を実現出来るかが重要」(同)とし、歯車研削盤(外歯研削)ZE?Cシリーズで実現する。同機では砥石を成形する際にドレスホイールを旋回しながらドレスする新たな機能を取り入れた。また砥石一つを通常ドレス域(粗加工)とバイアス修整域(仕上げ加工)に分割し、砥石の使い方を見直した。 さらに歯車を高精度に仕上げるために、歯車の面取り部(角部)を切削で除去する切削面取り盤「CF26A」と、専用の工具「EdgeCut」も昨年発売した。フレージング加工後に出る2次バリの発生を無くすとともに、前工程のホブ加工で生じる端面バリの除去も可能にした。「バリと面取りはお金にならないがクレームの元。できるだけ機械を安く提供することにもこだわった。仕上げ加工の時に砥石を攻撃するバリをここで除去しておくことで研削工程を含めたライン全体としてのランニングコストも下がる。ニデックグループは歯車加工の全工程に知見があるので、一工程で解決するのではなく全体を見て総合的にソリューションを提案できる」(同)とする。 ■ロボット用波動、歯車減速機に注力  多関節ロボットに使われる主な減速機は、手首・関節に使われる波動歯車減速機と根本軸に使われるサイクロイド減速機となる。「われわれが力を入れているのは波動歯車減速機である。ロボットの生産は、波動歯車減速機の供給に依存しており、日本の産業発展のために供給に力を入れる」(西村常務)とする。 波動歯車減速機は「楕円の入力軸が回り、薄い歯車がふにゃふにゃ動くので、動作や精度は出せても耐久性の問題があり多くの企業が挑戦するがなかなか満足するものができない」が「耐久性の部分をクリアできたのでさらに世界に打って出る」(同)と話す。耐久性については企業秘密であるが、もう一つのポイントに角度伝達誤差の最小化がある。「耐久性があっても精度が高くないと価値がない。そこでロボット向け歯車の加工に特化した外歯と内歯を削るGE15FR PlusとSE25FR Plusをニデックマシンツールに開発してもらった。波動歯車減速機は非常に歯数が多いので高精度かつ高速に削る必要がある。また加工した歯車の精度から減速機の精度を推定できる」(同)とする。EVの歯車は研削により精度を高めるが、よりピッチ精度が高いロボット用歯車は切削加工により生み出す必要がある。「波動歯車減速機はグループシナジーがあってこそ完成できた」と二人は声をそろえる。 波動歯車減速機にトルクセンサを内蔵することでトルクを感知する「SmartFlexwave」を開発し、次の段階を目指す。現在の協働ロボットはトルクセンサにより安全性が担保されているが、SmartFlexwaveにより省スペース化と性能向上も叶うという。 (2023年8月10日号掲載)

ニデックオーケーケー(株)

2023年08月16日

ストラパック、創業90周年

 今年5月に創業90周年を迎えた梱包機メーカーのストラパックは7月21日、これを記念した感謝の集いを東京・港区の東京プリンスホテルで開いた。販売会社や協力会社などから約450人が出席した。下島敏章社長は「当社は祖父が創業し、梱包機は1969年から製造を開始した。90周年を迎えられたのは荷主の皆様、お客様、、お取引先様の変わらぬご愛顧とご支援の賜物です」と挨拶した。 同社の歩みは1933年、荷造り材料問屋「下島哲四郎商店」から始まった。機械化が進んでいなかった包装・梱包作業に目を向け梱包機製造を開始し、海外製造にもチャレンジした(現在は横浜に工場をもち、国内は東京・宮城・福岡・東京に、海外は米国・タイ・英国・ベルギー・中国に子会社をもつ)。コロナ禍を踏まえ、上海工場の生産を肩代わりできる体制をタイ工場と横浜工場に整えてきた。横浜工場は拡張計画もあるという。 (2023年8月10日号掲載)

