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ロボットSIerが食品分野に照準

 様々な産業分野で自動化が進んでいるが、ハードルが高いとされるのが食品分野だ。個体差のある果物や揚げ物、粘性のある惣菜などを思い浮かべてもらえれば、ロボットハンドでは掴みづらいだろうことは容易に想像がつく。ところがそんな食品分野にあえて狙いを定めるロボットSIerは少なくない。自動車や電機など特定の産業分野だけを相手にしていては不況時のリスクが高く、ライバルも多いからだ。 約1200種のハンド&チャックをもつメーカーとして知られる近藤製作所(愛知県蒲郡市)はSIerでもある。仕事の7、8割は自動車部品や電機メーカー向けで、「ほとんどのケースは硬いモノを掴むことが前提」と近藤茂充社長は言う。だが流れは変わってきた。「最近は少子高齢化で人手不足ということもあって食品や物流分野など今までお付き合いをしていなかった業界のお客様との商談が増えてきた」。自動化に慣れていないユーザーに対し同社は少し時間をかけて打合せをし、トライ&エラーを繰り返すことを心がけている。その際、ハンドリングができるかできないかでシステムは大きく変わると言う。「食品や物流分野では掴むよりも吸着させるほうが効率的なことがあるので、今後は吸着ユニットをもっと充実させる」考えだ。 ヤナギハラメカックス(静岡県榛原郡)も農業・漁業分野にはハンドがカギと捉え、ここ1年ほどは新技術をもつスタートアップ企業との協業に力を注ぐ。この分野の対象物はいくらカメラで毎回見ても個体差がある寸法を正確に把握するのは難しい。そこで同社はハンドをつくるFingerVision(東京都江東区)と協業し、特殊なハンドを用いようとしている。特殊なハンドとはこうだ。透明のシリコン製の指の表層に黒いドットが無数にあり、ハンドが何かを掴むとそのドットが圧力で変形・移動する。その動きを指に内蔵したカメラで捉えることで、力がどの方向にどれくらいかかっているのかを把握する。同社の秋原俊介営業部長は「一次産業にはプレーヤーが少なく、お客様にも自動化の知見が少ない。ユーザーさんや周辺機器メーカーさんと一緒にこの分野の自動化に取り組みたい」と言う。 (写真=FingerVisionの視触覚ロボットハンド) (2024年7月25日号掲載)

2024年08月06日

パナソニックHS、22年ぶりのフロントオープン食洗機搭載

 パナソニック ハウジングソリューションズの高級グレードシステムキッチン「Lクラスキッチン」に注目が集まっている。ライン取っ手やキッチン足元の扉ラインを揃え、納まりの美しい一体感のあるデザインもさることながら、パナソニックが23年12月に22年ぶりにラインナップに加えた「フロントオープン食器洗い乾燥機」をいち早く搭載したキッチンだからだ。 国内メーカー唯一の60?a幅の食洗機は、1回で約12人分の洗浄が可能な大容量タイプ。「ヒーター乾燥機能」や「ナノイーX」による「除菌機能」など高温多湿な日本の気候に合わせた設計となっている。12月の発売以降、Lクラスキッチンではフロントオープン食洗機の搭載率が30%を切ることがないなど人気の程がうかがえる。 導入ユーザーからも「以前の幅45?aの食洗機では収まらない大きな鍋やフライパンが入ります。衛生面に配慮しながら、朝昼晩3人分の食器を夜にまとめて洗えるのがうれしいです」と好評。 (2024年7月25日号掲載)

2024年08月06日

ユニフロー、4K版サイネージスイングドア

 スイングドア国内シェア1位のユニフローは7月8日、ミナト・アドバンスト・テクノロジーズとの協業により薄型サイネージを搭載した新タイプサイネージスイングドア「WiCanvas(ウィーキャンバス)仕様」(仮称)を発売すると発表した。 サイネージスイングドアは昨年5月に同社が開発した世界初のデジタルサイネージ内蔵型スイングドア。導入店舗では商品のPI値(レジ通過客千人当たりの購買指数)が上昇するなど効果が表れている。 ウィーキャンバスは薄型・軽量な4Kパネルを搭載。より高画質・高品質なコンテンツを放映可能。配信用装置を内蔵し、コンセントが1口あれば既存のスイングドアからの入れ替えも容易。1つのシステムで同一店舗内のサイネージを一括管理できる。 (2024年7月25日号掲載)

