トーヨーエイテック、超ハイテン対応の新型皮膜 金型寿命10倍以上に
- 投稿日時
- 2026/07/17 09:00
- 更新日時
- 2026/07/17 09:00
トーヨーエイテックは、ポートメッセなごやで開催された「INTERMOLD名古屋」で、1.5㌐パスカル級超ハイテン(高張力鋼板)材の冷間超ハイテンプレス加工に対応する次世代コーティング「低温TiC-X」を出展した。自動車の軽量化に伴う難加工材の普及に対応し、金型の長寿命化と高精度維持を両立する技術として、自動車や金型メーカー向けに提案を本格化する。
背景にはEV化による車体の軽量化への高い要求がある。鋼板材料を通常の引っ張り強さ30㌔材から、60または100㌔ハイテン材料を使用することで重量を2分の1、3分の1に削減できる。同技術は、独自のアークイオンプレーティング炉を用いて開発したチタンカーバイド(TiC)系のPVD(物理的蒸着)皮膜。従来のCVD(化学的蒸着)法が1000℃前後の高温処理を要し、金型の歪みや寸法変化を引き起こす課題があったのに対し、500℃以下の低温処理を実現した。さらに成膜条件の最適化により、従来比約2倍の膜厚と42㌐パスカルの高硬度を確保し、皮膜の剥離や摩耗を大幅に抑制する。
強みは、量産現場を想定した実用性能の高さだ。1.5㌐パスカル級の実体材を用いた過酷なプレス耐久試験を経て2024年春に発売。実際の自動車部品製造現場(超ハイテン1.5㌐パスカル材、板厚1.6㍉メートル)のプレス曲げ成形では、従来皮膜の1500ショットに対し、1万5000ショット(10倍)を超えても継続使用できており、大幅な長寿命化を達成した。高負荷がかかる局所的なブロックへのピンポイント適用により、金型全体のメンテナンスサイクル延長にも寄与している。
中上浩一東日本営業所所長は「低温TiC-Xは膜厚が従来の低温TiCに比べて約2倍になった。ただ膜を厚くすれば、お化粧と同じで剥げやすくなる。そうならないように膜の構造にノウハウがある。2018年から順送プレス型で何度もテストして商品化にこぎつけた」と話す。
また、従来の高温「TDプロセス(拡散浸透処理)」からの置き換えも可能で、金型精度の長期維持に加え、再熱処理が不要なため短納期化にもつながる。
自動車関連の企業が集積する中部地区の営業担当者は「従来の低温TiCをすでに使用されている企業も多く、新型への移行もスムーズな印象だ。今回の出展では新規企業の関心も高く、さらなる拡販で業界標準化を目指したい」と意気込んでいる。
(日本物流新聞2026年7月10日号掲載)