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トヨタ「ウーブン・シティ」の中身公開、産業の枠超えたカケザンの拠点に

投稿日時
2026/05/22 09:00
更新日時
2026/05/22 09:00
次世代モビリティ開発拠点「Woven City Inventor Garage」の外観

大規模AIで「集中力を高める珈琲」を開発?

トヨタ自動車は静岡県裾野市で開発する実験都市「Toyota Woven City」内に4月、次世代モビリティ開発拠点「Woven City Inventor Garage」(以下、インベンターガレージ)を開設した。420~24日にかけて開催された参画企業(インベンター:発明家)との共創イベント「KAKEZAN2026」で同施設を披露した。

インベンターガレージはトヨタ自動車東日本の東富士工場プレス建屋をリノベーションした施設。53年間にわたりセンチュリーをはじめとする高品質な車を作り続けた建屋を、ものづくりの魂をヘリテージとして継承しながら、ラボや試作スペース、走行試験スペース、宿泊施設などを完備したインベンターが開発に集中できる拠点へと生まれ変わらせた。

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インベンターガレージの内観。工場の面影が各所に残る

「モノづくりの歴史を『未来に繋げたい』」という社員の想いの通り、外観だけでなく施設内には東富士工場の遺産が随所に息づく。その象徴がコマツ産機製のトランスファープレス機(加圧能力4600㌧)が設置されていた場所だ。イベント用ピッチステージ「ピットステージ」へと変貌した空間の上方には、10㌧クラスの金型を交換するための吊りクレーンが当時のまま残され、ピットの壁にはプレス機から漏れ出た潤滑油のシミの跡が残る。他にも、足元には当時のままの段差や傷跡が残る床面が広がり、建屋の各所にはライン異常を知らせるアンドンや搬送工程で使用されたロボットなどが設置され、往時を想い起こさせる。

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プレス機下のピットをイベント用のスペースに

■産業超えたカケザンが新たな価値に

KAKEZAN 2026では、トヨタ自動車の子会社Woven by Toyotaやインベンターが開発する先端技術が展示された。中核を担ったのがWoven by Toyotaが開発する「Woven City AI Vision Engine」(以下、AI Vision Engine)。カメラ映像などの視覚情報をもとに、人やモビリティの挙動、街の状態をリアルタイムで自然言語に変換できる大規模基盤AIモデルで、動画理解AIの性能評価「MVBench Leaderboard」で世界トップレベルの性能を持つ。

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「ガンダム」の愛称で親しまれていた不二越製の垂直多関節ロボット

このAI Vision Engineをカフェ運営に応用しているのがUCCジャパンだ。Woven City内の上島珈琲店において、10秒ごとに滞在中の顧客行動をカメラで理解し、言語化して蓄積。コーヒーを飲むことが集中力や生産性にどう影響するかの実証実験を行う。同社は解析テキストを基に「パソコン操作」「スマートフォン利用」など9つの行動パターンに分類し、滞在時間中にどの行動がどのくらい検知されたかを積み上げ式グラフで可視化。アンケートで「集中できた」と回答した顧客はパソコン操作が継続的に検知される一方、「やや集中できた」にとどまった客はパソコンとスマートフォンの操作が同時に検知される傾向があり、主観的な集中度と客観データの整合が確認できたという。

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UCCジャパンはAI Vision Engineを活用した実証をWoven City内のカフェで行っている

現在、200件以上のデータを蓄積しており、今後はコーヒーの種類や温度など条件を変えた際の影響も検証していく予定。他にも、ダイキン工業やトヨタ紡織といった他のインベンターと『カケザン』も模索し、「集中力を高めるコーヒー」の開発に役立てたい考え。開発を担当するUCC上島珈琲・R&D本部 R&D推進チームの出原太智主任は「こうしたデータを実際のカフェ環境で網羅的に取るのは非常に困難。住人理解のあるWoven Cityならでは」とメリットを話す。



(日本物流新聞2026515日号掲載)