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シニアの労災防止、4月から努力義務

投稿日時
2026/04/22 09:55
更新日時
2026/04/22 19:39
転倒防止や負荷軽減、対策急げ

働く高齢者の労災防止を目的とした作業環境の整備を、努力義務として事業者に課す改正労働安全衛生法が4月に施行された。シニアの就労人口と労災件数には密接な関係がある。法改正を機に現場の対策強化が急がれる。

この4月1日に施行された改正労働安全衛生法で、高年齢労働者の労災防止対策が事業者の努力義務になった。企業は今後、危険源の洗い出しなどリスクアセスメントを行ったうえで、危険箇所の対策や負荷を軽減するための装備などを検討しなければならない。

厚生労働省によれば、2024年の労働災害による休業4日以上の死傷者数は13万5718人と4年連続で増加。うち60歳以上の高齢者が30・0%を占め、60歳以上の労働災害発生率を30代と比較すると、男性は約2倍、 女性は約5倍にもなる。厚労省は20年にエイジフレンドリーガイドラインを策定。エイジフレンドリー補助金を用意して対策を促してきたが、依然として高齢者の被災率は高止まりしている。

今回の努力義務化の背景には、ガイドラインの実効性を高める狙いがある。厚労省が示した指針では、事業者の経営トップが高年齢労働者の労災防止対策を盛り込んだ安全衛生方針を表明し、組織や担当者を定めて実施体制を明らかにしなければならない。そのうえで労災やヒヤリハット事例から危険源を洗い出し、必要なリスク軽減措置を行ったり、職場環境の改善に取り組む必要がある。

■暑さ対策や負荷軽減を

具体的にどのような施策が必要か。厚労省の指針では、視力や筋力の低下を補う「通路の照度確保」や「段差の解消」、転倒を防ぐ「防滑素材の採用」を挙げる。滑りの原因となる水分・油分を放置せずこまめに清掃することも求められる。特に製造現場で警戒すべきは熱中症で、高齢者は暑さや水分不足に対する感覚機能が低下していることから、「涼しい休憩場所の整備」や「ウェアラブルデバイス等のIoT機器の利用」を呼びかける。

加えて重量物を扱う現場では「補助機器等の導入による人力取扱重量の抑制」や「身体機能を補助する機器(アシストスーツ等)の導入」等が求められている。不自然な作業姿勢を解消するための「作業台の高さ改善」も掲げられており、昇降机が効果的だろう。

人手不足に直面する製造業において、シニア就労者の存在は職場の維持にますます不可欠となるだろう。企業もこの課題と正面から向き合い、自社に即した投資に踏み切る必要がある。



(日本物流新聞2026年4月25日号掲載)