2024年08月05日

ノーリツ、利便性高めたガスコンロをモデルチェンジ

 家事時間の時短をかなえる多機能でありながら、デザインはシンプル。ノーリツは使いやすさだけでなく手の届きやすい価格でシンプルなガラストップガスコンロ「Fami」シリーズをモデルチェンジ、8月1日より発売する。 新たに加わる「Mikke(ミッケ)」と「Fami」の2種展開となり、Mikkeはグリルに「無水両面焼」「オートグリル機能」を、famiは「無水両面焼」を搭載。焼き加減や時短調理をアシストする。 両モデルに共通して、トッププレートはガラス面との段差が少なく、エッジをフラットな形状に刷新した「つやめきガラス」を採用。強度が高く衝撃に強く、ガラストップならではのお手入れ性とデザイン性を兼ね備えながらも、キッチン空間の上質感を演出する。カラーバリエーションに「シルバーピンク」を追加予定だ(Mikkeシリーズのみ)。 またバーナー間の距離を従来品より広げた。天板サイズ75?aの場合で2?a、天板サイズ60?aタイプは3?a拡大し、大きな鍋やフライパンを並べられる。共働き世帯が増え家事の時短ニーズが高まる中、週末の作り置き調理時も使いやすくなる。 環境性能にも配慮する。同社が「業界最高のエネルギー消費効率」という「スマートエコバーナー」を採用。炎が鍋に当たる面積が広く、省エネ基準達成率101%、同社の従来品と比べて約12%のCO2削減が見込める。 新グリル容器「ロティプレートS」にも対応する。グリル庫内への油はねを99・9%カットする専用グリル容器の面積は従来品より約15.5%拡大し、大きな食材も調理しやすい。 価格はMikkeが20万1630円(天板サイズ60?a)から、Famiは17万4900円(同)から。ロティプレートSが9900円。(いずれも税込み) (2024年7月25日号掲載)

2024年08月05日

ノーリツ、堅牢なデザインのステンレス製全面ごとく

 ノーリツは8月20日に、ガスビルトインコンロと一体感がある堅牢なデザインを採用した全面ごとく「STOVE GRATES(ストーブグレイツ)」を発売する。 調理中の温度を見える化した「温度クック機能」搭載のガスビルトインコンロ「Orche(オルシェ)」をはじめ、同社製の「スマートエコバーナー」搭載のガスビルトインコンロに対応する。ステンレス素材を採用しており、ガラス天板のビルトインコンロとの一体感を高め、堅牢なデザインに仕上げた。また、左右2分割構成により、従来品と同等の実用性と安全性を確保。ダイナミックな鍋ふりや鍋ずらしも可能で、「調理する楽しさ」をサポートする。 幅が75・60?aタイプの2種類。価格は税込み5万5000円。 (2024年7月25日号掲載)

(株)ノーリツ

2024年08月02日

アクセルラボ、戸建て向けスマートインターホン

 アクセルラボ(東京都新宿区・小暮学代表取締役)は7月3日、ナスタ(東京都港区・笹川順平代表取締役兼CEO)と開発した戸建住宅向けのスマートインターホン「Nasta Interphone AL(ナスタインターホン エーエル)」の提供を開始した。 同社はスマートホームサービス「SpaceCore(スペース・コア)」において集合住宅向けのスマートインターホンを提供していたが、今回新たに戸建住宅に特化したセキュリティ機能の高いNasta Interphone ALを市場投入。 訪問者の有無によらずインターホンのカメラで24時間自宅前を録画でき、不在時にも訪問者の用件を映像と音声を後から確認できるなど防犯カメラとしても活用できる。従来の「呼出」ボタンに加えて宅配専用のボタンを用意。インターホンから宅配ボックスへの投函を誘導する自動音声が流れ、在宅中でも対面せずに荷物を受け取れる。SpaceCoreの「スマート宅配ボックス」と組み合わせると、アプリに受け取り通知が届く。宅配業者の来訪確認から投函荷物の内容確認まで一元で管理できる。物流の2024年問題によりドライバー不足が深刻化する中で、再配達を削減する。スマートロックや電気錠との連携により、遠隔でアプリから鍵を解錠することも可能。家族の外出や家事の途中でも、鍵管理の手間や紛失などの不安を解消する。 ブラック・シルバー・ホワイトの3色をラインナップ。寸法はW96?_× H130?_× D22?_(埋込時)。 (2024年7月25日号掲載)

