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加工経験ゼロの鋼材卸が、板金CAD/CAMで1日2000個の超特急加工をこなすまでに 長谷金属

投稿日時
2026/08/26 16:31
更新日時
2026/08/26 16:39
近年、受注することが増えてきた遊具の加工の様子

材料調達から組立までを一貫加工

図面が読める者は一人もいなかった――。鋼材卸として創業した長谷金属(滋賀県愛知郡)が「加工業」へ舵を切ったとき、板金加工の経験はゼロだった。その転換を支えたのが、キャドマックの板金用CAD/CAMソフト「MACsheetシリーズ」だ。材料調達から組立までを社内で一貫加工し、全国から舞い込む超特急の依頼をさばく同社の現在地を、滋賀の工場に訪ねた。


材料調達から、抜き、曲げ、溶接、塗装、機械加工、組立まで。「社内一貫加工」を武器に全国からの依頼に「超特急納期」で応えるのが長谷金属だ。1日に約2000個、種類にして500600品目。「早ければ当日・翌日に欲しい」という特急案件にも、可能な限り前向きに応じる。

1964年に鋼材卸として大阪で創業した同社は、長らく切り板販売を主業としてきた。転機は1993年の滋賀移転。新天地では大手競合との価格競争が待ち受けていた。この泥沼から抜け出すべく、長谷佳幸取締役会長が下した決断が、「素材売り」から「加工業」への転換だった。

「当時、図面を読める人は誰もいない。『なんやこれは』、全員その状態からスタートでした」(長谷健太郎代表取締役)

手探り状態の現場を助けたのがキャドマックの板金用CAD/CAMソフト「MACsheetシリーズ」だった。アイコンを中心とした画面は直感的で分かりやすく、図面に不慣れな社員でも短期間で操作を習得できた。とりわけ効果が大きかったのが、ネスティングソフト「MACsheet IST」による自動ネスティング機能だ。それまで一枚の鋼板から部品を切り出す際、一つひとつ手作業で割り付けていた工程がボタン一つで自動化され、作業時間は劇的に短縮。今日の短納期の基礎を築いた。

「他のメーカーのソフトも使っていましたが、画面の切り替えに時間がかかる。それがMACsheetだとパパパッと次々画面を遷移できる。慣れない作業をストレスなく回せる環境を早くに整えられたのは、本当に大きかったですね」(大西俊之製造部長)

■「鮮度」保ち全国から特急依頼

現在では、板金設計3DCADMACsheet BBX」(旧MACsheet SEG55台とMACsheet IST2台が稼働する。工作機械カバーや遊具など、大型かつ複雑なワークを加工することも多いため、BBXで作成した3Dモデルを使ってワークの裏側や部品同士の取り合いを確認しながら作業する。これにより、手戻りやミスが大幅に減り、作業スピードも上がった。

「材料は寿司屋の魚と同じです。月100㌧ほどの鋼材を絶やさず回し、様々な板厚や材質を新鮮なうちに使い切る。回転が速いほど、いろんな顧客の部品に対応でき、良い材料や設備の情報が集まってきます。客足を途絶えさせないためにも、効率よく仕事を捌ける体制づくりは必須で、その基盤としてBBXISTが役立っています」(長谷代表)

■外国人材が担うCAD/CAM

「誰も図面が読めない」ところから始まった現場は、いま大きく様変わりした。約70人いる社員のうち、約6割にあたる40人程がネパールやベトナムなどから来た外国人だ。母国で機械工学を修めた技術を持つ人材も多く、CAD/CAMのオペレーションは全て外国人材に委ねられている。

MACsheetシリーズは少し触ればすぐに使いこなせるようで、図面の作成・展開からネスティングまでどんどん任せています。それぞれが持つ技術力を生かすことができるので、やりがいはあると思いますよ」(長谷代表)

キャドマック_写真4.jpg

CAD/CAMのオペレーションは全て外国人材が担う。MACsheet BBXUIの使いやすさも相まって、写真のような複雑なワークの作図も3時間ほどで終えられるという

今年6月、本社から車で5分ほどの場所に新工場「未来工場」を建設し、ニデックマシンツール製の門型5面加工機「MVR 30Cx」を導入した。板金だけ、溶接だけと分業が常の業界にあって、板金から切削まで大物ワークの加工をこなせる企業は多くない。長谷代表は「空気を抱えるような大物は輸送コストが割に合わない。輸入に置き換わらず国内に残る」と先を見る。

BBXなどを使い、調達から組立まで貫く一貫加工ラインの起点として、3Dデータの活用を進める同社だが、それを出荷前の検査工程まで結びつけようと模索する。製品の品質を保証する実寸測定は、今なお手作業に頼る部分が大きく、相応の手間と時間を要する。その最後の空白を埋める鍵として、長谷金属はキャドマックのソフトウェアのさらなる進化に、大きな期待を寄せている。

キャドマック_写真1.jpg

左から大西俊之製造部長と長谷健太郎代表取締役




導入ツールMACsheet BBX


MACsheet BBXBankin Base X)は、板金設計3DCADMACsheet SEG5」を刷新し、20259月に登場した後継ソフト。期間ライセンス(サブスク)型を採用し、月数万円程度から利用できる。AI対応やクラウド化など最新機能を随時取り込み、板金業界のDXを推進する基盤を目指している。



(日本物流新聞2026年8月25日号掲載)