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微細加工機の出荷現場を取材 ~碌々スマートテクノロジー焼津工場、細心の注意を傾けて出荷~

投稿日時
2026/05/19 17:21
更新日時
2026/05/19 17:28
出荷前の微細加工機MEGAと(写真左から)碌々スマートテクノロジー製造部の金原真弘さんと鈴木学さん。こちらは韓国からのオーダーとか。

超高精度加工機を世界に届ける

生産した8割以上の加工機を海外に出荷している碌々スマートテクノロジー。ミクロン台の精度を求められる機械が数千㌔離れた納入先においても、しっかり機械性能を発揮するために輸送にも細心の注意を払っている。同社製造部の金原真弘さんと鈴木学さんに出荷時のこだわりや注意点を聞いた。


――出荷にあたりどのような点に注意されていますか。

機械本体の性能向上だけでなく、「安全かつ確実に顧客へ届ける」ための梱包方法、輸送工程、出荷前確認体制の見直しを続けています。微細加工機は振動や道路状況の影響を受けやすく、わずかな固定不足やズレがトラブルに繋がります。そのため、固定方法や養生工程を細かく検証し、改善を積み重ねています。

過去には輸送時に上部が引っ掛かったり、部材が変形したりするケースがありました。その都度、現場同士で協議し、固定方法や保護材の追加、作業手順をアップデートしています。

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トラックに積載する直前のMEGA。防湿バリアが施されている。機械バランスの良さゆえ、2点吊りでも安定感がある

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トラックの荷台に載せられたMEGA。鈴木さんがブロワーを使い防湿用にラッピングされた梱包材と機械内を半真空状態にしている。

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荷台に積み梱包を終えた機械に毛布を掛けるドライバー。この上からブルーシートをかけて運搬する

 

――海外への輸送ではどのような難しさが。

輸送インフラの違いが大きな課題です。アジアでは道路事情が厳しく、どれだけ梱包を強化してもダメージが発生するケースがありました。トラックを変えても根本解決にならないため、輸送会社や梱包業者と荷締め方法、積載位置、輸送速度などの細かな条件を共有し、安定性向上を図っています。

また出荷後のトレーサビリティ強化として、梱包完了後の状態を画像で記録し、顧客や関係部署へ共有しています。過去に輸送後の傷や破損の問い合わせを受けたこともありますので、証跡管理を重視しています。

――資材調達の現状は。

梱包用フィルム、保護材、切削加工用の油剤などの価格上昇と供給不安がかなり深刻化しています。顧客からは加工用のミスト用油剤や冷却関連資材を分けてほしいと要望されることもありますが、当社も対応できないくらい、調達には苦労をしています。

――出荷量増加への対応は。

繁忙期には13台規模の出荷が発生するため、組立部門との綿密な連携が不可欠です 。生産スケジュールによっては十分な出荷準備期間(通常数日間)が取れないこともあるため、現在は1カ月先までの出荷予定を早めに梱包業者へ共有し、前倒しで準備できる体制を整えています。

また輸送や梱包専門業者との連携を密に行い、お客様のもとに滞りなくお届けできるようにしています。

――微細加工機ならではの出荷準備は。

わずかな錆でも精度に影響するため、外気との温度差による結露対策に細心の注意を払っています。工場内は23℃の恒温環境ですが、出荷前には外気温との急激な温度の変化を避けるために、段階的に気温差を無くしてから梱包します。

梱包は防湿用のバリア材で機械全体を覆い、乾燥剤を適切に封入します。乾燥剤は多ければ良いわけではなく、輸送日数や環境に応じた適量を専門業者と細かく調整しています。

――近年は梱包を外部委託されている。

出荷量増加に伴い約2年前から外部委託を本格化しましたが、丸投げはしていません。梱包業者の工場を訪問して温湿度環境や作業手順を確認し、実機を使った梱包検証も繰り返して作業標準を定めています。また、輸送車両にはエアサスペンション仕様を採用し、工場から港までのわずかな移動でも防湿バリアを施した状態で搬送しています。

現在は現場側で出荷固定用の治具や養生を工夫していますが、今後は設計段階から輸送・梱包を考慮した機械づくりが必要だと感じています 。機械のコンパクト化が進む一方で、輸送時の固定ポイントや梱包性が十分に考慮されていない部分もあるため、今後は現場から設計部門へ積極的に発信していきたいと考えています。

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梱包された「MEGA」は、焼津から名古屋港の出荷拠点へと運ばれる。ドライバーは「法定速度より若干ゆっくりのスピードでの運送を心掛けている」という。

 

(日本物流新聞2026年5月15日号掲載)