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死んだ機械に「命」吹き込む、技能伝承にひと役

投稿日時
2026/08/25 10:48
更新日時
2026/08/25 10:51
動態保存化した千代田精機工業の時計工場

日本工大 工業博物館

年季の入った、たった1つのモーターを動かすと、皮の平ベルトでつながった旋盤やボール盤、フライス盤がいっせいに動き出す。モーターの出力は5馬力(約3.7㌔ワット)で、少し大きめの家庭用エアコンと同等だ。だがこれが20台超の工作機械の動力を一手に担う。

埼玉県南埼玉郡にある日本工業大学工業技術博物館は復元工場の動態保存化を進めている。冒頭の時計工場はこのほど動態化できた4工場の1つで、戦後に創業し日本の高度成長とともに発展した千葉市稲毛区の町工場、千代田精機工業(1947年創業、96年工場閉鎖)だ。復元工場の加工機はいずれも超小型だが、当時のままの姿で実際に加工ができる。そのベッドや刃物台などは最新のNC工作機械にも見られる。

「カバーがなく構造がよく見えるので素人でも理解できると思いますよ」

「動態保存化の達人」(清水伸二館長)と評される同館技術職員の高橋豊氏はそう話す。皮ベルトや木製の柱などを含めて当時の姿に近い。照明も裸電球で「在庫があと30個くらいしかない」と笑う。

古い工場の復元は難しい。機械の部品は販売されておらず、図面もないからだ。動かせるようになっても「年に何回もグリスアップせねばならず厄介です」と高橋氏は楽しそうに話す。目標は6ステーションからなる大型ホブ盤(米リーズ・ブラッドナー製、1959年製造)の動態化だ。「来客に『こうやって動くんだ』と知ってもらえる状態にして当館の目玉にしたい。動かないと機械と言えませんから」と半分仕事・半分趣味の姿勢で汗を拭いながら黙々と作業する。

日本工業大学工業技術博物館は2026年1030日、JIMTOF 2026の会場から同館までバスで送迎する見学ツアーを日本工作機械工業会の支援で実施する(参加費無料、定員50人で先着順、2026年1016日締切)。同展期間中および閉幕後に特別展と特別講演会も開催する。問合せは日工会技術部大槻氏まで(TEL03-3434-3961gijyutsu@jmtba.or.jp)。



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リーズ・ブラッドナー製の6軸・回転式のホブ盤を紹介する高橋豊技術職員

(日本物流新聞2026825日号掲載)