カイゼン×デジタルツイン、トヨタの「カイゼン」を基盤化
- 投稿日時
- 2026/05/11 15:08
- 更新日時
- 2026/05/11 15:10
ウーブンシティで発表
トヨタ自動車の子会社Woven by Toyotaは、トヨタ自動車と主催した共創イベント「KAKEZAN2026」(4月20~24日、Woven City内)で、生産現場の改善を支援する「Woven City Digital KAIZEN Platform」を披露した。
トヨタ自動車の現場にはムリ・ムダ・ムラを排除する「カイゼン」活動が根付く。同プラットフォームはデジタルツイン技術を用い実世界のカイゼン活動を促進するもの。Woven City内ではゴミ収集のルート最適化などへの適用を模索しているが、その横では工場のカイゼン活動を加速するソリューションとして展開が進んでいる。
活用が進むトヨタ自動車の工場では、以前から「ジャスト・イン・タイム」を軸とするトヨタ生産方式(TPS)が根付いてきた。在庫を“適正化”し、必要な時に必要なだけ作る生産方式として知られるが、その際カギとなるのがバッファの取り方だ。
例えば2つの生産工程があった場合、前工程が停止した場合でも後工程が生産を続けられるだけのバッファ在庫が必要となる。逆に後工程が止まれば、前工程が生産した分を受け入れるバッファエリアがなければ今度は前工程も止まってしまう。「本当に必要な分だけ在庫を持つ」というのがTPSの本来的な考え方であり、このバッファの最適化が最終的な生産出来高にも直結する。
しかし、この考え方を現場全体で共有することは、想像以上に難しい。製造チームは工程ごとに分かれており、場合によっては建物も異なる。各工程の担当者は他の工程の状況が見えないため欠品を恐れる。そこでカンバンが情報の橋渡し役になるわけだが、こうした不安はカンバンの枚数設定に影響を与え、結果として各所で必要以上の在庫を抱えがちとなる。一方、ライン全体を俯瞰する改善担当者は在庫の適正化を推進したいが、前後工程が見えない現場側は不安でなかなかカイゼンが進まない。
同プラットフォームは、物だけでなく、カンバンの流れも含めてライン全体を可視化。さらに在庫を0個、1個、2個と段階的に変化させた場合に、どの時点で欠品が発生するかなどを事前に検証できるシミュレーション機能も用意する。管理者と現場が同じ画面を見ながら合意形成を図ることで、カイゼンへの納得感を生み出すコミュニケーションツールとなる。実際の導入事例では、複数の車種が混流生産される複雑なラインで最適解の探索と現場の不安解消を同時に実現。カイゼン活動を加速させた。
「将来的には人材の最適配置やサプライチェーンの最適化に寄与する機能追加を想定し取り組みを進めています」(トヨタ自動車 櫻井貴宏氏)
その実現に向け、足元の展開も着実に進む。現状はトヨタ自動車の工場内での活用に留まるが、カンバンの動きやモノの動きはモジュール化されており、それぞれのモジュールを組み合わせることでさまざまな現場に対応できる拡張性を持たせた設計となっている。
(2026年5月12日MonoQue掲載)