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オーエスジー、IPFでセミナー実施

 「CFRPなど複合材料の市場はこれから大きく伸びる。切削工具メーカーとして注力していく」(オーエスジーデザインセンター開発グループ Aerospaceチーム鈴木真係長)。 11月30日、IPF Japan2023(国際プラスチックフェア/幕張メッセ)内でオーエスジーがセミナー「切削加工からみたモノづくりの未来~複合材料・ロボット加工・樹脂加工~」を開き、最適な工具や加工方法の提案を行った。 複合材の世界市場は2022年度に約17兆円で、27年度に1.4倍となる25兆円まで増加が予測されている。なかでもCFRP(炭素繊維複合材料)の世界市場は、21年度の約1兆4500億円から35年には2.6倍となる3兆7800億円と大幅増が予想される。 「成長が期待されるeVTOL(電動垂直離着陸機)やEVの部品を主にして適用が進む。航続距離伸長のため車体の軽量化は必須。軽量化が実現すればバッテリーをさらに積め、航続距離を助ける」と軽量化をキーワードとして複合材料活用が進む見込み。 そういった背景を踏まえ、「我々は航空機の複合材料加工で培ったノウハウと技術がある。新しい産業にも適用できる切削工具の開発に取り組む」(鈴木係長)と話した。 また、ロボット切削についてもロボットSIerとスピンドルメーカーとの取り組み事例を紹介。アルミダイキャスト部品のバリ取り加工を回転数4万回転、送り速度を毎秒500?_以上で加工した。「早送りでも工具のビビりを抑え、面品位をキープしながら加工ができた」とし、「働き手不足や加工の自動化に貢献するロボット切削に対応する工具の開発にも取り組んでいく」という。 (2023年12月10日号掲載)

2023年12月14日

山善、夏物家電などニーズの取りこぼしのない新提案を加速

 山善の家庭機器事業部(中山尚律事業部長)は11月17日までの4日間、「オリジナル家電総合商談会」を東京都大田区の大田区産業プラザPiOで開いた。主に来年の春から夏にかけて発売する夏物家電(扇風機、サーキュレーター、パーソナルクーラーなど)や調理・家事家電、AV機器などを並べた会場には、流通業などから96社・345人が訪れた。家庭機器事業部の入部康久副事業部長は「今年は感染症の広がりも落ち着き、外出する人が多かったため、市場はモノからコト消費へと本格的に移行した」と振り返り、「電気代高騰の影響も相まって全体的には厳しい市場だが、エアコンの室外機カバーは今夏、当社だけで40万枚を超えるヒット商品となるなど、ニーズを捉えた製品はしっかりと売れている。ユーザーニーズやこだわりに対し取りこぼしのない提案が重要になる」と話す。 1年を通してエアコンとの併用による節電効果を目的とした使い方が普及しつつあるサーキュレーターでは、同社が先駆けとなったお手入れが簡単にできる全分解シリーズのラインナップや機能を強化。同事業部商品企画1部の村上幸輔MDは「当社が切り開いてきた簡単なお手入れを可能にする分解機能は他社からの提案も活発になってきており、市場も拡がってきた。そうした中で、全方位に風を送ることのできるタイプやよりコンパクトに設置可能なモデルなど、ラインナップを強化し、さらに認知を高めていく」と話す。 リビング扇風機に関しては節電・節約ニーズの高まりによって、DCモーター搭載製品の需要が高まっており、実際に売上構成比としてもDCモーター搭載製品が増えてきているという。 「今夏の猛暑の記憶と今冬の電気代高騰を体感すると、来夏のDCモーターの構成比がより高まるのではないかとみている。他にも、23年のヒット商品である持ち運べるリビング扇風機やカラー展開の充実など、ニーズに対し取りこぼしのない提案をしていきたい」(村上MD) ■調理家電・AV機器でも新提案  近年、力を入れてきた新たな提案も実を結びつつある。3年前に発売してからお馴染みとなりつつある煙が立ちにくいホットプレート「XGRILL」シリーズには、8月から家族で食卓を囲むのに適したサイズの「XGRILL GRANDE」を追加。裏面もフッ素加工を施すことで、使用後の汚れ落としの手間を軽減する。他にも、10月に発売したオーブントースター「OPEN TOASTER」は前面扉や焼き網を取り外せるだけでなく、背面を開けることができる機構(特許取得済)になっており、お手入れに特化したモデルを提案した。 AV機器でもCDプレーヤー世代には懐かしい形の「コンパクトDVDプレーヤー」を11月から販売。同事業部商品企画1部の松島康智課長は「まだまだDVDプレーヤーが必要になる場面があるにも関わらず、パソコンにはDVDが再生できないモデルがほとんど。生活空間の邪魔をしないコンパクトなDVDプレーヤーが求められている。モバイルバッテリーからの給電にも対応するため、設置場所にも困らない」と話す。 こうした流れを受けて、同事業部商品企画1部の川邊一馬課長は「ここに並んでいる製品は、定番商品であっても新商品であっても、新しい視点、新しい分野、新しい機能など、何か今までにないセールスポイントを持っている」とし、国内市場がシュリンクしていくからこそ新たな提案をしていくことが重要性だとの認識を示した。 (2023年12月10日号掲載)

