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芝浦工大、DfMAシンポ開催

投稿日時
2026/05/14 09:37
更新日時
2026/05/14 09:39
パネルディスカッションの様子

迫る工期に職人たちが死に物狂いで帳尻を合わせる。そんな建設現場の日常が急速に限界を迎えつつある。「リア・ローディング(もの決めの後ろ倒し)」とも称される現状に対し、芝浦工業大学SIT総合研究所グローバル建築技術研究センター(センター長・蟹澤宏剛教授)は4月18日、問題意識を共有する建設・設計・製造の実務者を集めた「DfMA※シンポジウム vol.2 —リア・ローディングからの脱却—」(協賛:野原グループ)を開催した。

※DfMA:Design for Manufacturing and Assembly。製造と組立のための設計

事例発表には安藤ハザマ、長谷工コーポレーション、カワトT.P.C.、野原グループの4社が登壇。安藤ハザマはBIMと製造CAD連携によるプレキャストコンクリート(PCa)基礎梁の内製化を報告。製品図の作図工数を従来比40%削減できる見通しを示した。一方で、2020年にマンション設計・施工のBIM100%体制を確立した長谷工コーポレーションは、フロントローディングを「収まり」「ルール」「人」の三類型に整理する独自の概念を提唱。収まりのフロントローディングでは、サッシの建具ルールをBIMパーツに組み込むことで、設計者がパラメータを入力するだけでサッシメーカーへ情報連携が自動化される仕組みを構築。昨年9月には、茨城県かすみがうら市にBIMモデルと工場ロボットを連携した内床用のPCa工場を稼働するなど、工業化による建築の生産性向上に力を入れる。

野原グループはBIM活用基盤「BuildApp」を通じた「製作加工連携」を実装した実例を紹介。今年から提供を始めた建具工事向けサービスでは、設計データから製作施工図と製造用データ(バラ図)の作成工程を自動化・省力化することで、上流と下流のデータ連携を確実なものとするとともに、施工・製造現場の手間や不具合を解消する。製作工場における長期の待機時間がほぼ消滅し、「全体のリードタイムの半減」も見込まれるという。

■発注者側の意識改革も

後半のパネルディスカッションでは「生産者側からいかに上流工程へ働きかけるか」をテーマに議論がなされた。コーディネーターを務めた曽根巨充氏(前田建設工業)はロボット活用など現場改善への意識が高まっていると指摘。一方で、「施工プロセス内だけで生産性を上げるのは限界がある」とし、フロントローディングやDfMAの重要性に改めて言及した。

長谷工コーポレーションの中野達也氏もDfMAの重要性に共感しながらも、その効果を全体に広げるためには「計画設計段階からの意思決定が重要になる」と強調する。

「相見積りの仕組みの下では、設計段階ですべてのものを決める権限が受注者側にはない。例えば、安藤ハザマさんのPC基礎梁を使いたいと設計者が考えても、相見積りによるコスト調整などの結果、採用に至らないケースがある。そのため、発注者側にDfMAを選択するという意思決定を初期段階でしていただく必要がある」(中野氏)

では発注者をどう動かすか。BIM関連のサポート業務を行うヴィックの渡辺健児氏は「後工程が困るから」とお願いするだけでは発注者は動かないと指摘。「BIM化が進み建築に情報が結びつくとビジネスが大きく拡張される可能性がある。その可能性を一緒に考えませんかと問いかけるほうが発注者のモチベーションを変えられるのでは」と提起した。

こうした議論を受けて、東京電機大学の小笠原正豊教授は「前回は問題提起にとどまったが、今回は各社が自らの事業領域で個別最適化に成功していることが見受けられた」と総括。その上で、今後の建築業界が目指すべき「次の山」として、「全体最適に向けて異なるステークホルダーのモジュールをつなぐ『インターフェース設計(共通のルール作り)』が不可欠になる」と展望を語り、充実した議論を締めくくった。



(2026年5月14日MonoQue掲載)