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堀内機械、油圧型ロボットの実証機を開発

投稿日時
2026/11/06 09:00
更新日時
2026/11/06 09:00
実証機を操作する津田裕也氏

「10倍のパワー×精密制御」で油圧の課題克服へ

油圧シリンダー大手の堀内機械は、油圧型ロボットの実証機を開発した。米ボストン・ダイナミクスが人型ロボットで全電動化へ舵を切るなど「ロボットの油圧離れ」が進むなか、油圧本来の有用性を実証する取り組みだ。開発を担当する理学博士の津田裕也氏は「油圧は油漏れのリスクや大がかりな油圧源(ポンプ・配管)が必要な点から敬遠されがちだが、同じサイズであれば電動と比較して10倍以上のパワーを出せる強みがある」と説明する。同社は、外部油圧源を必要とせず、サーボモーター制御で100分の1㍉(10ミクロン)単位の位置決めを可能にする自社製「STPサーボシリンダー(電動油圧アクチュエーター)」を組み込むことで、従来の油圧の課題を解消した。

同社は、工場等の屋内で使用されるJIS型標準油圧シリンダーで国内トップシェアを誇り、年間約15万台を出荷する。製造現場で全電動化の潮流が強まるなか、同社が普及に注力するのが「STPサーボシリンダー」だ。最大の特徴は、位置センサーと圧力センサー双方の信号をコントローラーへリアルタイムにフィードバックする「フルクローズド制御方式」にある。これにより、電動アクチュエーターでは難しかった「高精度位置制御」と、油圧ならではの「荷重(力)制御」の両立を実現した。

国内のロボット展などでも会場を占めるのは電動アーム型ロボットばかりで、「これほどポテンシャルの高い油圧シリンダーが、なぜロボットに使われないのか」と津田氏は開発の動機を明かす。多くの設計者が持つ「配管が複雑で油漏れし、制御が大雑把」という固定観念が普及の阻害要因になっていると捉えたためだ。

■電動より人に近い動き

しかし、電動ロボットにはバッテリーのエネルギー密度やモーターの発熱、出力の限界といった課題が存在する。一方、油圧は小型でも高出力を発揮できる上、重い負荷を抱えたまま姿勢を保持する場合もバルブ(弁)を閉じるだけで対応できる。開発した実証機は二軸構成アーム型で、同サイズの電動ロボットの10倍の出力を備え、100㌔を持ち上げられる。実用上の動作速度は電動の5分の1程度にとどまるなどの課題は存在するが津田氏は「将来的には1㌧を持ち上げられるロボットの開発も可能だ」とみる。

ロボットそのものを完成品として販売はせず、STPサーボシリンダーに加え、長年のノウハウを凝縮した「ロボット用油圧シリンダー専用の制御ソフトウェア」をセットで提供し、ロボットメーカーやSIerでの開発に活用してもらうモデルを描く。

「研究開発を通じ、油圧の動作は電動に比べて滑らかで、極めて人間の身体動作に近いと感じた」と津田氏。今後、油漏れを忌避する現場に向け、すでに製品化している水圧シリンダー技術の知見を生かし、油を用いない水圧駆動や代替流体への置き換えも視野に研究を進めていく方針だ。



(日本物流新聞2026年10月25日号掲載)