2023年08月14日

MF-TOKYO、4年ぶりリアル開催【後編】

 7月15日までの4日間、4年ぶりに東京ビッグサイトでリアル開催されたプレス・板金・フォーミング展「MF-TOKYO2023」には業界初や自動化を一層追求した技術が数多く披露された。233社・団体の出展(内部出展・共同出展を含めると270社・団体)に、コロナ禍前の2019年展(延べ3万113人)に比肩する2万8219人が訪れた。 鍛圧機械にもロボットの活用が進んでいる。トルンプは複雑な曲げ加工に対応する全自動機「TruBend Center7020」を日本初披露。機械中央にある回転式部品マニピュレータでワークを機械にセットし、グリップ変更なしで曲げ線に近づけられるため、サイクル時間を節約できる。成人男性が一抱えする大きさの箱の曲げ加工の自動化を実演し、「熟練作業者なみの精度まで追い込むことは難しいが、それでも十分な現場は多い。特に大物で曲げにくいワークは事故のリスクもあり関心が高い。ワークの投入・排出に関してもロボット化することでさらなる省人化ができる」と話す。 ファナックは自動化があまり進んでいない中小企業向けに導入・設置しやすく教示しやすい協働ロボットを紹介。「CRX-25iAは」の可搬質量はソフトの設定で通常より5?`アップの30?`グラムと、ダイレクトティーチングできる協働ロボットでは最大クラス。「他社製にこのクラスのロボットはあるが、手首が真下を向かねばならないといった制限がある。当社ロボットにはその制限がなく用途が広がる」とし、重量物の移動のほかハンドに筆を持たせて習字をさせ、繊細な動きも見せた。 「一連の自動化で欠けていた最後のピースを埋めた」と感慨深げに話すのはアマダ。同社で初となるAGV「AMTES」(参考出品)がベンディング自動化システム「EGB-1303ARse」にワークの受け渡しをして見せた。「単体機で進めてきた自動化を工程間に発展させた。生産現場と事務所をつなぐDXソリューション『LIVLOTS』とも連携し、生産性をいっそう向上する」と言う。 三共製作所はEV需要の波を捉え、プレスマシン搭載用の材料送り装置「Variax」シリーズを中心に提案した。同社が得意とするカム技術を応用することで、高い送り速度を誇る。ブース中央には新開発の送り装置「Variax OPUS1R-Xシリーズ」のツインモータータイプを展示。シリーズを通して追求してきた高速性能をツインモーター駆動により安定度を増した。従来のグリップ力の状態監視に加え、板厚自動測定やグリップ力測定などの機能追加により使いやすさも加えた。 鍛圧機械業界では安全性の向上が欠かせない。富士機工は安全対策を施した油圧プレス「セーフティプレス LSP-3030」を初めて出展。動力プレス機械構造規格の安全プレスに準拠し、光線式安全装置や安全カバー、両手押しスイッチを搭載する。マシンの両端に設置した光線式安全装置は、人の手などの侵入を検知し、金型が下りない安全設計。規格に準拠したプレス機の中でも最小クラスのサイズだという。 三共製作所の高性能送り装置「Variax OPUS1R-Xシリーズ」のツインモータータイプ。EVモーター向けの需要が増えてきつつあるという。 (2023年8月10日号掲載)

2023年08月14日

ニデックOKK、埼玉で自社展

 ニデックオーケーケー(OKK)とニデックマシンツール(MT)は7月28日、加工の効率化・自動化を提案するプライベートショーをさいたま市のOKK・東京テクニカルセンターで開き、機械ユーザーや販売会社から121人が訪れた。コロナ禍の影響で午前・午後の予約制の1日限りとしたため、例年(2、8月の2日間開催)よりも来場者は半数ほどにとどまった。 OKKの立形マシニングセンタ(MC)とMTの精密加工機を中心に紹介し、タッチプローブを使った機上計測や、治具と専用プログラムを使いATCで扱えない大きな刃物の着脱を実演した。機上計測はオプションだが、新規購入時の6割に付けられるようになったという。ニデックが7月に創業50周年を迎えたのを機に実施中のキャンペーン(公式には7月末で終了するが延長の可能性もある。要問合せ)も紹介。立形MC「VM43RII」「同53RII」、門形5面加工機「MVR30Cx」を計55台用意し(7月末現在で残り約20台)、タッチセンサーや高圧クーラントユニット、ソフトなど150万円相当のオプションを無料で付けるという。 OKK常務執行役員の川田拓也・営業本部長は「オペレーター人材が高齢化してきているのに対し、当社は様々な便利なツールを用意した。人を雇うよりも安く、夜間の無人運転もできる」と設備更新の利点を話す。ニデックグループとなったことについては「厳しい経営環境にあったが、人・物・金をどんどん使えるようになった。高い目標を設定しているがやりがいがある」と言う。自社展は半年から四半期に一度開いてきたが、ショールームは3カ所(さいたま、伊丹、栗東)にあり頻度を増やす考え。 (2023年8月10日号掲載)