2023年12月14日

FUJIグループのファスフォードテクノロジ、半導体製造装置のR&D棟を山梨に

 FUJIのグループ会社で半導体製造装置を手がけるファスフォードテクノロジは、昨年11月から山梨県南アルプス市に建設していたR&D棟の竣工式を11月29日に行った。延床面積6172平方?b、地上3階建で総投資額は約25億円。最先端のパッケージング技術開発を加速させる開発環境を特徴とする。 背景にはデータ通信量の増加に伴うデータセンターや基地局への投資、自動車向け半導体デバイス需要の拡大がある。今後の半導体関連市場の成長拡大が見込まれることから、主力製品であるダイボンダ(集積回路をリードフレームや基板に搭載・接着する機械)の幅広いラインアップを揃えるための開発環境の構築を目指し、R&D棟を新設した。「拡大する半導体需要に半導体製造装置のボンディング技術で応える」とする。 (2023年12月10日号掲載)

2023年12月13日

ファナック、ロボット制御装置を11年ぶり刷新

 ファナックはサイバーセキュリティ対応のロボット制御装置「R-50iA」(=写真)を12月2日まで東京ビッグサイトで開かれた国際ロボット展で披露した。アジアをはじめとするグローバル市場を見据えたもので、実に11年ぶりの刷新だ。 同社は「ユーザー様の工場は様々な生産設備がネットワークでつながる昨今、国際規格に準じたこのコントローラーなら安心して使っていただける」と言う。国際規格とは国際団体IECが発行する「IEC 62443-4-1」「同4-2」で、ロボット制御装置でこのサイバーセキュリティ認証の取得は世界初だ。 (2023年12月10日号掲載)

2023年12月13日

東日製作所、トルクハンドブック配布開始

 東日製作所は11月21日より、トルク管理のバイブル「トルクハンドブックvol・10」の発行・無償配布を開始した。製造業界のトルク管理やねじ締結に関する研究、開発、設計生産技術、品質管理(保証)、アフターサービス業務などに従事する人向けに、トルクの機器の運用・管理に役立つ実用的な技術資料を数多く掲載している。一般的な製品カタログや市販の技術書籍と差別化した現場に役立つ情報を500ページ超の冊子に盛り込んだ。 新しいバージョンでは技術資料の細部を見直して最新情報に更新しただけでなく、巻頭には「進化を続けるポカヨケ関連製品の変遷」「小型トルクレンチの開発に至るまで」「新開発 小型トルクレンチ」を追加。同社の製品の変遷や新製品情報なども追うことができる。他にも、課題と解決方法を豊富なイラストと製品画像を用いてわかりやすく解説した「製造現場の問題解決GUIDE」など、製造現場の人だけでなく商社の営業パーソンにも役立つ情報を盛り込んでいる。専用ページから無料発送依頼が行える。 (2023年12月10日号掲載)

(株)東日製作所

2023年12月12日

山善中国、深?現法が技術センター開設

 山善中国支社の山善(深?)貿易有限公司は9月5、6の両日、東莞松山湖テクニカルセンター(長安テクニカルセンターを8月に移転)で開所式・プライベートショーを開いた。工作機械および産業システム機器メーカー27社が最新の生産財を展示し、2日間で151社から316人が来場した。 工作機械分野では今後市場拡大が見込まれる5軸加工機を中心に実演、セミナーではEV関連の加工・測定の提案に多くの来場者が耳を傾けた。山善(深?)には近年、自動化関連の引合いが多く、同社が蓄積してきたメンテナンスデータベースとAIを組み合わせたIoT自動メンテナンス応答システムを開発中。「自動応答システムには問合せが殺到した。同サービスの提供は2024年1月を予定しており、従量課金制の新しいビジネスモデルになる」と意気込む。 東莞松山湖テクニカルセンターは広東省エリアの付加価値提案に有効で、「今後はさらに技術提案力を強化しデモ加工、自動化実演などお客様に満足いただけるソリューションを提供する」としている。 (2023年12月10日号掲載)