2024年08月01日

ワンド、パーツ組み替えるモジュール式キッチン

 パーツの組み替えにより、自分好みの使いやすさやインテリアテイストを追求できるワンドのモジュール式キッチン「SOU」シリーズ。 天板とスチールのフレーム、ラックで構成されたシンプルな設計は、無骨ながら洗練されたデザインで開放感がある。ステンレス、石英・クオーツを主成分に樹脂や繊維を配合した素材などの天板3種類と、面材12種類の組合せのほかに、水栓やレンジフードを選べる。ワイヤーボックスやスチール製網棚などオプションパーツを上下好きな位置に設置でき、オープンスタイルのキッチンがもたらす空間の自由度の高さがウリだ。 建築設計事務所「サポーズデザインオフィス」のデザインと一体となって生まれたSOUは、重厚的な雰囲気の素材から、クラフト感のあるラフな印象を活かした面材など、インテリアに合わせてパーツごとに選択可能。画一的な雰囲気になりがちなキッチンといったイメージを払拭する。 間口は2100~900?_までラインナップ。「集合住宅のリノベーションや、戸建ての2階のサブキッチンや別荘、店舗や事務所の給湯室でも引き合いが多い。他にもトレーラーハウスやガレージハウスにも採用されました」と中部営業所の柴田大輔氏はバラエティに富んだ引き合い状況を語る。 通気性の良いワイヤーボックスや網棚は水回りで気になる湿気がこもらず、食器や調理器具も取り出しやすい。収納している時もお気に入りの食器がインテリア代わりになり、キッチン空間のアクセントとなる。 設置後も収納レイアウトを変更できるため、生活シーンやライフステージの変化にあわせて変更できる。共働き世帯の増加や、住まい、家族形態の変化など、変化が速く幅も広がった近年のキッチン事情にもフレキシブルに対応する。 また、自分の好みのキッチン空間を追求できる造作キッチンは高価格になりがちだが、モジュール式とすることで価格を抑制。主な材質はステンレス天板と鉄製のフレームキャビネットと、シンプルなフォルムやスリムなスチールフレームで、「自分にピッタリ」な洗練された水回りをデザインする。 (2024年7月25日号掲載)

ワンド(株)

2024年08月01日

山善、FA・SIer会総会

 山善FA・SIer会総会が7月11日、ホテル日航大阪(大阪市中央区)で開催され、正会員19社(22人)、準会員19社(22人)が参加した。 山善TFS支社の中山勝人支社長が23年度実績報告と24年度の方針説明を行った。「23年度のTFS支社の実績は昨年度比2・5%増となった。構成としては工作機械に関連するMP課は前年比でダウンしたが、FA課は人手不足による自動化案件が伸び、建設設備課は省エネ関連設備が堅調だった」と報告。「エネルギー高騰や人口減少などの社会課題に対してTFS支社はSDGs(社会貢献)、Challenge(新規開拓)、Connect(自動化システム推進)、Engagement(やりがいの創出・女性の活躍)を強化して対応する」とし「今期、TFS支社の取り組み方針として2割の新しい仕事に挑戦する」と語った。具体的な施策として今4月より半導体関連事業への営業強化を目的に新規事業開発部を新設、九州地区での食品、薬品、化粧品業界での売上拡大のため西日本事務所の新設ほか、7月に新大阪駅近くに現在の約3倍の広さの「ロボットテストラボ」をオープンし協働ロボットの拡販を図る。中山支社長は「こうした施策を通じて今期TFS支社の自動化案件の受注目標、昨年度比35%増の100億円を達成する」と宣言し「目標達成のためには正会員・準会員の皆様の協力が必要だ」と呼び掛けた。 その後、山善FA・SIer会の役員の選定などが行われた。会長に再任された中西功帯氏(中西機械代表取締役)が「購入品や仕入れ部品、人件費などの高騰で我々の経営環境は悪化している。私を含め幹部で6月に各取引先を訪問し素直に事情を説明し価格改定をお願いしたところ、『値上げはダメだ』と言われたところは一社もなかった。誠意を尽くコミュニケーションを取り、より良いものをより安く、責任をもって提供していく我々の企業努力を怠ることなく、ウィンウィンの関係を構築していくしかない」と挨拶した。 (2024年7月25日号掲載)

