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フィジカルAI実装へファナック、エヌビディアら5社が協業

投稿日時
2026/08/10 13:14
更新日時
2026/08/10 13:17
左からNVIDIAのジェンスン・フアン創業者・CEO、富士通の時田隆仁社長、ファナックの山口賢治社長、安川電機の小川昌寛副会長、川崎重工業の橋本康彦社長(東京・港区の虎ノ門ヒルズ森タワー52階で)

協調制御基板を年内に開発

富士通が音頭をとって日本の大手ロボットメーカーと米半導体大手を巻き込んでフィジカルAIの社会実装を加速させようとしている。これまでに個々の企業間での協業は見られたが、大手5社の協業は珍しい。背景には日本はこの分野で米中に後れをとっている危機感がある。

富士通、ファナック、安川電機、川崎重工業、エヌビディアの5社は716日、東京・港区で記者会見を開き、「製造、物流、ヘルスケアを含むさまざまな産業分野にフィジカルAIの社会実装を加速する」と発表した。エヌビディアのレファレンスフレームワーク「NVIDIA Isaac Sim」や富士通の次世代CPUFUJITSU-MONAKA」、OS、管理システムなどを使ってロボットを自律的に動かす共通基盤となるプラットフォーム(PF)やハードウェアインターフェースをつくる。富士通の時田隆仁社長は「タッグを組んで日本の勝ち筋を構築する。PFはこの5社だけに閉じたものではなくオープンにし、産業界全体でフィジカルAIの実装を推進する」とし、ロードマップについてはこう話した。

「協調制御するPF(バージョン1)は年内に各社にお渡しする。それに先立ち9月末に当社のAIサーバーやスーパーコンピュータを製造する拠点である笠島工場(石川県かほく市)で実装する。各社からのフィードバックを受けて来年、バージョン2を開発する。成長型のPFと考えていただきたい」

一代で時価総額5兆㌦(約800兆円)超の企業にしたエヌビディア創業者のジェンスン・フアンCEOは親日家としても知られる。この会見で「日本の企業は忍耐づよい(笑)。だから世界最先端の企業が生まれ、近代産業を築いた国でもある。AIによってその次の時代を定義することになる」と持ち上げた。




ロボット×フィジカルAIで世界はこう変わる

ファナック 「もっと簡単にできる」

安川電機 「自分の動きを自分でつくる」

川崎重工 NWにつながり総合判断できる」


ロボットにフィジカルAIを搭載することに大きな期待が寄せられている。デジタル空間での情報処理(テキスト生成や画像認識など)にとどまらず、現実世界でモノを動かしたり自ら考えて移動したりできるようになる。ロボットメーカートップはフィジカルAIで世界はどう変わると考えるのか。716日に東京・港区で開かれた会見から声を拾った。

ファナックの山口賢治社長は「従来からの知能ロボットは技術的に未熟な部分があった。そこにAIが入ることで、抽象的な表現になるが、今までできなかったことができるようになる。今までできたことがもっと簡単にできるようになる」と見る。「当社では昨年12月からオープンプラットフォーム対応を打ち出しており、お客様からはもっていたアイデアを実現できるようになると期待していただいている」と事業は順調のようだ。

安川電機の小川昌寛副会長は「プログラムによるロボットは何をするのかが最初に決まっていた」と話す。ところがAIが加わると「自律能力、判断力をもつ。自分の動きを自分でつくるということ。まさに人間が幼児期から青年期になり大人になるのと同じこと。今までの固定された場所で仕事することからいろんなところに行って多様な仕事をこなす。大きな変革の時を迎えた」。

医療分野に強い川崎重工業の橋本康彦社長は、富士通と連携することで強みをさらに磨く考えだ。「日本の電子カルテ市場でトップクラスの富士通さんと、すでに病院でのロボット導入を進めている我々が連携することで、病院で人手のかかる大変な仕事が変わる。全体がネットワークにつながり、つながったものをフィジカルAIを使ってトータルで判断ができるようになる」と考える。「受注生産を担う中小企業にも、病院にも家庭にもロボットがどんどん広がる」と確信する。 



(日本物流新聞2026810日号掲載)