2023年12月12日

コロナ、送風路とファンを自動掃除するルームエアコン

 コロナ(新潟県三条市東新保7-7、TEL.0256-32-2111)は業界で初めてエアコン内部の送風ファンと送風路を同時に掃除するルームエアコン「ReLaLa(リララ)」のフラグシップモデル「SPシリーズ」、寒冷地仕様の「SPKシリーズ」を加え、来年1月上旬から順次発売する。 健康や室内環境への関心が高まっていることに応えて搭載した新機能「よごれま扇(せん)」は手入れしにくい送風ファンと送風路を自動で掃除し、カビの発生源となるホコリを取り除く。抗菌ブラシなどを含む掃除用ユニットはユーザーが3年に1回を目安にカートリッジを交換するだけでよい。アプリを使えばスマートフォンで遠隔操作とみまもりが可能。6?18畳用で、希望小売価格は税込36万3000?60万5000円。 (2023年12月10日号掲載)

(株)コロナ

2023年12月11日

ロブテックス、次世代エアリベッター 「R2A1」

 世の中の動力工具に目を向けてみる。と、その多くが男性を意識したデザインであることに気がつく。いわゆる「カッコよさ」を重視する傾向があるわけだが、ロブテックスはそこへ一石を投じる工具を9月に発売した。女性目線の“優しさ”と道具としての使いやすさをかけ合わせた次世代エアリベッター「R2A1」だ。 やや異色の工具が生まれた背景には現場の実情がある。商品企画担当者が全国のユーザーを視察するなかで、目にしたのは女性ユーザーの割合の高さだった。「女性が最も気にされるのは重量で、トリガーを人差し指ではなく中指で操作するような、我々の想定と異なる使い方も目にしました。そうすると本体の重さを手全体に預けられて疲れにくいようです。想定と違う使い方には必ず理由がある。その隠れたニーズを突き詰めて改善すべく、女性デザイナーの協力も得て開発がスタートしました」(商品企画担当者) 重視したのは従来の開発手法に囚われないこと。動力工具の開発は『機能の足し算』で数値に表せるスペックを追い求める傾向が強いが、同社はそこから脱却し現場のニーズを元に必要な要素をイチから積み上げる道を選んだ。例えば従来のグリップは力を入れて握り込む必要があるが、R2A1は持つだけで自然と重さが手全体にかかる形状に。「力を入れず『手を添える』ようなイメージ」(商品企画担当者)で、エラストマー樹脂の二重成形グリップと相まって自分の手のように振り回しても疲れにくいという。 他にも重心をヘッドから中心寄りにしたことで下に向けても疲れづらい、角を全体的に排したことで手に食い込まない、フレームヘッドを工具なしで外せるなど使いやすさに資する要素は多い。「必要な機能とデザインの両立に苦戦した」と言うが、世界最速(自社調べ)の従来機と同等以上の締結スピードも備えている。 開発の苦労をたずねると、商品企画担当者は「とにかく大変でした」と笑った。「ですが、そのぶん良い工具に仕上がったと思います。不満足にまでは至らない潜在的な声をすくい上げて形にできた。目に見えない部分の作り込みをぜひ感じてほしいですね」 同社は今年6月、コードレスリベッターの新機種「R2B2」も発売している。リベット締結サイクルタイムは1・3秒と同社最速のエアリベッターにも遜色なく、コードレスのためホースの煩わしさがない。一日の作業量を十分カバーできるバッテリ容量を持ち、大型ワークの角を締結するなど動きながらの作業にはピッタリだ。 「ブラシレスモータの採用でパワーが向上し、シビアなタクトタイムを要求する工場にも対応できるスピードになりました」と商品企画担当者は話す。軽さを求める現場にはエアリベッターR2A1が、機動力が必要な現場にはコードレスリベッターR2B2が向く。リベッターで国内トップクラスのシェアを持つ同社。2つの新機種でリベット締結現場を支援する構えだ。 (2023年12月10日号掲載)

