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(一社)日本歯車工業会 専務理事 宇都宮 崇 氏 
歯車加工機・検査機の補助金活用を推進

投稿日時
2026/07/13 11:01
更新日時
2026/07/13 11:05

歯車専門人材の育成も

昨年5月に会長1人、副会長3人の新体制に移行した(一社)日本歯車工業会。海外視察や人材育成に引き続き力を入れるほか、専門知識をもつ職員を迎い入れ、補助金事業や国際規格に積極的に関わっている。目指すのは会員企業への技術的支援と公的補助金手続き支援だ。

オフィスに隣接する東京タワーを背景に写真撮影に応じてくれた職員(中央が宇都木崇専務理事)

――工業会活動に大きな進展はありますか。

「補助金事業に積極的に関わるようになりました。補助金にも様々なものがありますが、中小企業省力化補助金の『カタログ注文型』のカテゴリー登録にトライしました。このカタログ注文型は1億円まで補助される『一般型』と異なり、通常の上限が1千万円、条件が整えば1500万円までの補助金が比較的簡単な手続きで速やかに受けることができます。しかし、この補助金を受けるには工業会による製品カテゴリーの登録と、メーカーによる各製品の登録が前提となります。歯切りのコアマシンと言える『CNCホブ盤』の登録を5月に完了し、6月にはCNC歯車測定機と歯車噛合試験機を含む『歯車検査機』のカテゴリー登録を完了しました。もっとも、登録すればすぐに利用できるわけではなく、今度は機械メーカーさんが該当する自社製品を登録する必要があります。これができて初めて機械を買う人が恩恵を受けられます」

――会員数に変化はありますか。

「会員数は202122年に複数の自動車関連会社さんが退会されてガクッと減った時期がありましたが、近年は毎年微増傾向にあり、現在125社まで増えました。中小の歯車加工会社を中心に、加工機・測定機・刃物メーカーの会員もいらっしゃいます。歯車メーカーさんすべてが当会に入会しているわけではありませんが、横のつながりを大切にし垣根を超えて業界を盛り上げていこうと考える企業は入会されていると思います。歯車業界の景気がすごくいいというわけではありませんが、工業会でアピールする機会を増やしたり、会員各社には入会するメリットを感じていただけたりしています。若い人に対してもアピールしようとSNSも始めようとしています。今年のJIMTOFには当工業会から前回の15倍の会員が出展します」

――海外視察にも積極的です。

「一昨年は韓国に、昨年はドイツ、スイスの歯車加工機メーカーの巨人5社を視察しました。今年は6月中旬に台湾の歯車加工メーカー2社、加工機・工具メーカー1社を訪ね交流会を催したほか、11月には北米を視察する予定です」

――歯車技術全般を学べる対面講義の「ギヤカレッジ(歯車技術講座)」(今年6月から来年2月)の受講者は集まりましたか。

「今年もおかげ様でマスターコース(基礎講座)には定員の30名が、プロフェッショナルコース(応用講座)には19名(定員20名)が受講しています。近年盛況ですが、課題として先生方の高齢化があります」

――業界への貢献度の高い工業会と言えます。

「当会はかつて運営に必要な事務的な仕事を主として行っておりましたので、専門的な問合せがくれば断っていたようです。現在では私を含め歯車業界出身の職員を抱えることで、会員企業の技術的なサポートをすることもあれば、各種学会とのつながりも強化して会員が仕事をしやすい環境をつくっていこうとしています。歯車加工の依頼があれば、最適な会員を紹介できるようにデータベースも整備しています」

「それと同時にISOの国際会議に企業の技術者や学会の先生を派遣していますし、海外の専門家を当会に招いたりもします。今年9月末にはISO国際会議『ISO/TC 60/SC 2/WG 6 “Gear calculations”』のメンバーをお迎えする運びです。国際会議ではこのほどドイツから測定機の基準を決めようとする提案がありました。そのような場に出席するには歯車の知識も必要ですし、英語力も必要になります。加えて単に歯車の製造ノウハウだけでなく、数学や物理にも強い人が必要になります。会議に関わらずにいると、いつの間にか日本企業にとって不利な内容が世界標準になってしまうことがあります。基準づくりは息の長い取組みで、おそらく1つの基準が決まるのに5年、10年かかります」

――国際交流も事業の柱にしています。

「当会へ海外からのアプローチが増えています。最近はインドやブラジルの企業や研究機関から問合せがありました。インドでは輸入だけに頼るのでなくメイク・イン・インディアのキャッチフレーズがあり、国内でモノをつくってそれを自国で使おうとする動きがあります。ただし、すぐにモノづくりができるわけではないので、そのノウハウをもつ日本の企業に来てもらいたい、技術移譲をしてもらいたい、といった希望がコンサル会社にあるようです。ブラジルでは様々な企業と学者が集まってスタートアップ事業を進めている団体もあるようです。研究機関のようなもので、そこに日本企業の参加が少ないので、もっと日本と繋がりをもちたいという要望があるようです」

――研究機関からどうして日本歯車工業会さんにお声かけが。

「その研究機関の中に歯車を研究している部門があり、向こうにも歯車の専門家が何人かいますが、日本の研究者や企業と交流をもちたいようです。来年のコンファレンスにぜひ日本から参加してほしいと言っています。ただ、当会は少人数の組織で、問合せのすべてに対応するのはなかなか難しいところですが、グローバルな活動を続けていこうと思います」




MEMO


一般社団法人日本歯車工業会

1938年設立、会員125社(20263月末現在)

東京都港区芝公園3-5-8

東京歯車製造工業組合として設立。2013年に一般社団法人に移行した。歯車製造業を中心とする正会員92社と趣旨に賛同する賛助会員33社で構成する。コロナ禍を経て自動車分野大手の賛助会員は減ったが、若い社長のもと新しいい分野に挑戦しようとする意欲的な企業の入会が増えている。ギヤについて体系的に教える大学が少なくなるなか、九州大学大学院が産官学連携事業として2005年に設置した「ものづくりスーパー中核人材センター」(08年からは九州大学の自立事業として「ものづくり工学教育研究センター」に改称)のなかの「歯車製造コース」を2011年に継承し「ギヤカレッジ」として主催する。国際交流、教育、規格の3事業を基本軸とする。



(日本物流新聞2026710日号掲載)