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【JVCケンウッド×ハイオス】世界が認める無線機生産を支える「人に優しい」熟練工

投稿日時
2026/06/11 09:00
更新日時
2026/06/15 17:46

HIOSユーザー訪問企画

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北米の警察・消防・救急分野を支えるJVCケンウッドの業務用無線システム

JVCケンウッド山形は、無線機の生産を通じて日本のものづくりの強みを世界へ発信している。この圧倒的な高品質生産の現場を足元から支えているのが、同じ山形県内で生産されているハイオスの電動ドライバー「熟練工」シリーズだ。多品種生産が求められる現場において、ヒューマンエラーを構造的に防ぐ先進のシステムと、現場の作業者負担を低減する操作性が融合。「メイド・イン・ジャパン」の高度な技術連携が、世界基準の品質革新を力強く牽引している。

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■Chapter.01

抜群の堅牢性で北米市場を席捲


山形県鶴岡市にあるJVCケンウッド山形は、JVCケンウッドの無線通信機器事業を牽引する生産拠点だ。鶴岡中央工業団地内に位置するこの工場は、高度な技術力を武器に、警察・消防・救急向けの業務用無線システムから、世界中の愛好家垂涎の最高級アマチュア無線機、さらには公共施設向けの非常放送装置まで、多種多様な高付加価値製品の製造を一手に担っている。

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優れた堅牢性を誇る無線機は山形で作られている

なかでも近年、好調なのが北米向けの公共安全(パブリックセーフティ)市場向け無線機だ。警察・消防・救急といった政府系機関向けに供給するこの製品群は、2023年に市場投入した最新ハイエンド機種を中心に受注が急拡大。これらの製品はすべてJVCケンウッド山形で製造されている。

同工場の北米向け製品はIP規格の防塵・防水性能に加え、アメリカ国防省制定MIL規格に準拠した堅牢性を備え、コンクリートへの落下試験や消防ホースによる放水への耐久試験をクリアする。マイナス30℃を公式スペックとしながら、ミシガン州の消防では大寒波におけるマイナス40℃の環境下でも動作したことが確認されている。

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北米市場での信用実績の厚い無線機

「当社の無線機は、過酷な現場にも耐える『優れた堅牢性』が北米市場での信頼獲得につながっています。実際に拳銃の弾が無線機に当たったものの貫通せず、使用者の命を救ったケースも報告されています」。こう話すのはJVCケンウッド山形の渡辺幸司社長だ。消防士がこの無線機を使って火災現場の窓ガラスを割るといった用途も想定しているそうで、まさしく映画のワンシーンのような現場での使用に耐えうる製品だ。

一方、国内および東南アジア向けには、手の小さいユーザーに配慮したコンパクトなモデルを展開。「日本人は細部にこだわる。少し小さく、寒色系の色味など、日本人の感性に合ったものを提案しています」(渡辺幸司社長)。同じ技術基盤を持ちながら、市場ごとに製品特性を最適化する戦略をとっている。

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JVCケンウッド山形 渡辺幸司社長




■Chapter.02

300本のねじ締めミスなく支える


ハイオス電動ドライバーの本格導入は、10年以上前に遡る。JVCケンウッド山形がふるさと納税返礼品にも登録するハイエンドのアマチュア無線機の生産を開始するにあたり、現場に大きな課題が突きつけられた。それは1台あたり約300本ものネジを使用するという点だ。

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システムと連動する熟練工

同社生産部の佐藤久部長が当時を述懐する。「締め忘れや本数ミスは品質に直結します。このままでは必ずミスが起こってしまう、という懸念が新たなツールを探すきっかけとなりました。そのタイミングで出会ったのが、ハイオスのカウンター付き電動ドライバーでした。実際に使ってみると作業性が非常に良く、本数カウント管理もできる。まさしくこれだ、と思いました」

以降、同社ではオレンジカラーの熟練工シリーズを積極的に採用。現在は工場全体で200本を超える規模にまで導入が広がっている。かつては複数メーカーのドライバーやエア駆動のドライバーも混在していたが、現在はハイオスのオレンジ色が9割以上を占める。

これらの電動ドライバーは生産管理システムと連動して運用されている。作業者のモニター画面には工程ごとの作業指示が表示され、どのドライバーを使うべきかが明示される。

トルク違いやネジ違いの製品を複数種類流す工程では、誤ったドライバーを握った場合に電源が入らない仕組みを構築。クラッチ信号を検出することで、正しい工程で正しいドライバーが使われているかをリアルタイムに監視している。

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熟練工を用いての作業工程

「間違えることは基本的にありません。誤ったドライバーでは動作しないため、誤使用を防ぐ仕組みになっています。作業現場には同じオレンジ色のドライバーが複数本並んでいても、システムが自動的に使用可能なドライバーだけを制御するからです。機種切り替えのたびにドライバーを物理的に入れ替える手間もなく、多品種を流す複雑なラインでも、ヒューマンエラーを構造的に防ぐシステムを実現しています」(佐藤久部長)

同社はハイオスの電動ドライバーを手動作業だけでなく、産業用ロボットと組み合わせた自動機にも活用している。約5年前に試験導入された自動ネジ締め機は、現在も安定稼働を続けている。

特筆すべきはその安定性だ。同社技術部の田中浩志部長は「導入から34年が経ちますが、一度もトルク設定を変えずに使い続けています。トルク計測器での定期点検も実施していますが、設定値に大きな変動はありません」と、長期にわたる安定性への信頼感をにじませる。