(株)ロブテックス

2023年12月11日

自工会、豊田会長退任

 (一社)日本自動車工業会(自工会)は11月22日、港区の自動車会館で定例会見を開催、自動車各社のトップが勢揃いするなか、2018年から6年間に渡り会長を務めた豊田章男氏(トヨタ会長)の退任と、2024年1月から片山正則氏(いすゞ自動車会長)が会長に就任する人事を発表した。 自らの退任と今回の人事について豊田氏は「2024年問題をはじめ物流・商用領域が大きなテーマになっており、各社で協力すべきテーマも多い。これにしっかりと取り組むことが未来への重要な一歩になるとの認識のもと、大型車の世界で豊富な経験をもつ、いすゞの片山さんに次期会長をお願いした」と話した。 新会長に就任する片山氏は「特にここ2、3年で注力する課題をまとめた結果、カーボンニュートラルだけではなく、協調すべき課題が多い商用領域が当面のペースメーカーになるべきとの結論に達した。商用車メーカーの人間が会長になること自体、自工会の変革が進んできたという証。皆様にバックアップして頂きながらしっかりと会長職を務めあげたい」と意気込みを語った。 これまで自工会会長は、日産自動車、トヨタ自動車、本田技研工業のトップが交代で就任していた。今回の片山正則氏の会長就任は初の3社以外からの選出となる。 (2023年12月10日号掲載)

2023年12月11日

シチズンマシナリー、自社展でミヤノ機新モデル発表

 シチズンマシナリーは11月15日から3日間、長野県の軽井沢本社でプライベートショー「CFA2023」を開催した。CFA(シーファ)は同社最大のイベントで8年ぶりの開催となる。会期中は世界各地の顧客を招き感謝を伝えるとともに、最新のソリューションや10年先のビジョンを提案した。 会場内は時代を感じさせる歴代の工作機械に始まり、LFVを活用したねじ切り、脆性材の加工、自動旋盤とファイバレーザ加工を組み合わせた複合加工など最新の切削ソリューションが提案された。 なかでもひときわ注目を集めたのが、フルモデルチェンジされたミヤノブランドの「ABX80THY」。同機種は正面・背面の同時加工ができる2スピンドルと最多3タレットを搭載し、高効率加工を実現するフラッグシップ機で4モデルをラインナップ。 「今回のフルモデルチェンジでは、主に航空機業界や医療、自動車業界向け部品加工をするお客様から要望の多かった主軸径の拡大の声にお応えし、当社の製品として最も大きい最大加工径80?_の正面主軸を搭載した」 主軸径は大幅に拡大したが、部品の配置を最適化した省スペース設計により、主軸径64?_の従来機と同じ機械サイズを実現。従来最大加工径が64?_モデルは、加工径を正面・背面共に65?_に拡大した。 全4モデル共通のスペックとして、正面主軸の回転数向上、正背面主軸のモーター高出力化、主軸や刃物台を動かすボールねじの軸径拡大による剛性向上、19インチの大型タッチパネル、大型窓ガラスの採用など様々な改良が施されている。 会期初日にはミヤノブランドのハイエンドマシンを生産する北上事業所(岩手県)の生産スペースの増床を行い、生産能力を増強することを明らかにした。同社によると北上事業所内に倉庫・事務棟を増設。工場内から倉庫・事務機能を移転して生まれたスペースは生産に活用し、最大生産能力を従来比2割増に引き上げるという。倉庫・事務棟の建設は2024年4月に着工し、竣工は2025年3月を予定している。 これにより国内3事業所(軽井沢、佐久、北上)の生産能力は月産170台体制へと拡大する見込み。同社が中期経営計画で掲げる「2030年までに売上高1000億円」を達成するための供給基盤を早期に構築する構えだ。 (2023年12月10日号掲載)

シチズンマシナリー(株)

2023年12月11日

ダッソー・システムズ、来年1月にシャーレスCEO退任

 仏Dassault Systemes(ダッソー・システムズ)の日本法人は11月7日、都内でイベント「3DEXPERIENCE FORUM Japan」を開催した。同日、24年1月1日付けで退任するダッソー・システムズ会長兼最高経営責任者(CEO)である、ベルナール・シャーレス氏が報道陣向けに説明会を行い、同社で過ごした40年(内CEO在任期間は28年)を振り返った。 日本経済の停滞について、「日本の企業の皆様を尊敬している」と前置きをした上で、「日本だけでなく先進国の企業のトップは時間が経つにつれてエンジニアリングに対する感覚を失い、ビジネスマンになっている。中国やインドなどではトップもサイエンスやエンジニアリングに深い知見を持っている。転換を起こすには企業のトップも変革に関わっていかなければならない。トップがビジネスをもっと深く理解する必要がある」と述べた。 産業分野ごとのビジネスの性質の違いについても触れ、自動車業界がEVメーカーであっても「非常にイノベーションがゆっくりで保守的な業界である」ことに加えて、消費者の需要を満たそうとするため「環境面から見ると非常にパフォーマンスの低い製品が一般的になっている」と説明。最も進歩が見られる分野は「解決策が見えないセクター」であるとし、同社が戦略的に新しいプレーヤーに製品提供をしてきたのも、同社システムをよりクリエイティブに使う方法を知るためだと説明した。 後任のパスカル・ダロス氏については「この20年間一緒に仕事をしてきているので、十分に準備が整っていると思う」とし、既に作成済みの2040年に向けたビジョンに基づいて会社を育てていくことにもサインをしているという。最後にシャーレス氏は「顧客にこれからは友人として会いに行ける。人生がいよいよ楽しくなってきた」と笑顔で話した。 (2023年11月25日号掲載)

