1. トップページ
  2. ニュース
  3. ダイヘンが国内初のアーク溶接金属3Dプリンター開発、WWAMシステムと受託加工で売上100億円創出

ダイヘンが国内初のアーク溶接金属3Dプリンター開発、WWAMシステムと受託加工で売上100億円創出

投稿日時
2026/05/26 11:17
更新日時
2026/05/26 11:22

(株)ダイヘン

WAAMを用いた金属積層造形システム「ArcBuilder 3D」。溶接やロボットの知見がなくともロボットの動作プログラムを数分で作成できる支援ソフトも搭載

最大10m級、造船や航空宇宙向け大型構造物を積層造形

ダイヘンは、金属ワイヤーをアーク溶接で積層造形する金属積層造形技術「WAAM」(ワイヤ・アーク・アディティブ・マニュファクチャリング)事業に参入する。純国産としては国内初のWAAMを用いた造形システム「ArcBuilder 3D」を529日に発売し、受託造形サービスも提供して2030年に売上高100億円を目指す。積層造形を含めた「マテリアル先進加工」の専門組織を新設し、10年以内に1000億円規模の事業成長を目指す計画も明らかにした。

WAAMはアーク溶接でワイヤーを溶かして積層する技術。鋼材やステンレス鋼、アルミ合金、チタン合金など幅広い材質に対応し、市販の溶接ワイヤーを使えるためコストが低い。PBF方式と比べ造形速度が数倍~数十倍速く、装置自体も低コストだ。厚肉かつ10㍍級の金属部品を造形できるため大型構造物を扱う船舶やエネルギー、航空宇宙分野で注目が高まっているが、入熱による変形や造形のバラつきなど品質の安定性が課題だった。

ダイヘン105.jpg

WAAMで金属パイプの上から積層造形を施した船舶用プロペラのサンプル。材質は軟鋼で造形時間は15時間という

ダイヘンは独自の「交流シンクロフィード溶接技術」を応用することで、低温で高速造形が可能な造形システムを開発。溶接電源やロボットなどの主要機器を自社で国内製造し、信頼性を高めた。ArcBuilder 3Dの標準価格は7500万円(税抜)で最大1.5m角のワークの造形が可能。ガントリー型など仕様を柔軟に組み替えることで、顧客の要望に応じたより大型の構造物にも対応する。

例として船舶プロペラやロケットノズルを模した部品を披露した。WAAMは造形後に切削仕上げを施すことが多いが、同システムはアークの安定性が高く「表面をきめ細かにもできる」とする。今後は国内市場を開拓したうえで、27年度以降に国内を上回る規模で欧米市場へ参入。並行して船舶分野での積層造形に積極的なシンガポールなど、アジアの有力地域にも力を入れていく。

51日付けで、溶接・接合事業部直下に「マテリアル先進加工」を担う専門組織も新設した。同組織は接合加工やWAAMなどの付加加工のほか、有機溶剤を用いた従来加工を代替するプラズマを用いた表面加工や、接合した素材を解体時に綺麗に分離する分離加工など新領域の研究開発を進める。

蓑毛正一郎社長は「組織の新設は、将来的なマテリアル先進加工の本格的な事業化に向けた基盤整備の一環。国内外の市場を開拓し10年以内に1000億円規模の事業成長を目指す」と語る。30年に総床面積2万平方㍍規模の「研究開発センター」を設立する方針も示した。

ダイヘン102.jpg

蓑毛正一郎社長



(日本物流新聞2026525日号掲載)