2024年07月31日

松浦機械製作所、自社展で新OS訴求

 松浦機械製作所は7月2~4日、福井県の本社工場で自社展を開催した。昨年リリースの新オペレーティングシステム「MiOS 4(Matsuura integrated Operating System)」を搭載した5軸立形マシニングセンタ「MXシリーズ」と、その上位機種「MAM72シリーズ」を多数展示。ユーザーの7割を占める多品種少量生産を念頭に、同社機の特長である長時間無人運転におけるミスの防止や効率化につながるMiOS 4の機能を紹介した。 多品種少量生産では生産品が日々変動し、飛び込みの特急依頼もある。生産品目も多く、段取りをいかに効率化しつつミスを防ぐかが生産性を左右する。 これに対しMiOS 4は、加工プログラムや作業指示書などワークごとの付帯情報をすべて紐づけた「プロジェクト」を千件まで保存可能。数年ぶりの注文でも必要な加工データを一括で呼び出し、ミスを抑え正確に段取りできる。プロジェクトはパレットごとに4つ登録でき、有効/無効を切り替えることで治具はそのままに加工内容を変える柔軟な運用も可能という。 予定した加工の完了時間を可視化する機能も盛り込んだ。スケジュール運転前に計画に無理や過剰な余裕がないかを確認することで、最適な稼働が可能に。突発依頼で計画に変更が生じてもスケジュールを柔軟かつミスなく修正できるようにもなる。さらに段取りの漏れを防ぐ機能を搭載。加工プログラムの設定や工具の不備など、無人運転に必要な段取り項目を一度に自動で確認可能とした。人的ミスで運転が止まる事態を防ぎ作業者のストレスを軽減。長時間無人運転の不安を解消し、安心して機械の稼働率を高められる。 MiOS 4の搭載機種は順次拡大中。担当者は「ユーザーの声を元に開発した。画面デザインも一新し徹底的に多面パレット用に作り直している。使いこなせば確実に可能性が広がる」と力を込める。会場ではMiOS 4を操作し運転完了時間の算出や段取り漏れのチェックなどを実演。工場内も案内し、高精度な機械づくりのこだわりや同社自身が長時間無人運転を実践し生産性を高めていることを示した。 (2024年7月25日号掲載)

(株)松浦機械製作所

2024年07月30日

コロナ、ウインドエアコン窓枠用アタッチメント

 コロナ(新潟県三条市東新保7-7、TEL.0256-32-2111)は別売部品「ウインドエアコン窓枠用アタッチメント(WMA-1)」を6月24日に発売した。これまで取り付けられなかった樹脂サッシや複合サッシにもウインドエアコンを取り付けられるようにするもの。全国の量販店や同社公式オンラインストアで購入可能。 樹脂サッシへの設置や補助金具を使用せずに設置する方法について多くの問合せが寄せられたことに応えた。WMA-1は上下2種類のアタッチメントで構成し、窓の額縁にねじ止めなしで取り付けられる。ねじの跡が残らないため賃貸住宅でも設置しやすい。価格は税込み7920円。 (2024年7月25日号掲載)

(株)コロナ

2024年07月30日

ロボット切削、前進へ

 産業用ロボットによる切削加工がにわかに広がりそうだ。ロボットSIerや切削工具メーカーなど8社は7月4日、「ロボット加工技術研究会」を発足すると発表した。ロボットを用いた切削加工などの用途および市場の拡大を目指す。 この研究会の参画企業はトライエンジニアリング、イワタツール、ファナック、安川電機、田野井製作所、フジBC技研、レニショー、ジェービーエムエンジニアリング。同日愛知県内で開いた会見で、発足人であるトライエンジニアリングの岡丈晴専務取締役は「産業用ロボットによる切削加工は30年以上前から大学などで研究されてきたが、なかなか実用化に至らなかった。一方で欧州では航空機、船舶の分野で活用されている」と設立の背景を話した。同社は10年ほど前からロボット切削に取り組み、削り・穴あけのほかFSW(摩擦撹拌接合)などで成果を上げてきた。「参加企業の知見をもち寄って社会的な地位を確立し、導入コストを含めてより良い市場をつくりたい」とした。 研究会はまずは切削加工から取り組み、バリ取り・研削・研磨なども見据える。もう一人の発足人であるイワタツールの岩田昌尚社長は「ロボット切削では剛性の低さが指摘されるが、ギガキャストに関してはワーク剛性の低さがあり、互いの知見をうまくフィードバックでき得る。研究は一方方向ではない」と見る。参画企業からは「欧州もロボット切削についてはそれほど成功しているとは思っていない。世界でもう一段上のレベルを目指したい」(ファナックの安部健一郎常務執行役員)との意気込みも。今後は大学、研究機関、代理店などの参加も検討していくという。 (2024年7月25日号掲載)

2024年07月29日

山善が3アイテムを販売強化

 猛暑が続き、自宅やアウトドア、作業現場でその対策が求められるのを受け、山善は節電をしながら猛暑対策ができる3アイテムを紹介している。バッテリー家電「ELEIN」シリーズの「コンパクトクーラー&扇風機」は持ち運びに向く。私用するリチウムイオンバッテリーは対応するすべての家電に使える。対応家電やソーラーパネル(4アイテム)は6月上旬から順次発売している。 身体をダイレクトに冷やしたい人には「水冷服 DIRECT COOL PREMIUM」がおすすめ。ウェアの内側に張り巡らせたチューブに、凍らせたペットボトルなどで冷やした水を循環させて冷やす。工場内、倉庫、屋外での作業や野外フェスなどに向く。 大風量を求める製造現場など向けにはキャスター付きのスポットクーラー「クールレボリューション」が好適。体感温度12℃の冷風を約50?b先までピンポイントに届ける。スイングとストレートの2仕様を用意し、オプションで排熱ダクト取付も。今年の販売台数はすでに昨年の約2倍の好評という。 (2024年7月25日号掲載)

