クレシア物流、デバン装置で輸入荷降ろしの工数削減
- 投稿日時
- 2026/08/25 15:07
- 更新日時
- 2026/08/25 15:12
マテハンを活用する物流現場の前線に迫る
海上コンテナから段ボール箱を一つずつ運び出すデバンニング作業は、物流現場の中でも最も負担が大きい上、自動化・省力化が難しい作業の一つとして知られる。日本製紙クレシアの物流を一手に引き受けるクレシア物流は昨年、輸入品の受け入れを行う千葉県流山市の拠点にアムンゼンのバッテリー駆動式デバンニング装置「イージーデバン」を導入。荷降ろし作業の負担を大幅に軽減した。
流山の拠点は、日本製紙クレシアの製品を全国26カ所のセンターへ送り出す物流の要で、月間の取扱量は約50万ケースに上る。うち3割弱を占めるのが、海外で生産された輸入品だ。1日に3便到着する40フィートコンテナ(約12㍍)には、ぎっしりと製品が積み込まれており、その数は1本1000箱を超えることも少なくない。腰痛などの作業者負担を考慮し1箱の重量を15㌔未満に抑えているとはいえ、7時、9時半、13時半と定期的に訪れるトラック便を滞らせないためにも、限られた時間内に降ろし切ることが求められる。
かつてこの荷降ろしは、派遣スタッフに頼っていた。だが、コンテナ内での重労働は敬遠されがちで、とりわけ夏場は熱がこもり負担が増す。人材の定着が難しく、社員が代わりに出ることも少なくなかった。

取材当日は1つ目の箱を取り出してから約75分で作業が完了した
「全社的な作業環境の改善に取り組む中で、現場から出てきたのがデバンニング作業の見直しだった」(同社 代表取締役 社長 中井 悦三郎 氏、以下同)
■半自動を選んだ訳
当初はロボットを用いた完全自動化も検討したが、決め手には欠けた。海外から長距離を運ばれてくるコンテナは、中の段ボールが傷んでいることが少なくないためだ。「コンテナごとに中の状態が大きく違うため、扉を開け中を見てから柔軟に対応する必要がある」。画一的な処理に向くロボットでは対応が難しかった。
さらに、衛生用品は外箱の潰れや汚れで商品の印象を大きく損なう。傷みの発生が避けられない輸入品において、人の目による検品は必須で、作業者が関わりながら負担を軽減できる装置が求められた。
「イージーデバンは人が一緒にコンテナ内に乗り込み作業をする。見た瞬間にこれだと思った」
中井社長がそう言うように、本装置はコンテナ内へ自走で入り込み、荷物の取り出しを支援する。先端に備える「イージーリフト」でワークを吸着して持ち上げるため、作業者は重い箱を抱え上げることなく、吸着して引き寄せ、コンベヤに載せるだけでよい。取り出した箱は駆動コンベヤで後方へ流れ、コンテナの外へと送り出される。従来2人で行っていた取り出し作業が1人でできるようになった。

荷物の受け側にもイージーリフトを設置。女性でも作業がしやすい環境を整える
実際の作業を見ていると、イージーリフトを使用しているのは下の2、3段。それ以外は人力で箱をコンベヤに移していく。一見、装置の性能を活かしきれていなようにも思えるが、そうではない。鍵を握るのが、作業台が最大1㍍ほど持ち上がる昇降機能だ。
「40フィートコンテナは高さが2.5㍍ほどある。最上段の荷物はどうしても取りにくい。以前は踏み台などを持って作業していたが、イージーデバンは昇降機能があるため格段に作業がしやすくなった」
導入の効果は人材の配置にも表れている。以前はコンテナ内で作業した人員の体力の消耗が激しく、便ごとに担当者を入れ替えながら作業を行っていた。今は同じメンバーで1日を通して作業でき、全体で約1人工ほどの省力化につながっているという。
「イージーデバンを導入する以前は午前の便が処理しきれず、13時半の便が来るギリギリまで作業していることもあったが、今ではそうした状況は見られなくなった。ドライバーさんの拘束時間の削減にも貢献できている」
導入から約1年。かつて派遣に頼り、人が入れ替わり続けた荷降ろしは、今は社員だけで回るようになった。イージーデバンの導入をきっかけに、過酷とされてきたデバンニングの現場が、静かに変わり始めている。

クレシア物流 代表取締役 社長 中井 悦三郎 氏
(日本物流新聞2026年8月25日号掲載)