髙丸工業、国内初の遠隔溶接ロボ導入
- 投稿日時
- 2026/09/04 09:00
- 更新日時
- 2026/09/04 09:00
職人技をデータ化、属人化回避と内製強化へ
髙丸工業(兵庫県西宮市)が開発したPC遠隔操作溶接ロボットシステム「WELDEMOTO(ウェルデモート)」が、精密加工を手掛ける宝角合金製作所(兵庫県姫路市・寳角勝利代表)に国内で初めて導入され、7月中旬に本格稼働を開始した。外注に依存していた溶接工程を内製化し、リードタイムの短縮と品質安定化に加え、若手人材の獲得にも大きな成果を上げている。
1929年創業の老舗企業の宝角合金製作所は、溶接技能者の退職に伴い同工程を外注に切り替えていた。しかし、外注によるリードタイムの長期化や品質のばらつき、働き方改革への対応が経営上のボトルネックとなっていた。寳角代表は「本格的な内製化へ舵を切り、一貫体制を再構築するために導入を決断した」と経緯を語る。
WELDEMOTOは、通信環境と一般的なPCがあれば遠隔地からでも産業用ロボットを容易に操作できるのが特徴。操作画面にはロボットの3Dモデルと現場のモニタリング映像が表示される。「CGシミュレーションが先行動作するため予期せぬ動作を防げ、安全性が高い。溶接箇所をマウスで指定するだけで動作経路が自動生成される」(髙丸工業の髙丸泰幸専務)仕組みだ。
導入後、実感しているメリットを尋ねると「1ワークあたり約20分の溶接中に、作業者は機械加工の段取りや次ワークのセッティングなど別作業を並行で実施できる。作業者が現場に張り付く必要がなく、限られた人員で生産性を高められる」と寳角代表は話す。また、電流や速度といった溶接条件を数値データ化して蓄積することで、未経験者でもプロと同等の品質を再現できる技術継承体制を確立できた。「溶接未経験のオペレーターがわずか3日で教えていないワークまで溶接できるようになった」(髙丸専務)と、現場に即効性をもたらした。
また、ロボットの導入は採用活動にも好影響を与えたという。「従来の求人は応募がゼロだったが『溶接ロボットオペレーター』と表現を変えたところ、溶接は未経験だが工作機械経験をもつ応募者が複数集まり採用につながった」(宝角合金製作所・寳角拓哉取締役)。人手不足に悩む中小製造業におけるDX・省人化の成功モデルとして注目を集めそうだ。
(日本物流新聞2026年8月25日号掲載)