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南雲製作所「公差ゼロ」狙うプレス金型メーカー

投稿日時
2026/10/15 09:00
更新日時
2026/10/15 09:00
2台揃った三菱電機の「MP1200」

積極投資で「新陳代謝をあげる」

北陸新幹線の上越妙高駅から車で20分。田園風景が広がる新潟県上越市にある金型メーカー、南雲製作所(1947年創業、社員111人)を訪ねた。主力の三和工場は地域有数の規模を感じさせる大きな社屋で、その裏手には拡張中の駐車場があり、人員増強の準備に入っているという。

「当社は金型を一貫して加工でき、キャパが大きく、検査体制も整っている」

今年4月に社長に就いた舟見豊氏に同社の強みを聞くと、すぐにそう返ってきた。舟見社長は25年前に新卒で入社し、機械オペレーターとしてワイヤ放電加工機による微細加工や高速マシニングセンタ(MC)での直彫り加工などに携わってきた。管理職時代には設計の打合せなどで顧客と直接対話する機会も多かったという。

同社の年間売上高は約20億円。部品加工がその6割を占め、金型設計・製作は3割弱になる。主な取引先業種は自動車関連が多く、電子部品、半導体製造装置、医療器具と続く。

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研削盤やマシニングセンタなど様々な加工機が密集する三和工場

保有する設備は放電加工機18台、MC10台、研削盤38台、3次元測定機4台など。放電加工機のうち水加工液仕様のワイヤが12台を占め、そのひとつが三菱電機製「MP1200」(ストロークX400・Y300㍉)だ。2018年に続き今年7月導入機は2台目。11月には中型の「MP2400」(X600・Y400㍉)を追加する予定で、MPシリーズは全6台となる。

■万能な三菱の水ワイヤ

加工スピードが速く、後処理しやすい水仕様機を条件としたとき、三菱電機製を選ぶ理由は「他社よりUI(ユーザーインターフェイス)がよく、迷わず操作できるうえ、社員教育もしやすいこと。加えて独自機能のMaisart(マイサート)があり、段差が大きいワークでも寸法精度を出しやすいこと。要はオールマイティー機と言えるところだ」と舟見社長は話す。Maisartはワークの厚みに応じて自動で細かく電気条件を変えて高精度加工を維持する。実際に現場を管理する製造部の渡辺潤課長は「位置出ししやすく、狙った寸法精度を出すことができる。さらに三菱製のCAMソフトは当然ながら機械との相性がいい」と言う。

これらの加工機は南雲製作所の主力製品であるプレート加工に力を発揮する。プレートとは金型を構成し、穴や形状を多数有する主要部品。「雄型と雌型の隙間が狭い金型において、この隙間をどれだけしっかり出せるかはプレートの精度にかかっている。顧客の要求精度は近年、ますます高まっているが、当社は公差の中心値をねらう『ゼロ狙い』で対応する」と話す。公差とは寸法に許されるバラつきの範囲を指すもので、寸法±○で表される。ゼロ狙いはこの公差をゼロと考えるもの。同社は90年代頃までは自社で金型を製作し電子部品をプレス量産していた。売型専門へと事業転換した後も、量産時の製品精度や再現性の高さが顧客に評価され続けている背景には、この「ゼロ狙い」の考え方がある。

今年2月、舟見社長は「2036年、売上100億円」宣言をした。あと10年で売上を5倍にする計画だ。この手の目標は期限を長く取ることが多いが、「時間があると無駄に過ごしてしまうもの」とし、「宣言したことで色々な事業を前倒しするいい起爆剤になった」と前向きだ。

それ以前から、同社は毎年1億円以上の設備投資を行っているという。「設備の能力以上のことを行うのは難しい。ミドルからハイエンドの機械を積極的に導入つつ、新陳代謝をあげる」。機械選定の基準はシンプルだ。「ほしい能力があるか」「したいことができるか」。そうした考え方とこれまでの積み重ねを聞くと、一見すると壮大な目標に思えた「100億円宣言」も現実味が感じられる。

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来年秋、主力の三和工場の敷地に工場増設を計画する舟見豊社長

(日本物流新聞2026年10月10日号掲載)