2024年07月29日

食品業界、工場用地取得半導体越え

 経済産業省の工場立地動向調査によると、2023年に食料関連業種(食料品および飲料・たばこ・飼料製造業)が新たに取得した工場立地は、敷地面積ベースで前年比7.5%増の193㎡だった。大規模な助成を背景に新設に湧く半導体関連を含む電子・デバイスが167㎡であり、件数・敷地面積ともに他の製造業種を大幅に上回る水準だ。一方、「食品産業の生産性向上・事業承継について」(農林水産省)を紐解くと、食品産業の労働生産性(従業員1人当たり付加価値額)は、全産業平均や同業種と比較して約6割程度と低い。インバウンド需要などを見越した旺盛な設備投資意欲と裏腹に、進まぬ自動化・省力化に喘ぐ業界の姿が見えてくる。 日本惣菜協会の荻野武氏は「製造業のなかで食品製造業は働いている人が非常に多く、また労働生産性が低い。自動化をすべきとはわかっていても、人間の手の機微な動きをロボットに置き換える困難さはもちろん、中小事業者が多い食品業界ゆえに大きな投資もできない」と話す。労働生産性の低さは賃金の低さにもつながり、平均年収250万円前後と全産業平均や同業種と比較して低い水準にある。これがますます人手不足に拍車をかけている。 食品業界の専門紙「日本食糧新聞」の平山勝己副社長は「価格競争が激しかったこと、中小企業が多いことなどで自動化は遅れていた。コロナ禍や円安で外国人技能実習生が受け入れにくくなり、主婦パートが高齢化したことなどで人手不足が深刻化して切羽詰まっている。食品メーカーは大なり小なり、みんな工場を持っているので今後自動化省人化の需要は膨大にある」と話す。他方、金属加工や自動車産業で培ったノウハウや技術を、食品業界を含む三品業界に展開したいと考えているSIerも多い。しかし大手SIer幹部は「もっとも問い合わせが多いのが食品業界。そしてもっとも成約に至らないのが食品業界。パートタイマーさんの時給と比較されるとなかなか価格が合わない」と苦笑する。中堅即席めんメーカーの社長も「製造した食品を持って帰ってもらったり、まかないがあったりと時給以外のプラスαやアットホームさがあり、外国人技能実習生の受け入れも含めて、なんだかんだでこれまで人は来てくれていた」とする。 しかしコロナ禍を経て状況は一変した。「数年前までは人件費と投資額の比較だったが現在は、そもそも人が集まらず事業が立ち行かない」(大手機械商社)としFOOMA JAPANに出展した際も「すぐに来てほしいという案件が増えている。それがこれまでと違う」(同)と実感したという。これまでの様子見から、自動化投資の本格化へ潮目が変わった可能性が高い。 ■関西で食品産業の自動化展誕生  昨年、食の都「大阪」で「食品工場スマート化総合展」が産声を上げた。日本食糧新聞社が主催し、23年に3万人を超える来場者を記録した食品や機器・容器の専門展示会「FABEX関西」と同時開催され、食品製造に関する専門誌「月刊食品工場長」が共催するもの。今年は10月16日から18日にかけてインテックス大阪で開催される。出展申し込み締め切りは8月19日を予定する。FABEXは食品と機械を混合展示する珍しい形式の展示会。その大きな動員力を活用し食品と機械を橋渡しするスマート化技術で自動化・省力化へ貢献する考えだ。 まだ誕生したばかりの展示会だが「これまでのデータから大阪会場では8割以上が関西からの来場者になる。関西には関西の市場があり東京開催とは違ったアプローチが出来る。インバウンドを見越した旺盛な設備投資意欲と、深刻な人手不足を背景に今後大きく成長していく」(平山副社長)と自信を見せる。昨年の出展者からも「関西では最大規模のイベントであり、思いのほか多くの引き合いを頂きリアル展示会の良さを再認識した」との声も聞かれる。西日本では食品工場の自動化・省人化をテーマにした展示会は少なく、西の「FOOMA JAPAN」へ成長していくか、第二回目が試金石となる。 (2024年7月25日号掲載)

