
変種変量に半分の面積で対応、専用パレチェンも
ブラザー工業は4月17、18日に愛知県刈谷市のテクノロジーセンタで新製品発表会を開催。工具を100本搭載できるBT30マシニングセンタ(MC)「SPEEDIO S700Xd2-100T/ U500Xd2-100T」と専用のパレットチェンジャー「PC-1」を披露した。
同MCは28本の工具を収納できる機械前面のマガジンの左右に、36本ずつ収納可能な機内工具ストッカーを搭載。機械幅はともに2050㍉と28本搭載できる従来機(S700Xd2)と同じだ。40パレット収納できるPC-1と組み合わせることで、同等の工具とパレット数を持つ40番MCと比べ設置面積を半減できる。マガジンとストッカーの工具受け渡しは直動軸を用いた方式で最短5秒で行われ、来場者がスピードに目を見張っていた。
同MCを開発した背景に、大量生産から変種変量生産への顧客志向の変化がある。変種変量生産は段取り替えや工具交換の複雑化による生産効率の低下が課題で、解決するためにパレットチェンジャー付きの40番MCを使う現場が多い。ただ設置面積が大きくオーバースペックになる場合もあったことから、「世界初」という工具を100本搭載可能な30番MCの開発に踏み切った。
同MCの治具エリア等の加工能力は従来機と同様。S700Xd2-100Tは800×450mmの治具エリアに様々な治具を載せた高効率な加工が、U500Xd2-100Tは直径500mmの治具エリアを持つ傾斜円テーブルで複雑なワークの多面加工ができる。PC-1は200mm角の治具を積載でき、パレット管理機能や加工順をカスタムするスケジュール運転機能も搭載した。
担当者は「100本は過剰に思うかもしれないが、仮にPC-1の40枚のパレットにすべて違うワークを載せるなら1枚あたり2.5本しかない。過去に40本搭載できるMCを出した際に、ストッカーとして使うには工具本数がまだ足りないとの声もあった」と説明。
「30番の性能を強化し領域を広げてきたが、工具本数にはまだ既成概念があった。それを打破するという考えの100本だ。この10年で30番MCのできることは大きく広がった。ユーザーもより多くの仕事を取り込みたいはずで、今は過剰でも工具は絶対に増える。30番で工具100本は未開の地だが、30番の未来を切り拓く機械だ」と語った。
100本マガジン搭載30番MCで、正面マガジンと側面ストッカーが工具の受け渡しを行う様子
(日本物流新聞2025年4月25日号掲載)