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INTERMOLDリポート、深化する「工程集約」と「自動化」

投稿日時
2026/05/15 09:27
更新日時
2026/05/15 09:33
牧野フライス製作所立形マシニングセンタ「V300」

課題解決へ舵を切る金型業界
実機展示からソリューション提案へ

4月15日から17日にかけて、インテックス大阪で「INTERMOLD 2026(金型展)」が開催された。来場者数は3万3397人を記録。金型加工企業による出展増に伴いビジネスマッチングが活発化する一方で、機械メーカーによる大型実機の展示は減少傾向にあり、展示会の役割が「ハードの披露」から「深刻な課題への解法提示」へと変容している姿が浮き彫りとなった。会場に並んだ提案の多くは、人手不足対応、技能継承、工程集約といった、業界が直面する負の側面を打破するためのものだった。なお名古屋展は5月20日よりポートメッセなごやで開催を控える。

牧野フライス製作所は、金型加工市場で高い評価を得る「V33i」を進化させた立形マシニングセンタ「V300」の実機を展示した。担当者は「冷却性能をアップし安定性を高めた。主軸の冷却も見直し、暖機時間も45%ほど削減できた」とその進化を強調する。同機は省スペース化も追求しており、ATCのマガジンを標準の20本から60本まで拡張しても設置面積が変わらない。「現場での自動化要求は高まっているが、既存機のフットプリントのままATCマガジンを拡張したいというニーズに対応した」とし、限られた工場スペースでの生産性向上を提案した。

初出展というGROB Japanは、同時5軸機で加工した金型や、溶かしたアルミを滴下して積層する独自の3Dプリンターで造形したワークなど、サンプルワークを幅広く並べた。同社の事業の柱は航空機、金型、半導体、医療、防衛の5つで、「金型は常に重視している」と小川晃生社長は言う。ワークを通じ「剛性、精度、そして大物加工が得意だということをアピールしたい」とした。同社の工作機械は高精度な大物加工を得意とし、最大で直径1.3mまで加工できる。

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GROB Japanのサンプルワーク

従来、治具研削盤を必要とした工程を5軸機「YMC650」へと置き換える提案を行ったのが安田工業だ。部品の一体化ニーズの増加に伴い、金型加工企業の間でも5軸機の導入が進んでいる。同社は「治具研削盤の役割を5軸機に担わせる工程集約の提案となる」とし、自動化ラインに組み込みにくい治具研削盤の課題を、5軸機によるワンチャック加工で解決する姿勢を示した。ワイヤ放電加工機「MM50UP」に協働ロボットを用いた自動化を組み合わせた提案を行った西部電機。棚単位で管理・設定を行い、ロボットが必要なワークを選択し自動で加工。操作はタブレットのみで完結し、ワークの脱着・棚への格納を自動化する。

5月20日から名古屋で開催される「AM EXPO 名古屋」を控える日本AM協会エリアでは、会員企業10社が集結した。松浦機械製作所は、切削とAM加工をハイブリッドで行える「LUMEX」をPRした。会場に展示された車載ヒューズボックスの射出成形金型ワークについて、担当者は「従来は数十個のパーツを組み合わせていたが、LUMEXによる一体成形で部品点数を60個から5個まで削減した」と語る。通気構造(ポーラス構造)をもち、細かな溝まで高精度に仕上げられるのは、切削工程を一体化できる同機ならではの強みだ。

住友ゴム工業(DUNLOP)は、UV硬化ゴムを用いた造形ワークを展示した。「これまでゴムライクな材料はあったが、耐久性や復元性の面で本物のゴムに及ばない部分があった。我々はゴムメーカーとしてその課題を解決し、3Dプリンターでの実用成形を目指している」と同社は説明する。エアレスタイヤなど、従来の金型構造では成形が困難だった複雑な内部設計も、AM技術であれば制限なく実現可能となる。また、サクライノベーションはドイツ「BigRep」の活用事例をPRし、最大1m四方の大型ワークに対応する造形能力をアピールした。

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住友ゴム工業(DUNLOP)によるAMを活用したエアレスタイヤのイメージ

金型加工企業側の展示でひときわ注目を集めたのが、鋳造まで手がけるウレタンシート金型メーカー、東亜成型が開発した「マッスルジョッキ」だ。同社の高度なアルミ鋳造技術を応用したもので、総重量は3.4キログラムに達する。浦竹重行代表取締役が「ビールを飲みながら筋トレできる」と冗談交じりに紹介するこの製品は、そのユニークさからSNSで瞬く間に拡散された。技術力を遊び心ある形に変えて発信する同社の姿勢は、来場者に強い印象を残した。



(日本物流新聞2026年5月15日号掲載)