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廃プラ「都市油田」に脚光 NEW環境展で

投稿日時
2026/05/28 09:34
更新日時
2026/05/28 11:15
MSCの高品質再生樹脂「MC-Re」(右)

ビン自動選別・LiB混入対策にも好関心

廃棄物処理・リサイクル業界の専門展示会「2026NEW環境展・地球温暖化防止展」が5月20〜22日の3日間、東京ビッグサイト(東1〜3・7・8ホール)で開催された。700社超が出展し、延べ9万8116人が来場した。循環型経済の実装が国の政策課題として本格化するなか、容器包装プラスチックの高度再資源化に寄与する製品に注目が集まった。


会場の熱気を際立たせた背景の一つが、資源をめぐる国際情勢の緊迫化だ。中国による輸出規制の強化や中東情勢悪化による原油・ナフサ供給不安が国内製造業の重荷となりつつある今、バージン材への依存度を下げる再生材への関心が急速に高まっている。4月に施行された資源有効利用促進法改正も追い風となり、「品質の担保された再生材をどう確保するか」が会場全体で問われた。

こうしたなか、廃棄プラスチックを「都市油田」と位置付け再資源化技術を訴えたのがMSCだ。(公財)容器包装リサイクル協会ルートに回る家庭由来の容器包装プラスチック約41.5万㌧のうち、汚れや臭い、複合素材などを理由に半数以上の約21.3万㌧が再資源化されずに焼却・埋め立てられるか輸出されている。麦谷貴司代表取締役CEOは「廃棄・輸出されているプラ製品は、国内に眠るナフサ由来の製品そのもの。精製できるビジネスが成立すれば、日本は世界有数のプラスチック資源国になる」と述べた。

同社はこの構想を具体化するため、バージン材と同等の物性を持つ容器包装リサイクル(溶リ)材「MC-Re」を量産できる独自プラントを、産業廃棄物の中間処理事業などを手掛ける富山環境整備で6月本格稼働させる。処理が難しいとされてきたプラスチック製品を、薬剤を使わない独自の洗浄技術などを組み合わせた多段階システムで再資源化を実現した。

麦谷氏は「再生材活用はこれまでバージン材に少しずつ混ぜていくアプローチがとられてきた」と指摘。同社は逆に再生材含有率100%の製品からスタートし、用途に応じて含有率を下げていく。「最初に難しいことをやってしまえば下げるのは簡単」という発想で取り組む。

再生材で問題となる品質についても、「フィルムグレード由来のためMFR(樹脂の流動性を示す指標)は対応できていないが、それ以外は(一社)日本自動車工業会が定める再生樹脂の目標値をすべてクリアしている」と自信をみせる。プラントは一般家庭約8〜9万世帯分に相当する年間約3万㌧を処理できる規模で、27年以降はゴミ袋向けの3層フィルム量産も視野に入れる。

■ビン選別もロボで

容器包装リサイクルを巡り現場課題となっているのがビンの選別工程だ。これまでも缶はマグネット、ペットボトルは風力など選別の機械化が確立されてきた。それに対し、色や形状が多様なビンは認識や把持が難しく手選別が主流だった。深刻化する人手不足が施設運営を圧迫するなか、この領域にも省力化要求が高まっている。

高松機械工業はスキャナ世界シェアトップのPFUと共同開発した資源ごみAI自動判別機AIB-sort」を出展。PFUの実証実験値99.6%の認識精度を誇るビン識別システム「Raptor VISION BOTTLE」と、高松機械が工作機械メーカーとして培った搬送自動化技術を融合させることで、処理精度・能力をともに高い水準に仕上げた。最短サイクルタイムは1.5秒、2アーム構成で最大70ピック/分を実現。会場では今年から展開を始めた4アーム構成機を披露し、処理能力のさらなる向上もアピールした。

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高松機械工業の資源ごみAI自動判別機AIB-sort

処理施設の設備企画・設計から補助金の申請支援まで一括で提案するタイチマシナリーも、AI画像判別による自動ビン選別機を提案した。3アーム構成で最大90ピック/分の処理能力を持ち、ユニットの追加増強も可能だ。天野仙志代表取締役は「処理施設の完全自動化を目指し、今後は構内だけでなく搬入出工程の自動化まで取り組みを広げていきたい」と先を見る。

LiB火災対策に熱視線

近年問題となっているリチウムイオン電池(LiB)起因の火災への対応製品も見られた。廃棄物処理施設でのLiB火災は年間1万件を超え、被害額は1821年度の4年間で100億円規模に上るとされる。また、全焼事故の8割以上がLiBによるものとされる。今回展では検知から消火まで一貫したソリューションの提案が際立った。

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物井工機のベールごとLiB混入を検知できる「Lithium buster Bale

容リ向け処理装置の設計・施工を一手に担う物井工機は、ベール(廃棄物を圧縮・梱包した塊)ごと電池混入を検知できるX線検査装置「Lithium buster Bale」を参考出展した。工程内検査向けの「Lithium buster X」シリーズはすでに約20台の納入実績があるが、破砕機などを扱う後処理施設は火災が起こった場合の被害額も大きくなるため、ベール受け入れ時の予防的な検査ニーズがあるとにらみ提案した。代表取締役社長の物井敬幸氏は「機械単体ではなく、廃棄物処理ラインの流れの中でLiB検査を成立させられるのは、全体を熟知している我々ならでは」と語る。同社ブースでは、消火剤自動投入装置を手がけるセイホーとの共同展示も行われ、検知から自動消火までを一体化した提案は施設担当者の関心を集めた。

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セイホーは物井工機と火災発生時の消火剤、消化システムを提案した

リコーグループのPFUもX線・画像認識技術を応用した危険物検知AIエンジン「Raptor VISION BATTERY」を参考出展。2方向から撮影するデュアルエナジーX線と独自AIエンジンにより、94%という高い検知率を実現。容器包装プラから不燃ごみ、小型家電まで多様な処理ラインに対応する。今回初めて展示したコンパクトモデルは設置幅を従来の約6mから4mに短縮したもので、27年度中の発売を予定している。

資源安全保障が揺らぐ中、廃棄物・リサイクル産業の高度化がますます重要になっている。

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PFU危険物検知AIエンジン「Raptor VISION BATTERY」。学習データのアップデートにより認識精度の維持・向上が可能。



(2026年5月28日MonoQue掲載)