生産増強・M&A・ヒューマノイドで
ダイフクは5月28日、東京都内で記者懇親会を開き、2030年度の売上高1兆円達成に向けた成長投資の詳細を説明した。今年1月に代表取締役社長に就任した寺井友章氏が登壇し、26~29年にかけて新たに約520億円の戦略投資を実施すると表明した。
同社は現行の中期経営計画(24年4月~27年12月)において、通常の設備維持・研究開発費800億円に戦略投資枠800億円を加えた1600億円の投資枠を設定。24~26年度にはマザー工場の滋賀事業所(滋賀県日野町)の新棟建設に約220億円を投じるなど、生産基盤の整備を中心に成長に向けた投資を活発化させてきた。
今後は滋賀・小牧両事業所へ26~30年にかけて400億円の追加投資を行う予定。滋賀事業所のさらなる生産増強に加え、小牧事業所(愛知県小牧市)では半導体工場内で使用する非接触給電システムや制御ユニットの生産棟を全面改修し、AI半導体向けの旺盛な需要に対応する。
■買収・先端開発で攻勢
インオーガニック投資(買収や合併〈M&A〉による成長戦略)も強化する。今年7月には自動車向けの塗装・表面処理設備を手がける独・EISENMANN(アイゼンマン)の全株式を約120億円かけて取得。欧州の自動車メーカー向けに強みを持つ同社を傘下に収め、これまで薄かった欧州事業基盤の拡充を図る。寺井氏はこうした取り組みについて、「技術的に補完できるところであれば制約を設けずに機動的に買収していく」との考えを示した。
先端技術の開発にも余念がない。今年3月に開設した先端技術開発拠点「東京Lab」では、フィジカルAIやヒューマノイドロボットの研究開発を推進しており、30年頃に物流センターや工場での実証実験開始を目指す。寺井氏は取り組みの背景に賃金上昇や労働人口の減少があるとし、「5年、10年後には物流センターや工場で人を確保するのが難しくなるかもしれない」と危機感を示した。
開発するヒューマノイドロボットは二足歩行などの人型にこだわらず進め、ピッキングや空港の手荷物の積み込みなど人手に依存してきた工程を補完することを想定する。ハードウェアは自社開発のほか、外部との技術アライアンスも含めてオープンに検討する。寺井氏は「物流システム全体を統合・制御できることが我々の強み」とし、単体製品としてではなくシステムの付加価値として展開していく考えを示した。
(日本物流新聞2026年6月25日号掲載)