ニデックオーケーケー(株)

2023年08月11日

DMG森精機×奈良女子大学工学部、産学連携で女性技術者育成

 DMG森精機は奈良女子大学と2022年3月に締結した包括協定のもと、工学や女性活躍をテーマに次世代の教育課題に取り組む。  昨年4月に女子大学で日本初の工学部を開設した奈良女子大学で、同社社員が講師を務める講義を実施。「大学での高度な専門教育と、製造業の現場の技術を結びつける」ことをテーマに提供する。 カリキュラムは「先端設計生産工学概論」(必修)の座学と、実際に設計し生産、評価手法を習得する「実習?T」(選択授業)。7月25日に、実習?Tの全8回の講義の第7回目となる講義を報道向けに公開した。 「設計と開発、生産技術に加え先端技術もバランスよく備えた、国内を牽引する女性技術者を育成したい。大学で学んだ知識が製造現場でどう活かされるのか体感できることを目標に講義内容を定めた」とDMG森精機アカデミー部長の小林龍一氏はカリキュラムの意図を説明した。 講義を履修している17人の学生の一人の徳田仁美さん(工学部2年)は「女子大学はみんなでやっていこうという協力的な雰囲気が魅力。実習では学んできた物理現象が身近に感じられる貴重な経験。建築を学びたくて入った大学だが、講義を通して機械についても興味がわいた」と明るく話す。 24年10月からは「実習?U」として自動化や金属積層などの先端技術を盛り込む発展的な実習を予定している。 「多くの工学部では大学入学時から専攻分野を選択するが、奈良女子大学工学部では入学してから進路を考えられるようにして女子学生が学びやすい環境を工夫した。DMG森精機との連携が、主体的に課題解決できる人材育成につながれば」と同大学学長補佐(女性エンジニア育成担当)長谷圭城工学部教授は期待を語る。 (2023年8月10日号掲載)

DMG森精機(株)

2023年08月11日

山善と新コスモス電機、一酸化炭素検知する火災警報器を拡販

 山善の家庭機器事業部は8月1日、世界で初めて家庭用ガス警報器を開発した新コスモス電機と共同で火災時の一酸化炭素中毒による死者数を減らすための「もっと早く、火災を見つける。」プロジェクトを発足した。住宅用火災警報器の交換目安は10年で、2011年の設置義務化から10年以上が経つ今、多くの警報器が交換のタイミングを迎えている。このプロジェクトで両社は最新警報器「PLUSCO(プラシオ)」を拡販する。 PLUSCOは従来の火災警報器(煙式)に一酸化炭素センサーをプラス。一酸化炭素100ppmを検知するとLED点滅と音声で注意を促すとともに、煙センサーの感度を2倍に引き上げ、より早く火災を知らせる。山善は「住宅火災の発火源別死者数はたばこが最多で、とりわけ一酸化炭素が発生するケースが多い。これを早く検知することでより逃げ遅れ防止に役立つ」と言う。 (2023年8月10日号掲載)

2023年08月11日

DICプラスチック、収納・携帯性抜群の折りたたみヘルメット

 災害が起こった際に気をつけたいのが頭部の保護。特に避難時にはガラスや看板、屋根瓦などの落下物による怪我のリスクがグンと高まる。そうした「イザ」という時の備えとして有効なのが、DICプラスチックが開発した折りたたみ型ヘルメット「IZANO2」。一般的なヘルメットは携帯性や収納性に難があるが、本製品は折りたたみ時の厚みが63?_と業界最薄(2021年2月時点同社調べ)。書類ファイルなどと共に収納しておけ、鞄に入れて持ち歩くこともできる。 長年、産業用ヘルメットを手がけてきた同社は、東日本大震災を契機に「ヘルメットらしい外観」「現場でも使える保護性能」「誰でも簡単に使える」をコンセプトに初代「IZANO」を開発。2013年の発売以来、累計100万個を販売するという異例の大ヒット商品となった。2代目となる本製品は折りたたみ時の厚みを従来の82?_から23%薄くすると共に、厚生労働省の保護帽規格「飛来・落下物用」「墜落時保護用」の2つの国家検定を取得している。そのため、建設現場や高所作業などのプロの現場にも耐えうる保護性能を持つ。 通常の産業用ヘルメットと同様に内装部品の交換ができるため衛生性が保て、アジャスターバンド(47?62?a)は頭囲に合わせて子どもから大人までジャストサイズ装着を可能にする。 コンパクトに折りたためる「IZANO2」 (2023年8月10日号掲載)

