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なぜCFRPでワッシャー? 共和製作所が挑む、ボルトの緩みを防ぐ新発想

投稿日時
2026/08/25 10:51
更新日時
2026/08/25 10:54

高振動減衰性と低熱膨張で締結力を維持

共和製作所(愛知県碧南市)がユニークな炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製のワッシャーを開発した。CFRPは軽量かつ強度が高いことから航空機や風力発電のブレードで採用が拡大しているが、切削加工が難しく、ワッシャーとしての採用も珍しい。同社の社本隆成社長も「私の知る限りCFRP製ワッシャーが市販された例はない」と言う。ではなぜ、同社はワッシャーにCFRPを採用したのか。

開発のきっかけは、カートレースで「とにかくボルトが緩んで困る」という課題を聞いたことだった。車体には強い振動が加わり、コースを何周か走るだけで様々な部品を締結するボルトが緩んで、ガタツキで運転性能にも悪影響を及ぼしてしまう。

そこで試しに同社が試作したCFRP製ワッシャーを採用したところ、「まったくボルトが緩まず、最後まで思い通りに走れた」とレーサーから驚きの声が挙がったそうだ。平均ラップが1秒弱も縮まる効果も確認された。同社はCFRP製ワッシャーの有効性を確信。試作を繰り返し、CFRPを用いた締結部品のブランド「CF-LOCK」を立ち上げた。

■なぜCFRPは緩まないのか

一般的にボルトの緩みは振動や熱変化が主因とされる。緩みを解消するために増し締めが行われているが、これにより座面が変形し、頻繁に部品を取り換えるなどかえって悪循環に陥る場合があった。CFRPは振動減衰性が鉄の10倍と高く、熱膨張係数も鉄やアルミなどの金属と比べ極めて小さいため寸法が非常に安定している。さらに樹脂由来の粘性でボルトの座面に密着して摩擦力を生むため、締結力を長期にわたって維持できるという。CFRPという素材が持つ特性と、ワッシャーとの親和性が実はかなり高かったのだ。

同社は難削材とされるCFRPを、百分台という高い精度で切削する独自の技術を持つ。発売するワッシャーにもこの技術が使われており、表面に緩み防止の放射状の溝加工(特許出願済)を施した「G(グリップ)モデル」、円錐形状の孔(特許出願済)で表面積を増やし放熱性能を高めた「H(ヒートシンク)モデル」、両機能を兼ねる「GH(ハイブリッド)モデル」を用意した。M6M8サイズを標準展開し、サイズや形状などの特注にも応じる。

社本社長は「錆びないため、舶用機器など海水や潮風にさらされる場面でも有用なのではないか」とみる。すでにドローンなど航空宇宙分野で採用実績があり、加工機における導入試験も進んでいる。

なおCF-LOCKは、ワッシャー専門ブランドではなくCFRPを用いた締結ソリューションを幅広く含むという。同社ではワッシャーの他にCFRP製のスペーサーやベースプレートの製作実績もあり、将来的にはそうした製品も追加されるかもしれない。

CFRPは一般的な樹脂や金属と比べ特性が知られておらず、採用に二の足を踏む現場も多い」と指摘する。「そうした現場にワッシャーという身近な部品で優位性を体感してもらい、CFRPを本格採用する入口になれば」と期待する。

なお同製品は同社のECサイトから購入できる。

https://cfrp-plate.com/collections/cf-lock