2023年12月08日

米・プロロジス40周年、所有・運営資産29.4兆円に

 今年で40周年を迎えた米国の物流施設開発大手・プロロジス。日本法人の山田御酒会長は11月2日、大阪で記者向けに説明会を開催し、物流施設市場の動向と同社の展開を語った。 同社によればプロロジスが所有もしくは運営している資産はグローバルで29.4兆円(1USD=149円換算、9月末時点)。同社の物流施設に保管された物品の総額は世界のGDPの2.8%を占めるという。 世界のEC化率はコロナ禍の3年間で急伸したが、同社は今後も毎年1%程度のペースで伸長し、これが物流施設需要のけん引役を果たすと見る。「多品種を在庫保管し個配するECは、小売りの約3倍の物流施設面積を必要とする。またサプライチェーンに異常をきたす事態が頻発したことで、世界全体で在庫を積み増す動きがある。これにより世界全体の在庫は現状と比べ5~10%増えるとみており、今後も新たな倉庫需要が増えるだろう」(山田会長) 同社は国内では113棟の物流施設を開発しているが、山田会長は「国内の先進的物流施設の供給は、24年は間違いなく23年より減り、当面は23年がピークとなるのではないか」と見通す。とはいえ需要は引き続き底堅く推移する見込みで、その背景にあるのが老朽化した物流施設の更新需要だ。「1981年以前に建てられた旧耐震基準の倉庫の更新需要が、コンスタントに出てくる見込み。また日本のEC化率は足元で10%を超えたといわれるが、米国や英国と比べまだ低い水準。今後数年で15%~20%に伸長することは十分考えられる」とした。 目前に迫る「2024年問題」にも言及した。従来は1人のドライバーが担っていた施設間の輸送が今後は難しくなり、「一日に移動できる距離の限度が往復360?`程度になる」(山田会長)ためだ。「東北を例に挙げれば、仙台を拠点に東北6県をカバーすることが今後は難しい。中継地点としてちょうど良いのは盛岡で、我々はここに東北最大の物流施設を建設中だ。他にも東海や岡山などが注目の地域で、近い将来物流のハブになる可能性がある。我々も岡山や東海で施設の開発を進めている」とする。 (2023年11月25日号掲載)

2023年12月08日

中村留、省スペースなビルトインミストコレクタ

 中村留精密工業は11月16日、工作機械本体に搭載するビルトインタイプのミストコレクタ「FogFree」を発売した。標準価格は税抜き119万円で、搭載可能機種は2タレット2スピンドル複合旋盤「WY-100V」。遠心分離機構とHEPAクラスのフィルタを採用しており、0.3?以上の微細粒子を99・93%捕集する。 同社によれば、機械の加工能力の向上やクーラントポンプを使う設備の増加に伴い、加工時のミストは発生しやすくなっている。こうした工場環境を改善するために同社はFogFreeを開発。ビルトインのためメンテナンスの妨げとなるダクトホースが不要で、配置スペースも取られずレイアウトの負担を軽減できる。 同機について中村匠吾社長は「全世界的に工場環境を良くしたいお客様が増えており、ミストコレクタの搭載率は上がるだろう。しかし別置きではスペースや取り回し、ミスト回収効率に課題がある。我々の複合加工機に最適なビルトイン型のミストコレクタでこうした課題を解決し、省スペースかつミスト回収能力も大幅に高めた。維持管理しやすい工夫を凝らしており、まさに我々が目指す『現場の負担を削る』新製品だ」とする。 (2023年11月25日号掲載)

中村留精密工業(株)