2023年08月09日

碌々産業が120周年

 微細加工機分野のリーディングカンパニーである碌々産業が6月16日、創業から120年を迎えた。7月7日に都内のホテルで開催した120周年式典において、同日、会長へと就任した海藤満氏は「120周年を迎えられたのは、皆様のご指導、ご支援、ご協力があったから」と感謝の言葉を述べるとともに、「本日より車のトリップメーターを戻し、200年企業を目指し邁進していきたい」と先を見据えた挨拶をした。 200年企業を目指すにあたり、新たに「『モノづくり』と『コトづくり』を融合させたソリューション・カンパニーになること。」をビジョンに掲げ、「微細加工のソリューションカンパニーへ」をキャッチコピーとした。こうしたビジョンを具現化するため経営陣を新たにし、矢野雄介取締役が社長に昇格し、海藤満社長が代表権のある会長へと就任。10月1日からは社名も「碌々スマートテクノロジー株式会社」へと改める。 社長に就任した矢野雄介氏は「機械提案だけでなく、ソリューションをまとめて提案できる会社への転身を目指す」とし、「お客様の生の声を聞き、顕在化しているニーズだけでなくお客様の中に眠っているニーズの解決も同時に行っていきたい」と力強く語った。 (2023年7月25日号掲載)

碌々スマートテクノロジー(株)

2023年08月09日

リンナイ、Hot.Lab浜松町の使用を本格再開

 コロナ禍は住宅設備機器メーカーの販売戦略に対しても大きな影響を与えた。特に、ショールームや研修施設などの対面での活動が大きく制限され、オンラインの活用などが進んだ。一方で、リアルでの取り組みの重要性が再認識され、制限がなくなった5月からはリアルでの活動を本格化させる企業も多い。その一つがリンナイだ。コロナ以前と渦中、今後の取り組みについて話しを聞いた。  リンナイの「Hot・Lab浜松町」は2010年の事務所移転を機に、調理や入浴体験を実際にできるBtoB向け体験型研修施設としてスタートした。ミストサウナなどこれまで世に普及していなかった製品の認知向上などに大きく寄与してきた。8階まである展示・研修空間には付加価値の高い製品(フラッグシップコンロ「DELICIA デリシア」やハイグレードコンロ「Lisse リッセ」など)が設置されており、同社の「より上質な暮らしの理想」が詰まった空間となっている。DELICIAマイスター研修といった研修制度においても、製品を詳細まで知ることはもちろん、製品が提供する価値やコトにフォーカスした提案方法を習得することができ、普段料理をしない人でも料理の楽しさや調理・手入れのしやすさを実感・体感できる内容となっている。 そのためコロナ以前には「お客様にHot・Labに来ていただいて、どんどん体感していただくのが営業の一つのセオリーだった」と織田さんは振り返る。そうした状況がコロナ禍に入ると一変。一度の案内人数を3分の1程度に制限し、好評であった実演・実習時の試食もできない状況となり、歯がゆい思いをしてきた。 「試食をして初めて『美味しいね』という会話が広がる。見た目や匂い、音などでも美味しさを訴えることはできるが、一口食べてもらうことがお客様との距離を縮める重要なポイントであったと改めて感じた」(小田川さん) ■進んだオンライン活用  施設に来てもらうこと自体が難しくなった中で活用されたのが、ウェビナーやビジネス向けプラットフォーム「Rinnai BiZ」といったオンラインコンテンツだ。特にウェビナーは初期段階の提案や実際に製品触れる前の情報共有の重要なツールとして役立った。現在では全て内製化をし、自分たちで基本的なコンテンツの作成や配信、アンケートの作成などまで独自で手掛ける。制限が解除された今も新製品情報を広くタイムリーに届けたり、簡単な情報共有といった営業の補助ツールとして活用する。 「コロナで距離を取るための手段としてウェビナーを積極的に採用した。制限がなくなった今、ウェビナー本来の距離や時間を縮め、顧客接点を多様化するツールとして定着しつつある」(織田さん) また好評なDELICIAマイスター研修も今年度下期から認定制度を取り入れたDELICIAアンバサダー研修(仮称)としてリニューアルを予定しており、リアルとデジタルの両面で研修体制をより充実したものにする。 ■重要性増すリアルなブランド体験の場  5月からは従来通りの試食などもできる以前のスタイルに戻っているが、コロナ禍を経て研修施設の重要性がより高まっているようだ。小田川さんはコロナ禍には暮らしを見直す方が増えたことで、「消費者がSNSなどで情報を入手されてから商品を見て選ぶ傾向が強まって来ている。加えて、設備についてもしっかりとこだわりたいという方が多く、販売する側がお客様以上に製品の知識を持っていないとなかなか信頼を得られないというケースを耳にしている。ここでは付加価値の高い製品の詳細からコト提案まで学んでいただくので、消費者目線の提案を行いたい企業様からの関心が高まっている」と述べる。 さらに、4月には南青山に同社初となる消費者に寄り添った生活体験とブランド体験の場の開設を発表するなど、将来に向けて消費者志向への変革の具現化を進めている。これまでも、よりハイエンドの顧客層の獲得を狙い、デザイン性の高い「G:LINE ジーライン」などを発表してきた。感性の高い消費者が集まる南青山に常設の体感施設を設置することで、「既存市場の縮小や、カーボンニュートラルの潮流など外部環境がメーカーにとって大きく変化する中、新たな顧客層の方へと訴求やコミュニケーションをしっかりと行っていきたい」と、リアルでの顧客接点の多様化をさらに推し進めていく考えだ。 (2023年7月25日号掲載)