2024年07月26日

日新ダイヤモンド、ダイヤモンド工具のラインナップ追加

 オーエスジーのグループ会社である日新ダイヤモンドは、「N-Brand」のラインナップを追加、8月1日より発売する。 「N-Brandはニッチな市場へニッチな商品を標準化するブランドライン。昨年10月の発表以降、好評を受け今回追加ラインナップの投入に至った。メジャーな市場ではなく、あえてニッチな市場をターゲットとするダイヤモンド工具の裾野を広げ、多くのお客様にダイヤモンド工具の長寿命、効率化、高精度を知っていただきたい」(同社) 今回は、単結晶ダイヤモンド旋削用インサート「N-Insert」を4種増種する。非鉄金属・樹脂等の加工において、切削のみで鏡面仕上げを実現する小径加工用向けを追加予定。単結晶ダイヤモンドドリル「N-Drill」は「業界初の単結晶ダイヤモンドの2枚刃設計」(同社)とし、径0.3ミリ~1.5ミリまでをラインナップ。セラミックスやガラスなどの硬脆性材の穴あけに向く。他には単結晶ダイヤモンドの面取りカッター「N-ChamferMill」、ボーリングバイト「N-Boring Bite」、1枚刃コーナーR付スクエアエンドミル「N-Radius Mill」、2枚刃スクエアエンドミル「N-Double Square Mill」など合計6種類の製品を追加する。 (2024年7月25日号掲載)

2024年07月25日

オリオン機械、小型水素発生装置

 オリオン機械は8月より小型水素発生装置「PGH05A-G1/G2」の販売を始める。同社はこれまでにも水素ステーション用の冷却機器「プレクールチラー」「プレクール熱交換器」を手掛けており、国内では46%のシェアを持つ。この度の発表によって、インフラ向け装置の販売だけでなく水素利活用を促進していきたい考えだ。 7月9日に開いた報道陣向けの説明会で同社・専務取締役の片桐智美氏は「現在普及している水素は20MhPaほどの高圧水素。保管や再充填の難しさがあった。本製品は毎分0.5?g(毎時30?g)の水素が得られる。少量の水素を外部から調達している分析装置や燃料電池研究で使用できるのではないかと考えている」と話す。 併せて、Go-Tech事業(成長型中小企業研究開発支援事業、旧サポイン事業)に「省エネルギー型水素共有発電システムの開発」が採択されたことも発表。水素の利活用を促進するため、(1)(毎時5000?gの)水素発生装置、水素貯留設備(水素吸蔵合金)のワンパッケージ化(2)単位消費電力当たりの水素発生量を現行品より20%以上増加(3)水素発生/貯蔵と水素利用(燃料電池発電)の時間差を埋める(4)汎用的なコストの実現に取り組む。2026年6月には同社・須坂インター工場(長野県須坂市)へ同システムの試験導入を予定する。 「現在、同様のシステムを組もうと思うと8000万円から1億円ほどかかる。我々は中小企業でも水素を利活用できるシステムをパッケージ化し、低コスト化していきたい」(片桐氏) (2024年7月25日号掲載)

オリオン機械(株)

2024年07月24日

山善、札幌支店倉庫をデポに

 山善は5月1日、札幌支店内の倉庫に簡易LMS(統合物流管理システム)・WMS(倉庫管理システム)を導入し、「札幌デポ」(=写真)として稼働した。主に機械工具類の在庫アイテム数を拡充するとともに即納体制の強化を図る。 札幌デポには現場への即納が必要な切削工具、測定機器、作業工具などの機械工具類を中心に、在庫アイテム数を従来の約2千から5千に拡充し、小規模配送拠点として活用する。札幌市近郊において、当日配送機能を強化しながらリードタイムの短縮などサービスレベルの向上も図る。同社は「今後も地域密着型の小規模配送拠点である『デポ』を全国各地に構えることにより、短距離配送を実現しつつ『2024年問題』に対応するほか『輸配送時のCO2削減』などにも注力していく」としている。 (2024年7月10日号掲載)