2023年12月06日

山善など3社、物流施設でロボット使い実証事業

 三菱HCキャピタル、ビックカメラ、山善は11月14日、物流施設で単品ごとに必要な個数を在庫から運び出すピースピッキングを担う協働ロボットを効果的に活用するための実証を行うと発表した。本事業は経済産業省による委託事業「令和5年度流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業」に採択された。 需要が拡大するEC事業においてピースピッキングは多くの作業人数を要し、物流ロボットによる自動化への期待が高まっている。3社はまず、協働ロボットの活用が期待される複数のユースケースにおいて様々な商品や作業に対する柔軟性・安全性の確保、投資 効果を高める環境整備項目の整理を行う。その後、実際にEC事業を行うビックカメラの物流施設(千葉県船橋市)でロボットの実証テストを行い、人とロボットの効果的な役割分担などの環境整備項目を検証する。 三菱HCキャピタルは食品や施設管理分野でロボットフレンドリーな環境整備を進めるほか、工作機械などを用いたファイナンスの提案において山善と密接に連携、協働ロボットビジネスにおけるレンタルを含めた協業を進めてきた。このパートナーシップを生かし、「ビックカメラのEC事業に関する知見、山善のシステムエンジニアリング力を融合し、物流分野におけるロボットフレンドリーな環境の整備、持続可能な社会の実現に貢献する」としている。 (2023年11月25日号掲載)

2023年12月06日

ユニバーサルロボット、中国地方初の認定研修センター開設

 ユニバーサルロボット(UR、本社・デンマーク、日本支社・東京都港区)は11月6日、実機を用いてロボットプログラミングが学べるUR認定トレーニングセンターとして新たに三光電業(=写真、広島市)を追加したと発表した。これにより同センターは東京(3カ所)、神奈川、愛知(2カ所)、京都、大阪、広島、兵庫の全10カ所となった。 1962年設立の三光電業は電子・制御部品、FA機器の商社。主に中国地域の顧客にソリューションを提供すべく取扱い製品を増やしてきた。ロボットでけでなくビジョンセンサーや力覚センサーを用いてシステム検証ができる環境を整備した。 (2023年11月25日号掲載)

2023年12月04日

オムロン、前後同様に進むAMR

 オムロンは国際ロボット展への出展を前に11月1日、東京・品川区にある同社の検証・実証施設「AUTOMATION CENTER TOKYO POC LAB」でAMR(Autonomous Mobile Robot=自律走行型搬送ロボット)や施設を報道関係者に披露した。今夏受注を始めこのほど出荷を開始した中重量帯のAMR「MD-650」(650?`グラム可搬、30分充電で8時間稼働)はマップを作成して自動走行し自動車部品や飲料など重量物の搬送に向く。同社は「LiDAR(レーザースキャナー)を対角線上に2台付け、前方向と後方向に同じように進める」(ロボット事業本部の氏本拓志本部長)と言う。冬には900?`グラム可搬タイプを追加する予定。台湾テックマン・ロボットと協業して協働ロボットもラインナップしており、国際ロボット展には可搬重量を高めたタイプをAMRとセットにして高精度に掴めることを紹介する考え。 2020年1月にオープンした検証・実証施設はエンドユーザーとロボットSIer向けに好評で、「1カ月先まで予約が埋まっている。自動車や食品分野の利用客が多く、1週間にわたり検証されることもある」(ソリューション営業本部の伊達勇城本部長)と言う。ロボット事業の売上規模は非公開だが、「25年度あたりに500億円規模に高めたい」(氏本本部長)と意気込む。 (2023年11月25日号掲載)

2023年12月04日

イグス、高荷重向けに安価な射出成形すべり軸受

 イグス(日本法人:東京都墨田区)はこのほど、固体潤滑剤を配合した独自の樹脂を用いた高荷重向けすべり軸受「Q3E」の展開を始めた。建機や農機に使われる金属製軸受からの置き換えで、潤滑剤を不要にできる。保守費用の削減や機械の耐用年数向上につながる。 従来、建機や農機など高荷重用途には金属製または編み込み構造式の軸受が使われる。これに対し同社は様々な材質を使用したすべり軸受を提案してきたが、編み込み構造のためコストがかかっていた。Q3Eは製造に射出成形を採用し、編み込み構造と比べ安価に。内外層に2種のポリマー素材を組み合わせることで強度と低摩擦を両立し、潤滑剤が不要なためメンテナンスの手間を減らせる。日本でも展開を始めているという。 (2023年11月25日号掲載)

