竹中工務店本社でサステナブル建材展
- 投稿日時
- 2026/05/25 09:20
- 更新日時
- 2026/05/25 09:23
ゼネコン3社が資源循環の最前線語る
建設業界でサーキュラーエコノミー(CE)への取り組みが本格化している。その最前線が4月16・17の両日、竹中工務店東京本店で開かれた「Material Caravan Tokyo~サーキュラー・低炭素建材の普及に本気で取り組む:CLCSプロジェクト~」(主催:Material Bank)で公開された。
同イベントは竹中工務店と建材サンプルの検索・取り寄せプラットフォーム「Material Bank Japan」を運営するDesignFuture Japanが共同で取り組む「サーキュラー・低炭素建材利活用システム(CLCS)」に関する初の公開イベント。サステナブル建材を扱うメーカー43社による展示と、大手ゼネコンなど13社が参加するトークセッションが行われ、建築士ら約600人が来場した。
2日目のセミナー「サーキュラーは建材と建築をどう変えるのか」では、竹中工務店の海野玄陽氏をモデレーターに、清水建設の矢野慧一氏、大成建設の古市理氏の3人が登壇。資源循環とカーボンニュートラルをめぐる議論が交わされた。
セッション冒頭、清水建設の矢野氏は建設業が全産業の資源利用料(総物資投入量)の約4割を占めている事実を提示。「資源自給率の低い建設業がCEを諦めると日本全体の約半数がどうしようもない状態になる」と、建設業がCEに取り組む重要性について強調した。その上で、国際的に進む建設業向けのサーキュラリティ評価指標の整備においても、「サーキュラーデザインをどう数値化するか、指標を作った人たちも答えが出ていない」と現状を共有した。
指標化の難しさが浮き彫りになる中、大成建設の古市氏は「サーキュラーは要素が多く複雑すぎる」と指摘。「まずはCO2削減を切り口に資源循環を語る方が、社会やクライアントに共有しやすい」と提案した。これに対し、竹中工務店の海野氏は「普及のしやすさという意味ではCO2と合わせることに賛成」としつつも、過去に建物の解体をCO2換算して評価した際、建物への「愛着」や長く使いたいといった価値が抜け落ちてしまうという批判を受けたと明かした。
■「入口」に課題あり
指標化が進んでいった先に、業界全体が直面する課題にも議論が上った。それが建材の「インフロー(投入)」と「アウトフロー(排出)」におけるアンバランスさだ。清水建設の矢野氏が、実際の建築物のデータからサーキュラリティを算定した結果、アウトフローの再資源化率が9割を超えるのに対し、インフローの再生材利用率は2割未満にとどまる。
この背景には、建物重量の大部分を占めるコンクリートの存在がある。現状でもコンクリートの多くは解体後に再資源化(アウトフロー)されているが、それは路盤材など「ダウンサイクル」が主であり、再び建築用コンクリートとして入口(インフロー)に戻ってきていない。矢野氏は「インフロー側に伸び代がある。ここを高めていくことが、建設業がサーキュラーに近づく鍵になる」と分析した。
また、建材の投入量による指標は、重量の重いコンクリートや鉄鋼へ関心が向きやすく、内装や設備の取り組みがないがしろにされがちになるという課題もある。この点に関しても、矢野氏は建設時でなく建築物のライフサイクル全体で見ることの重要性を説く。
「建物を60年間運用する中で、15年に一度改修工事を行う場合、更新頻度の高い内装や設備が排出するCO2の累計は、構造と外装の累計を超えてしまう。構造や外装だけでなく、内装や設備も含めて一体で低炭素化を進めていく必要がある」
モデレーターを務めた海野氏はこうした議論を受けて、建材メーカーとゼネコンの共創を改めて強調した。インフローを担うメーカーとアウトフローを担う施工者の間には構造的な情報断絶があるが、「CLCSのようなプラットフォームを通じて環境性能データが共有されることで、メーカーの製造知見とゼネコンの設計・施工ノウハウが融合し、新たな循環モデルが生まれることに期待する」とまとめた。

各セミナー満席で関心の高さがうかがえた
(2026年5月25日MonoQue掲載)