2024年07月23日

スギノマシン、ロボ切削用エンドエフェクター開発

 スギノマシンは6月13日、ロボットによる切削加工用エンドエフェクター「SELFEEDER DUO Robot Edition」を開発したと発表した。9月18日から3日間、東京ビッグサイトで開催するロボット専門展示会「Japan Robot Week 2024」に出展し、10月から受注を開始する。 本製品は産業用ロボットの先端に取り付けて、ロボットによる切削加工を可能とするロボット用エンドエフェクター。同社製のドリリング・タッピングユニットのベストセラー「SELFEEDER」をベースに、スピンドルを前進・後退させる送り機能や主軸に直行する高剛性スライドユニット、送り軸負荷検知制御システムなどを搭載することで、ロボットでの切削加工を可能にした。 「切削加工の一連動作(加工送り・ツールの回転)はエンドエフェクターのみで完結でき、加工精度がロボットの剛性や軌跡精度に依存しないため、穴あけ・ねじ立て加工はもちろん、ロボットでは難しいとされていたフライス加工までも高精度で行うことができる」(同社) 近年、航空機や船舶の部品、自動車向けのギガキャスト部品など、大型部品の加工需要が拡大しているが、加工内容によっては大型のマシニングセンタでは機能や能力が過剰になるケースがある。同社は多関節ロボットに切削加工能力を持たせることで、加工に関する要求能力とコストを両立することができるとみる。 (2024年7月10日号掲載)

2024年07月22日

ノーリツ、堅牢なデザインのステンレス製全面ごとく

 ノーリツは8月20日に、ガスビルトインコンロと一体感がある堅牢なデザインを採用した全面ごとく「STOVE GRATES(ストーブグレイツ)」を発売する。 調理中の温度を見える化した「温度クック機能」搭載のガスビルドインコンロ「Orche(オルシェ)」をはじめ、同社製の「スマートエコバーナー」搭載のガスビルドインコンロに対応する。ステンレス素材を採用しており、ガラス天板のビルトインコンロとの一体感を高め、堅牢なデザインに仕上げた。また、左右2分割構成により、従来品と同等の実用性と安全性を確保。ダイナミックな鍋ふりや鍋ずらしも可能で、「調理する楽しさ」をサポートする。 幅が75・60センチタイプの2種類。価格は税込み5万5000円。 (2024年7月25日号掲載)

(株)ノーリツ

2024年07月22日

北村製作所、新機能をくし形刃物台旋盤にB軸主軸追加

 北村製作所はこのほどベストセラーくし形刃物台旋盤「KNCシリーズ」に新機能「B軸機能付き主軸」を追加した。B軸機能付き主軸は主軸を右に20度首を振る機能で、NC制御により0.1μm単位で角度割出ができる。 同シリーズは省スペースでありながら高い剛性と精度を誇るが、本機能も加工精度は真円度:0.15μm/真直度:0.2μm/端面:0.15μmと標準仕様機と変わらないため、普段は高品位小物部品の精密加工用として使用し、複合加工時にB軸機能付き主軸を使用するなど使い分けも可能。本機能と回転工具を組み合わせれば、斜め穴加工や単軸(Z軸のみ)での高精度テーパー加工を実現する。 同シリーズはカスタマイズ性にも強みを持つ。特殊ユニット(研磨ユニットや6角タレット)の搭載でユーザーの細かなニーズにも応える。 (2024年7月10日号掲載)

(株)北村製作所

2024年07月19日

YKK AP、カバー工法ドアに複合構造採用

 YKK APは7月2日、業界で初めてカバー工法のドア枠にアルミ樹脂複合構造を採用した玄関ドア「ドアリモ 玄関ドア D50」を発表、8月5日から発売する。 扉の厚さを70?_とすることで無採光デザインでは非貫流率0.95W(?u・K)を実現し、今年から「先進的窓リノベ2024事業」に追加された「ドア交換」の最上位SSグレードを取得した。 既存の枠に新しい枠をかぶせるカバー工法のため交換が容易。従来のカバー工法は外気温がマイナス15℃以下になるような寒冷地において、下枠の表面に発生した結露水が凍結し枠と扉が貼り付き開かなくなる課題があった。下枠に熱遮断構造の形材を採用することで、室内側の結露の発生を抑制し凍結リスクを低減した。 ラインナップは無採光タイプ(SSグレード)を6デザイン、採光付きタイプ(Sグレード)を14デザインの計20デザイン。色もアルミカラーの他に木目調など9色を用意。断熱改修だけでなく、住まいの外観をデザインすることも可能。価格(税込)は枠寸法1235×2356?_の親子扉で83万円。 (2024年7月10日号掲載)