2023年08月09日

MF-TOKYO、4年ぶりリアル開催

 ファイバーレーザーを使った水中切断機や厚板対応をいっそう高めた全自動シャーリングなど業界初の鍛圧機械が、7月15日までの4日間、東京ビッグサイトで開かれたプレス・板金・フォーミング展「MF-TOKYO2023」で披露された。4年ぶりのリアル開催に233社・団体が出展(内部出展・共同出展を含めると270社・団体)。東4~8ホールの計5ホール使用は過去最大で、コロナ禍前の2019年展(延べ3万113人)に比肩する2万8219人が訪れた。 世界初となるファイバーレーザーを利用した水中切断機が登場した。コマツ産機が実演した「TWC510-1」で、ワークを水中に浸しながら切断するため加工時の熱がワークから逃げやすく、長尺ワークでもひずみが起こりにくい。デモンストレーションでは加工直後のワークに手を触れる様子に驚きの声が漏れた。(一社)日本溶接協会の安全に関する規格「WES9009-2」のヒューム管理濃度を集塵機レスで達成。これにより集塵機設置のスペース削減と電気使用量低減によるCO2排出量削減にも貢献する。 レーザー加工機の躍進が目につく。ヤマザキマザックはファブリギアと呼ぶレーザー複合加工機の5代目にあたる「FG-400NEO」を出品。回転3軸制御(ヘッド2軸、チャック1軸)で板厚20?_までの形鋼材を3次元切断するほか、M20ボルトのねじ切りもこなす。「M20レベルのタッピングができる複合加工機はほかにない。3次元自由曲面の切断は後工程の溶接がしやすくなる」と利点を話す。4代目から採用しているファイバーレーザーに、ワークに応じてビームを絞る機能を加えたことなどで省エネ性能も高めた。 ヤマザキマザックのレーザー複合加工機「FG-400NEO」でレーザーで下穴をあけた後、M20のねじ切りをしたH形鋼(SS400、板厚6.0mm)  澁谷工業はMF-TOKYO出展を機に発売した加工範囲4×8尺(1250×2550?_)の2次元加工のファイバーレーザー加工機「SPF4125/SFX2000型」(出力2?`ワット)を披露。5月のMEX金沢に出品したものより加工範囲を広げ、「ステンレスで6?_、軟鋼で12?_厚の加工に対応し、ステンレス0.1?_厚の微細加工もできる」とカバー領域の広さを強調する。加工状況をリアルタイムで離れたところから見られるインサイドモニタリング機能を新たに付けた。 澁谷工業のファイバーレーザー加工機「SPF4125/SFX2000型」で精密にくり抜いた板材  全自動の厚板切断はどこまで進むのだろう。相澤鉄工所は業界初となる板厚9?_切断(SS400)ができる全自動シャーリングシステム「ARS-1020D」を紹介。約1億3千万円の実機は今年1月に納入したため、工場で撮影した出荷直前のマシンを動画で紹介した。相澤邦充社長は「これまで全自動機で対応していた厚みは6?_までだった。汎用機では13?_まで切断できるのでそこまでは自動機でも能力アップしていきたい」と言う。 相澤鉄工所の全自動シャーリングシステム「ARS-1020D」 (2023年7月25日号掲載)

