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激甚化する水害に最大限の備えを~備えは「公助」から「全員参加」へ~

投稿日時
2026/06/10 13:49
更新日時
2026/06/10 13:58

広がり見せる防災産業

6月に入ったばかりの日本列島を、台風6号の猛威が襲った。2日から3日にかけて西日本から東日本に接近した台風は各地に大雨をもたらした。2日にはトヨタ自動車やスズキなど自動車OEM各社が工場の稼働停止を発表。首都圏の鉄道各社も運休や遅延の可能性をアナウンスした。連日の報道も相まって、在宅勤務などへの切り替えも多く見受けられ、大きな混乱は発生しなかった。


これは台風の規模が想定よりも小さかったからではない。和歌山県の古座川水系では命の危険が迫る「レベル5氾濫特別警報」が発表され、東京都心では12時間の降雨量が6月の観測史上最多の172.5㍉を記録。61カ月分の雨が降り注いだ形だ。こうした前例のない激甚な事態に、神奈川県川崎市では雨漏りによるエレベーターの停止や道路の冠水などが確認され、埼玉県川口市では住家の床上浸水が12件、床下浸水が45件発生するなどの被害もあった。

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こうした事態は近年繰り返されている。気象庁のデータによると、1時間降水量50㍉超の短時間強雨の発生件数は1976~85年の平均226回から2015~24年の平均334回へと約1.5倍に増加した。日降水量200㍉以上の大雨の発生日数も、統計開始から最初の30年間と直近30年間を比べると約17倍に上る。

多摩川の氾濫などが記憶に残る19年の東日本台風では堤防決壊が国管理・県管理河川合わせて142カ所に及び、24年の台風第10号では全国2925棟が浸水被害を受け、同9月の能登地方の大雨では石川県を中心に土砂災害が278件発生した。このように過去10年間を振り返ると、何らかの水害・土砂災害が発生した市町村は全国の約97%に達するとされる。

■公助から自助・共助へ、広がる「防災産業」

国も対応を急いでいる。政府は今国会に防災庁設置関連法案を提出しており、今秋にも「防災庁」が新たに発足する予定だ。従来の内閣府防災担当を格上げし、災害対応を一元的に担う専門組織を設けることで、公助の司令塔機能を強化する狙いがある。河川整備やダム建設といったインフラ整備も継続的に進めており、国土交通省が推進する「流域治水」では、堤防強化や遊水地整備にとどまらず、ため池の事前放流や雨水貯留施設の整備など、流域全体を巻き込んだ多層的な対策が展開されている。

一方で、公助やインフラの整備の限界も指摘されている。防災白書においても、第1部第1章第1節には「自助・共助による事前防災と多様な主体の連携による防災活動の推進」が掲げられるなど、自助・共助の強化が政府の最重点課題との認識がなされている。

こうした流れを背景に、家庭や企業向けの防災関連製品・サービスの需要が拡大している。非常用備蓄食品や携帯型電源、設置のしやすい土嚢、止水板といった製品群にとどまらず、企業のBCP(事業継続計画)策定支援やハザードマップを活用したリスクコンサルティングなど、防災をビジネスとして捉える動きが各業界で広がりを見せる。

今年5月下旬に施行された防災気象情報の大規模改訂も、こうしたソフト力強化の一環だ。先の「レベル5氾濫特別警報」の新設や警戒レベルの警報名への明記により、住民が避難行動をより直感的に判断できる体系を整えた。行政が情報を届けるだけでなく、住民一人ひとりがその情報を読み取り行動に移す力を高める取り組みが、ハードとソフトの両面から加速している。 




寺田ポンプ製作所、1㍉まで排水し水害復旧を支えるポンプ


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家庭でも備えることの増えてきた水中ポンプ「S-500LN

水害対策というと、土嚢や止水板による浸水の「防御」に目が向きがちだ。しかし被害から生活を守るには、浸水した後の迅速な対応も欠かせない。特に近年は住宅の高気密化が進み、いったん水が入り込むと室内に滞留しやすく乾燥しにくい。夏場であれば短時間で水が腐敗し、カビの発生や建材の劣化につながるため、早急な排水が求められる。

そこで注目されるのが、寺田ポンプ製作所の水中ポンプ「S-500N/S-500LN」だ。いずれも出力500㍗のコンパクトな家庭向けモデルで、特殊合成ゴム製ケーシングを採用し、土砂を含む汚水にも対応できる高い耐摩耗性・耐久性を備える。電動機には自動焼損防止装置も内蔵しており、緊急時でも安心して使用できる。

2機種の違いは排水性能にある。S-500Nは泥水にも対応した汎用モデルで、床上・床下を問わず幅広い排水作業に活用できる。一方のS-500LNは「底水用」と銘打った特殊仕様で、逆止弁付きの設計により1㍉以下の残り水まで排水できるのが最大の特長だ。両機種ともホースセット品が用意されており、レバー式カップリングにより工具不要、ワンタッチでホースの接続が可能なため、発災直後の混乱した状況下でも即座に使用できる。

過去に浸水被害を受けた地域では、こうしたポンプを備え早期復旧を図る家庭も増えている。水害対策は「浸水させない」対策だけでなく、「浸水後に素早く水を出す」備えも合わせて講じることが、被害を最小限に抑える上で重要になる。




カーボーイ従来比20倍超、風雨に強い穴あきコーン急成長


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発売4年目にして年間売上本数20万本以上。カーボーイの「穴あきコーン」が急速に市場を広げている。穴の空いていない一般的なカラーコーンの年間取扱が1万本程度だったことを考えると、異例の伸びだ。道路の陥没箇所への設置など自治体の維持管理用途で採用が増えているほか、「沖縄・九州や港湾エリアでの引き合いが特に強い」(同社担当者)という。その背景には、近年の風水害の激甚化がある。

従来のカラーコーンには強風や濁流で飛ばされ流されるという弱点があった。穴あきコーンは本体に設けられた穴が風と水の抵抗を逃がす。同社が行った実験では風速31.3㍍の風への耐性が確認された。これは、63日まで全国各地で被害をもたらした台風6号の最大瞬間風速35㍍に迫る水準だ。

実際、2398日の台風13号の被害現場では、他社製コーンが流される中、穴あきコーンは設置状態を保った。浸水後の冠水地域では水が濁って危険箇所の視認が難しくなる。流されず立ち続けることで通行規制や警戒区域の明示に対応できる。ベース一体型のため設置が簡単なうえPVC素材で耐久性も高い。

2月には国土交通省のNETIS(新技術情報提供システム)にも登録された。今後、公共工事などでの採用がさらに加速するとみられている。頭頂部には切り欠き加工を施し、ライトなどのオプション取り付けにも対応する。サイズは高さ450㍉と700㍉の2種類、全7色を展開する。




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(日本物流新聞2026年6月10日号掲載)