髙丸工業、遠隔溶接ロボットを親子二代バトンで完成
- 投稿日時
- 2025/04/15 09:08
- 更新日時
- 2025/04/15 09:12

髙丸工業の遠隔操作溶接ロボットシステム「WELDEMOTO」の第一号が鉄道車両部品製造のKPファクトリーに納入された。髙丸正社長と髙丸泰幸専務の親子二代にわたって引き継がれた開発が実用段階に入った。「様々な事情で家から出られない人でも、遠隔システムを使えばモノづくりに参加できる」(泰幸専務)とする。
25年前、正社長がマスタースレーブ制御に着想を得て、ロボットを省人化・省力化の装置ではなく、人の技術や技能を補う道具として使うコンセプトの、遠隔操作ロボットの開発を目指した。その後、ティーチペンダントを使わず矢印を引っ張るシミュレーションソフトの登場をきっかけに10年前、補助金を活用して初期の開発を行ったが限定的な成功に留まった。
銀行を辞め、同社に泰幸専務が入社し開発を引き継ぐ。「自分たちが中小企業であり、取り組み先も中小企業だ。技術開発を目的化して複雑化せず、中小企業の使い勝手にフォーカス出来た」(泰幸専務)からブレークスルーがあったという。例えば、カメラの映像を多視点画像合成してシミュレーターに取り込もうとしていた。しかし処理が非常に重く精度も悪い。それなら実画像にシミュレーターを合わせよう、と割り切ったことで開発が大きく進んだ。
今回、安川電機、ダイヘンに加えファナックにも対応。「ロボット側の機能を活用していた部分を、当社のインターフェイス側で出来るように進化した。一度作った教示プログラムを簡単に再利用出来たり、プログラムの実行にボタンを割り当てるなど使い勝手が向上した。位置記憶ボタンも実装予定だ」(泰幸専務)。ロボット遠隔操作システムをプラットフォームとし、様々なアプリや機能が各社で開発される未来まで見据えている。
(日本物流新聞2025年4月10日号掲載)