2023年12月01日

ESR、名古屋市港区の物流施設竣工

 物流不動産の開発を手がけるESR(東京都港区)は、名古屋市港区に建設していた4階建てマルチテナント型物流施設「ESR名古屋南ディストリビューションセンター2」を10月31日に竣工した。延床面積は4万8844平方?bで、総投資額は110億円。名古屋市内では3件目の物流施設となる。 同施設は国道23号の竜宮ICや名古屋高速の笠寺ICに近く、名古屋港飛島ふ頭北コンテナターミナルや中部国際空港など陸海空の主要インフラにアクセスしやすい。特に食品や飲料、ECの名古屋都市圏への配送拠点や、中京工業地帯と名古屋港の中間拠点として強みを持つとする。すべての階で2.5?dフォークリフトが走行できる床耐荷重を備え、梁下高さや柱ピッチも広く取るなど汎用性と保管効率を高めた。 代表取締役のスチュアート・ギブソン氏は施設について「ESRの中京圏ネットワークの中でも特に名古屋都市圏配送拠点、名古屋港と愛知県内陸部との中継点 という機能を強化でき、多くの企業様のビジネス発展にお役に?てる物流施設であると?負している」とコメントした。 (2023年11月25日号掲載)

2023年12月01日

シャープ、111周年記念した技術展を初開催

 シャープは11月12日までの3日間、創業111周年を記念した技術展「SHARP Tech-Day」を東京ビッグサイトの東展示棟8ホールで行った。同社単独での技術展示会は111年の歴史において初めてで、最新の技術を披露するだけでなく、誰でも技術に触れられる点が特長だった。 AI(人工知能)を中心とした未来の技術展示や消費者向けの提案が多い中、BtoB向けで特に力を入れて提案したのが搬送システムだ。自社製造拠点で培ってきた搬送技術を7年前に社外向けに提供開始。既に、大手自動車メーカーなどに約150システム、1000台以上の自動搬送装置(AGV)を納めている。海外メーカーへの忌避感がある現場からの受注だけでなく、国内では最大手のAGVメーカーであり、カスタムにも柔軟に対応することや、歩留まりの高さが特長の一つであった亀山モデルの生産技術者がシステム開発を行っているという高い技術力が選ばれる理由だという。 これまでは製造現場での採用が多かったが、物流2024年問題などもあり、同社の担当者は「近年は大型倉庫向けの需要が増えてきている」と話す。本展で初披露した「ロボットストレージシステム」は最高5.3?bまで対応でき、大型倉庫の上部空間を無駄なく活用できる。現在は1システムで最大500台まで制御可能だが、東北大学と共同研究中の量子コンピューティング技術を使うことで、来年度中をめどに数千台規模のAGVの群制御を目指す。同社の担当者は「業界にブレイクスルーを起こし、ゆくゆくは工場全体のスマート化を手掛けたい」と話す。 (2023年11月25日号掲載)

2023年12月01日

トクピ製作所、研削砥石のドレス効果

 トクピ製作所は、既存機の超高圧クーラントユニット『HIPRECO』を活用し研削砥石の加工面のドレスを実施する「HPRドレス」の研究開発を進めており、今年中の販売開始を目指す。 CBNなどの砥石の目詰まりを10から14MPaの吐出圧力で洗浄し研磨加工における砥石のダイヤドレス回数を大幅に低減。生産性の向上と経費削減を実現するという。同社によれば「HPRドレスを行うと従来140個加工毎に実施していたダイヤドレスは、2000個の加工を超えるまで必要なくなる」とする。 森合主税社長は「もともとはある自動車メーカーとの取り組みでCBN350の目詰まりを除去する実験をやっていた。砥石が剥離しないが目詰まりを除去できるノズル径や限界の吐出圧力を見定めていった」とする。その研究を基盤に、さまざまな砥石で実験を繰り返し、特許を申請した。 研削盤メーカーとアライアンスを結び、高圧クーラントユニットを組み込むべくアプローチを進めている。超高圧クーラントユニット『HIPRECO』などの既存機を活用でき、ろ過装置を追加することで簡単に取り付けられるので費用面も抑えられる。「研削盤メーカーからの反応も良く、今年中の発売を目指す」(同社長)とする。 (2023年11月25日号掲載)

2023年11月29日

フジ矢、創立100周年式典

 フジ矢は11月17日、創立100周年式典をリッツカールトン大阪(大阪市北区)で開催。「連邦経営」などの3つの将来ビジョンが示され、事業多角化で売上100億円を目指す。 式典では野?ア恭伸社長より同社の100年の歩みと将来ビジョンが発表された。創業者の道本佐一郎氏の言葉が紹介された。昭和20年から21年、多少粗悪でも商品が飛ぶように売れる時勢に「たとえ数が少なくても、良い品を出し、フジ矢のマークの信頼を勝ち得る努力をした」(道本氏)とし「品質第一に徹した創業者の経営心情が今日のフジ矢ブランドにつながる」(同社長)と力を込めた。 ■ペンチ・ニッパーで切れないご縁  ミッションに「工具でもっとワクワクを」を掲げ将来ビジョンを「日本の工具を世界に」「職人丸ごと」「連邦経営」とした。ベトナム工場を活用したグローバル展開、5ブランドによる差別化、M&AやFAシステム製造などの新規事業を活発化し「老舗ベンチャー企業の心意気でチャレンジする。事業の多角化を通じて現在30億円の売り上げを、私が次世代にバトンタッチするまでに100億円にする」(同社長)とした。 式典には、同社コーポレートカラーのオレンジ色を身に着けた59社62人が参加。「ペンチ、ニッパーで切っても切れないご縁を結ぶ」(同社)とともに同社の更なる発展を誓い合っていた。 (2023年11月25日号掲載)