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課題解決の契機を語る佐藤部長と田中部長




■Chapter.03

現場の声で熟練工の採用が加速


実際にドライバーを使う現場からの評価も上々だ。同社生産部製造グループFA製造チームの遠藤航輝スーパーバイザーは、「長さ20センチを超えるビットを使う場面があるのですが、ハイオスの熟練工は軸ブレが全く気になりません。以前使った別メーカーのドライバーでは振動が気になりましたが、熟練工はクラッチの切れが良く、締まった瞬間も分かりやすいため、作業しやすく安心感があります」と話す。

また、精密部品が密集する無線機の生産では、わずかな振動やブレが破損や空回りにつながるリスクがある。遠藤航輝スーパーバイザーは「この辺が震えてしまうと、割れたり空回りしてしまう場所がある。そこはかなり重要視している」と、締め付けにばらつきがある条件でも安定して対応できる点が評価されている。

JVCケンウッド山形の生産ラインは、作業員の大半を女性が占めている。この女性たちからも熟練工シリーズは特に高い評価を受けている。

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熟練工を使いこなす遠藤航輝スーパーバイザー(写真左)と三浦真美さん



同社で長年に渡りねじ締め作業に携わってきた技術部第一グループ第一設計チームの三浦真美さんが話す。

「熟練工を導入する以前は、エアで動くタイプの太いドライバーで、重たく反動も大きかったので1100本以上締めると手が痛くなりました。でも、熟練工はグリップがスリムで握りやすく、疲労感が全然違います。導入してすぐに同僚の女性たちから『オレンジのドライバーを使いたい』という声が上がりました」

こうした現場からの声が、工場全体での採用をさらに後押しした。「別の工程でも変えてほしいという要望が相次ぎ、結果的にほぼ全工程でオレンジに統一された」と生産部の佐藤久部長は振り返る。現場主導の改善が、そのまま標準化へ結び付いた。

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工場に並ぶオレンジの熟練工

品質管理の観点でも、現場からの信頼は厚い。同社ではドライバーのトルク管理を毎朝の始業点検で実施している。だが、設定トルクに対してズレがほぼ発生しないため、技術部の田中浩志部長は「点検というより、問題がないことを確認するだけの作業になっています」と笑顔で話す。 同社のものづくりのこだわりは、製造時の品質だけにとどまらない。製品の修理・メンテナンスのしやすさも重要な競争軸として位置づけている。

無線機はライフサイクルが長く、10年以上生産が続く機種もある。修理対応力の高さは、長期間にわたって製品を使い続けるユーザーへの誠実な姿勢の表れでもある。

「基板ごと交換するのは極力避け、できる限り部品レベルで修理する専任のリペアマンがいて、丁寧に直している。メンテナンスとリペアへの対応力は業界の中でもトップレベルだと自負しています」(渡辺幸司社長)。

精密機器や電子基板の組み立てにおいて、ねじの締結は製品価値を左右する極めて重要な工程だ。製造現場のDXや品質管理の厳格化が急速に進む中、JVCケンウッド山形では、ドライバーを単なる作業工具ではなく、作業者に寄り添う先進的な「デジタルデバイス」として位置付けている。

取材の最後に行われた生産部門とハイオス担当者による機能・形状に関するディスカッションは、まさにその姿勢を象徴するものだった。現場から生み出された具体的な改善案に対し、ハイオス製造部の大嶋芳行リーダーは「現場の貴重なアイデアを今後の製品開発に確実にフィードバックする」と明言。両社のシナジーによる電動ドライバーのさらなる進化を強く印象付けた。

業界最高水準の無線機を世界へ供給するJVCケンウッド山形と、高精度なねじ締結ソリューションを展開するハイオス。山形県に拠点を置く両社の「メイド・イン・山形」の技術力と現場力の結びつきが、グローバル市場で勝ち抜く高品質なモノづくりを支えている。




JVCケンウッド山形/鶴岡市の生産拠点

時代のニーズに磨かれた技術でオンリーワンの製品を創り出す

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出羽三山の豊かな自然に抱かれ、城下町の歴史を今に伝える山形県鶴岡市。この地においてJVCケンウッドの「無線システム事業」における主力工場として存在感を放っているのがJVCケンウッド山形だ。

同工場は1981年に設立。昭和のオーディオ・無線ブームを牽引した熱き血流がある。かつて山水電気、パイオニアと共に「オーディオ御三家」と称されたトリオ株式会社の生産拠点として、鶴岡中央工業団地の一角に誕生。時代の変遷とともに、オーディオから携帯電話やポータブルMDプレーヤー、カーナビゲーションといったデジタル機器と生産の主力を変えていった。2013年には現在の「JVCケンウッド山形」へと社名変更。変革の歴史の中で一貫しているのは、トリオ時代から培われてきた高周波技術と、極限の環境でも途切れない「無線通信」へのこだわりだ。

同工場が誇る最大の強みは、多品種少量生産に柔軟に対応できる高度な生産体制にある。設計から資材調達、基板実装、組み立て、そして厳格な検査・出荷に至るまでを自社内で完結させる「一貫生産体制」を確立。最先端の自動化設備と、熟練の職人技による「セル生産方式」を融合させ、高品質・高信頼性が求められる業務用機器を安定的に市場へ供給している。

特に、国内外の警察や消防、救急といった人命に関わる公共インフラを支える業務用無線機器や、ふるさと納税の返礼品にもなっている最高峰のアマチュア無線機「TSシリーズ」の製造において、同工場の高い技術力は世界から注目されている。

また、同工場は地球温暖化対策を見据え、省エネ性能に優れた環境配慮型の工場設備への更新を積極的に推進。生産工程から排出される廃棄物の徹底した分別やリサイクルに取り組み、サステナブルなモノづくりの構築にも取り組んでいる。



(日本物流新聞2026年6月10日号掲載)