オピニオン
日本データセンター協会 事務局長 増永 直大 氏
超大型化するデータセンターの潮流に日本は乗れるか
- 投稿日時
- 2026/07/10 09:00
- 更新日時
- 2026/07/13 13:35
「次」次世代AIサーバー日本迂回の可能性
特定非営利活動法人日本データセンター協会(東京都千代田区)の会員数は最近まで300社弱で推移してきた。データセンターの建設ラッシュを受けこの2年は毎年100社ずつ増え、500社超に。だが、日本企業にとってデータセンター業界への参入は難しく、「課題は山積み」と増永直大事務局長は言う。

大手システムインテグレーターのシステム部門に30年以上勤務し、現在は日本データセンター協会の事務局長を務める増永直大氏。協会は近年会員数が増加し、やるべき課題も多くなったことから事務所を移転し、体制の強化を図っている。
――なぜデータセンターがこれほど盛り上がってるのでしょうか。
「データセンターは30年、40年前から日本にも米国にもたくさんあります。ホストコンピュータをお預かりしてアウトソーシングサービスなどをするためです。大きく変わったのは2015年くらいからクラウドサービスが登場し、データセンターのインフラを時間貸しにしたこと。それまではコンピュータを自分で買ってセットアップして使える状態にするのに納期も含めて2、3カ月はかかりました。今ではネットでリクエストして10分後に使うことも可能となりました」
「クラウドサービスが大きく広がりデータセンターも増えましたが、日本のメーカーはほとんど参入できていません。ハイパースケーラー(巨大クラウド・データセンター運営企業)が圧倒的なボリュームと低価格でサービス展開したので、日本のデータセンター事業者でクラウドサービスを行うところは相対的に少ない状態です。米国だけでなく中国企業も日本市場に入り込んでいます。だから日本企業はハイパースケーラーに建物としてのデータセンターを建てて貸すというビジネスになっています。そこも外資系のデベロッパーが入り込んできており競争が厳しくなっています」
――データセンターに求められるニーズに変化はありますか。
「AIは電気をたくさん使います。10年前までは30メガ㍗、40メガワットくらいのデータセンターは超大型とされましたが、今や100メガ㍗、200メガワットのセンターを建てると話題になっています。データセンターは24時間365日電気を使い続けるので、ベース電力を上げる必要があります。それが意味するのは、日本で発電所を作らないと間に合わないということ。電力消費が激しいので電気設備も変わるし、それを冷却するための冷却設備も大きく変わってきています。従来はサーバールームに25℃くらいの空気を送り込んで30℃くらいで戻ってくるレベルで動かしていましたが、それでは全然間に合いません。水冷方式に変える必要があります」
――200メガ㍗とおっしゃったのは、たった1つのデータセンターだけに必要な電力ですか。
「そうです。50メガ㍗を使うような工場ですらおそらく今まではなかったと思います。30メガ㍗でも100ボルト、30アンペアの一般家庭の1万棟分ですから、小さな市よりたくさん電気を使います」
■「次」次世代AIサーバー導入のために
――データセンター業界の最大の課題は何でしょうか。
「AIサーバーについては日本のメーカーがほとんどいないことです。先日、AIの最新情報を仕入れに台湾で開かれたアジア最大のコンピュータショーに行きました。400社ほどが出展していましたが、日本企業は1社か2社。日本ではコンピュータそのものをあまり作っていませんし、最新鋭に対応した周辺設備や機器もあまり作っていません」
「次次世代AIサーバーは800ボルトで動きます。世界は1500ボルトまで低圧扱いですが、日本は750ボルト以上は高圧扱いです。各社はグローバルで商売をしていますから、日本のためにわざわざ電圧を下げたりしません。高圧扱いになると専任の技術者が必要で、安全規則などが厳しくなり、特別な対応をしないと工事ができません。たとえコンピュータを増設するだけでもです」
――データセンター需要は今後さらに高まりますか。
「盛り上がるでしょう。このままでは次次世代AIサーバーは日本に入ってこず、韓国やマレーシアあたりに入ります。日本でそのサーバーを使いたい人はそちらにアクセスすることになると思います。日本企業のこの分野への参入は少ないと言いましたが、もちろん、がんばっている機器メーカーは日本にもあります。ですが、世界の潮流に乗っていくのは難しいという感じです」

日本データセンター協会が主催した「Data Center Japan」には前年の1.6倍の来場者が訪れた(3月24・25日、東京・港区で)
(日本物流新聞2026年7月10日号掲載)