ノーリツ つくば工場、流通向け見学会を開始
- 投稿日時
- 2026/05/18 08:00
- 更新日時
- 2026/05/18 11:27
ハイブリッド給湯機『普及』のきっかけに
ノーリツは4月13日より、つくば工場(茨城県土浦市)で得意先を対象とした工場見学プログラムの受け入れを開始した。同工場はグループ会社のアールビーが運営し、国内で唯一自然冷媒R290採用のハイブリッド給湯機「HPHB R290シリーズ」を製造する。同日、体験型研修施設「NORITZ EX center つくば」も工場内に開設。「つくる現場」と「届ける価値」を同時に公開することで流通事業者との連携を深め、次世代ハイブリッド給湯機の普及を加速させることを狙う。
プログラム開始に先駆けて9日には報道陣に製造現場を公開した。見学の中核となったのが、昨年11月の製品リニューアルとともに新設した生産ラインだ。ヒートポンプユニット生産ラインと貯湯ユニット生産ラインからなり、将来的な需要拡大を見越し年間3万台の生産能力を備える。
2階に設置した全長120㍍にもおよぶヒートポンプユニット生産ラインでは、従来よりも製造における加工工程の内製化率を高め、品質管理の一貫性の向上と部品配送時のCO2排出量低減を図った。その一例が蒸発熱交換器のL字曲げ加工だ。従来は協力工場で曲げたものを仕入れていたが、熱交換器をフラットな状態で受入れラインサイドで曲げることで、輸送効率を約4倍向上させた。同様の措置を凝縮熱交換器のパイプ溶接(ロウ付け)などでも行った。

熱交換器をフラットな状態で受入れることで輸送効率を約4倍向上させた
「R290は環境性能に優れる一方で、強燃性という特性を持つ。高度な安全・品質管理体制の構築が不可欠。内製化することでよりいっそう供給の安定化に寄与できるとみている」(ノーリツ 国内事業統括本部 営業本部 営業企画部 販売推進室 温水グループの市原拓リーダー)

ラインサイドの専用装置で熱交換器を曲げる

冷媒回路のロウ付け作業の様子。強燃性の自然冷媒R290を注入するため、社内認定制度に合格した熟練の作業者のみが担う
■検査工程はAIで
1階の貯湯ユニット生産ラインでは、AIを用いた検査システムも導入する。AIカメラを用いた画像認識技術で、減圧弁の向きの正誤や逆止弁(チェックバルブ)の組付け忘れの有無などを自動判定する。手作業が中心だった検査工程に自動検査装置を投入することで、検査精度の向上と均質化、省人化を同時に実現。検査データの蓄積による将来的な品質管理の高度化にも寄与するとみる。

1階の貯湯ユニット生産ラインの様子
他にも、外装部品の加工に海外メーカー製のパネルベンダーを導入。金型を使用せずにブレードで板を押さえて曲げる方式のため、大型で複雑なワークでも最長約40秒という短時間で曲げ加工が自動完了する。

導入したパネルベンダー

複雑な曲げも精度よく加工できる
市原リーダーは、HPHB R290シリーズに対し「2030年の低炭素フェーズ、50年のカーボンニュートラル実現に向けた『先導役』の中核製品である」との認識を示す。一方で、メーカー単独での普及には限界があるとし、「流通事業者の皆様に実際の生産ラインを見ていただき、確かな技術力と将来的な増産に即応できる体制を確認いただくことで、一緒に需要を開拓していきたい」と呼びかけた。

体験型研修施設「NORITZ EX center つくば」には、ハイブリッド給湯機「HPHB R290シリーズ」の完成品などが並ぶ
(日本物流新聞2026年5月15日号掲載)