フジ矢(株)

2023年11月29日

台日半導体産業連携フォーラム、半導体産業支援に1.9兆円

 11月8日、台湾経済部やSEMIなどが主催の台日半導体産業連携フォーラムが都内で開催された。TSMCの熊本進出などで関係を深める両国の半導体産業の一層の連携が確認された。 登壇した自民党・半導体戦略推進議員連盟の甘利明会長は11月10日に閣議決定された補正予算案約13兆円のうち1.9兆円を半導体産業にあてると明かした(内TSMCに最大9000億円、Rapidusに同5900億円)。甘利氏は「一つの業種・業界にこれだけの規模の予算が投じられることは日本史上ないことだと思う」と前置きをした上で、大規模な支援を行う理由について「家電製品の一部品でしかなかった半導体が、DX・GXが進む社会では最重要戦略部品となっている」とし、「『データを制する者が世界を制す』との言葉の裏には、『半導体を制する者が世界を制する社会がやってくる』という言葉が隠されている。21世紀の世界は半導体を供給する側と半導体を供給される側の二つに分類され、半導体が最大のチョークポイント(戦略的阻止点)になる」と説明。 TSMC誘致とRapidus設立の狙いについては「半導体産業の求心力はハイエンドのロジック半導体の製造拠点があるかないかであり、製造できるところに材料や製造装置が集まる」ためであるとし、両社の関係は「競争的共同関係にある」と説明。生成AIと絡めて、「現在は汎用的な生成AIが一般的だが、これからは国や文化、言語、産業を限定した生成AIも出てくる。TSMCとRapidusもある分野では競争し、ある分野では共同できると思う。最先端の分野はライバルがいなければ進化していかない」と述べた。 (2023年11月25日号掲載)

2023年11月29日

山善、同社初のUSB充電式シェーバー

 山善(大阪市西区立売堀2-3-16、TEL.06-6534-3095)はシンプルなデザインの「USB充電式シェーバー」を11月中旬に全国の家電量販店で発売した。同社がシェーバーを販売するのは初めて。 ボタンは電源オンオフのひとつだけ。手になじみやすい滑らかなデザインにこだわった。出張先や旅行先でも使いやすいよう、手軽に充電できる入力としてUSB Type Cを採用。満充電時間は約90分で、使用可能時間は約60分。刃部やキャップなど本体上部は水洗いできる。3枚刃シェーバーがブルーとグリーン、4枚刃はブラウン、グレーのそれぞれ2色。理美容家電の新ブランドとして立ち上げた「LASIKU(ラシク)」のロゴは控えめにした。価格はオープン。 (2023年11月25日号掲載)

2023年11月29日

コロナ、関東地方発明賞を受賞

 コロナの給湯機の人感センサーに関する発明と脱着容易なダストボックス付きエアコンに関する発明が(公社)発明協会が主催する「令和5年度関東地方発明表彰」において、「新潟県発明協会会長賞」「発明奨励賞」をそれぞれ受賞した。これにより1989年(平成元年)以降の同社の地方発明表彰受賞件数は累計91件となった。 前者は浴室リモコンに風呂の見まもり機能のための人感センサーを搭載した給湯機についての発明。水位センサーで浴槽への入浴を検知している間、人感センサーの検出感度をあげたことで、動きが少なくなる入浴中でも人の動きを精度よく検知し、入浴していない状況では湯面の揺らぎなどで誤検知を防ぐ。この機能はエコキュートの2019年モデル(CHP-HXE37AY2ほか)から採用。 後者はエアコンフィルター自動そうじ機能で回収したホコリをためるダストボックス底面に脱着操作のためのつまみ部を形成したことに関する発明。つまむことで前パネルを開けることなくダストボックスを取り出せる。この機能はルームエアコン「ReLaLa(リララ)」のZシリーズ「CSH-Z2823」などに搭載。 (2023年11月25日号掲載)

(株)コロナ

2023年11月27日