2024年07月19日

ジェイテクト、円筒研削盤に小物量産加工タイプ

 ジェイテクトは6月17日、CNC小型円筒研削盤「G1 Series」に、小物量産加工に最適な「Type Bt」を追加した。 G1 Seriesは高生産から高品質まで、用途に応じて選べる5つのタイプを用意しており「ニーズが高い小物量産加工に対し『e 300Gi』をリニューアルした。価格と品質のバランスが取れたG1 Seriesの『Type Basic』の中にBtを追加し、ラインナップを拡充した」(同社)。 CNCは従来の「TOYOPUC-GC70」に加えて「FANUC 0i-TF PLUS」が選択できる。 また、主軸NCシフト機構を選択すると、工作物の長さに合わせて自動で主軸の心間調整を実施。定寸装置の位置を一定にできるため段取り替えが不要となる。さらに工作物を両側センタの押し付け力で駆動させる両センタ駆動により、駆動金具レスで把持部がなく、外径全段研削が可能になる。2工程を1工程に集約でき、工作物の段取り替えを不要にした。 昼休み直後の生産に合わせるウェイクアップ機能とスリープイン機能により、非加工時間の消費電力を最大75%削減する。 (2024年7月10日号掲載)

2024年07月18日

コロナ、寒冷地向けFF式石油暖房

 コロナ(新潟県三条市東新保7-7、TEL.0256-32-2111)は寒冷地向けFF式(強制給排気)石油暖房機「AGRATIO(アグレシオ)」と「FIRNEO(フィルネオ)」の2024年モデルを7月中旬から北海道・北東北から順次発売する。 AGRATIOは同社のFF式石油暖房機の最上位機種。「暮らしをデザインする暖房」をコンセプトとし、白銀比(1:√2)を取り入れてデザイン性と暖かさを兼ね備える。本体内部に大きな遠赤外線パネルを搭載し、同社FF式石油暖房機で最大量の遠赤外線を輻射し(従来モデル比で約15%向上)、身体のしんまで温める。価格は税込み29万9200円。 FIRNEOは薄型でパワフルな暖房性能、充実した節約機能をもつ。独自の「遠赤外線ドーム」構造によりストーブ前面に効率よく熱を集め、遠赤外線と微温風で部屋を暖める。床暖房機能が付いた「フィルネオ床暖」も用意した。26万9500円。 AGRATIO、FIRNEOともにワンタッチで省エネができる「ecoモード」を搭載。自動運転時にeco運転ボタンを押すと設定温度が20℃(20℃は初期設定であり変更可能)に切り換わり、最大火力を抑える。室温が設定温度より約3℃上昇すると消火する「セーブ消火」機能も搭載。両機種とも薄型でアグレシオは壁から機器前面(ガードの張り出しを含む)まで約29?a、フィルネオは約34?a。 (2024年7月10日号掲載)

(株)コロナ

2024年07月18日

新型クラウンに日東工器「カプラ」採用

 日東工器が製造販売する高圧水素充てん用迅速流体継手「HHVカプラ」が、トヨタ自動車の燃料電池車(FCV)「クラウンセダン」(昨年11月発売)に採用された。HHVカプラはトヨタのFCV「MIRAI」「SORA」(バス)にも搭載されている。 HHVカプラは水素ステーションからの高圧水素ガスを充てんするための接続口。独自の構造により水素ガスの逆流防止や車両への異物の流入防止の機能を備える。 (2024年7月10日号掲載)

日東工器(株)

2024年07月17日

神戸ものづくり中小企業展示商談会

 地元の中小企業などが持つ優れたものづくり技術を発信し、商談も行う「第16回神戸ものづくり中小企業展示商談会」と中小企業の自動化をサポートする「第6回今すぐ使えるIoT AI ロボット展」が6月28日、神戸サンボホールで同時開催された。 THKは川崎重工業のロボットとコラボして出展。ハンドを2種類展示し、一つは1本の指に3軸のモーターが入っており合わせて12軸の関節を自在に動かして様々なワークを掴む。もう一つは「ならいハンド」でワークの凹凸に合せて多数のシャフトをならわせてロックする。「川崎重工業とコラボしたのは地域柄もあるが、ロボットの制御のほうでTHKのハンドもプログラムを組める利点がある」(THK担当者)とした。 ■中小企業に導入しやすく  初出展となるHKテクノロジー(兵庫県神戸市)は協働ロボットとAIとカメラから構成されたTechman Robot社の「TM Robot」を活用したソリューションを展示。デモンストレーションではアルミパーツの外観検査を披露した。「専用機にならないように設計して中小企業に入れやすくした。当社は原子力発電所のフィルターを作っているが、そこで活用し大きくコストダウンできた。それを今後外販していく」(担当者)とした。 ??丸工業(兵庫県西宮市)は、協働ロボットを中心としたソリューションを展示。??丸正社長は「昔からロボットSIerをやっているところは当社も含め人協働ロボットに少し距離を置いていた部分がある。当社も年間1台ぐらいだった人協働ロボットの案件も5台ぐらいに増えてきている」とした。 (2024年7月10日号掲載)

2024年07月17日