2023年08月07日

コロナ、高出力のヒートポンプ式温水床暖房機

 コロナ(新潟県三条市東新保7-7、TEL.0256-32-2111)は高出力で省エネ性能の高いヒートポンプ式温水床暖房機「コロナエコ暖システム12.0」を9月上旬に発売する。 この温水床暖房機は定格温水出力は12.0kW(I地域以南〈最低気温が-25℃以上の地域〉に対応)と高出力で、省エネ性能を示す安定時COPは業界トップクラスの4.39を達成。CO2排出量は約15%削減するという。密閉配管式と半密閉配管式の2タイプを用意し、前者は北海道エリアや北東北エリアで広く使われている方式で、ラジエーター(鉄製放熱器)などを組み合わせるシステムに使える。循環液が大気に接しないため、循環液の交換や補充がしやすい。希望小売価格(室外ユニット+循環ポンプユニット)は税込で密閉配管式97万9000円、半密閉配管式95万7000円。 (2023年7月25日号掲載)

(株)コロナ

2023年08月07日

THK「ドカ停」防ぎ、設備保全を効率化

 THKは7月5日、OEE(設備総合効率)を最大化するプラットフォーム「OMNIedge(オムニエッジ)」の直動部品向けソリューションに新たなAI診断サービス「ADV」の提供を開始したと発表した。 ADVはLMガイドやボールねじなどの直動部品を対象とする。直動部品は突然故障するといわゆる「ドカ停」を引き起こし、工場稼働の大きな生産ロスを発生させることがある。ADVにはヘルススコアを算出するAIアルゴリズムを採用し、ユーザーがこれまで苦労してきた閾値の設定が不要となり、各種データからヘルススコア(異常度)を算出して直動部品の状態を判断する。異常検知だけでなくデータを分析してメンテナンスレポートを提示することで、同社は「多台数の設備保全を担っているお客様の保全活動を劇的に効率化する。従来の破損、潤滑の状態を数値化する機能と併用することで、直動部品の破損やメンテナンスタイミングの判断においても脱・属人化に寄与する」と言う。 (2023年7月25日号掲載)

THK(株)

2023年08月04日

タカラスタンダード、川口ショールームを移転

 タカラスタンダードは7月29日、埼玉県の川口ショールームを移転リニューアルオープンし、展示内容の充実を図る。 埼玉県川口市は、住宅ローン専門金融機関による「本当に住みやすい街大賞」で2020から2022年まで上位にランクインした、ここ数年で注目を集めている地域だ。 人口は年々増加傾向で、マンション・戸建て共に新築着工も多い人気エリアとなっている。  新たなショールームは以前に比べて駅に近く、人通りが多い場所に移転。展示も若年層から高齢層まで、各年齢層の嗜好に合わせたさまざまなタイプをそろえる。 キッチンでは、L型、?U列型、セミフラット、小間口を展示。浴室は各サイズの展示をし、来場者に実際に納入前に商品を体験。使い勝手、清掃性などを納得したうえで購入できる。 また、地域で需要の多いマンションリフォームに特化したコーナーも新設。マンションならではの躯体上の制限などをリアルとデジタルで確認し、工事内容やリフォーム後の生活を具体的にイメージしながら商品を選べる。▽住所=埼玉県川口市栄町3-8-16 川口埼栄第二ビル2F▽TEL.048-259-6591 (2023年7月25日号掲載)

2023年08月04日

三菱マテリアル、チタン加工向け座ぐり加工用ドリル

 三菱マテリアル(加工事業カンパニー=東京都千代田区丸の内3-2-3、TEL.03-5252-5200)は座ぐり加工用超硬ソリッドドリル「DFAS」(切削径3.0-14.0mmの計95アイテム)を7月3日に発売した。内部給油式でチタン合金などの加工においても安定した性能を発揮する。先端フラット形状で、傾斜面や曲面の穴加工、薄板加工にも好適。 DFASは切りくずをスムーズにカールさせ整流化するXRシンニングを採用し、低抵抗かつ優れた切りくず分断性能を発揮する。切れ刃コーナー部にはフラットランド(ギャッシュ)を設けることで強度を確保し、シャープな切れ刃により抜けバリを抑制。標準価格は代表型番で税込1万1330円から。 (2023年7月25日号掲載)

三菱マテリアル(株)加工事業カンパニー

2023年08月02日