関西エクステリアフェア、職人不足に新工法続々
- 投稿日時
- 2026/07/03 09:00
- 更新日時
- 2026/07/03 09:00
施工現場の深刻な人手不足に対応する足元の技術として、太陽エコブロックスはインターロッキング舗装の常識を覆す路盤ブロック「クラスター100 6060」を参考出展した。通常のインターロッキング施工では、路床の上に路盤材(砕石やコンクリートなど)を敷き均して下地を作る工程が不可欠だ。しかし近年、生コンクリートの価格高騰に加え、職人の高齢化による深刻な人手不足が現場の大きな課題となっている。同社が提案するクラスター100 6060は、この路盤工事のあり方そのものを転換する。600㍉角の大型ブロックを路盤材として用い、専用の吊り治具を取り付けたバックホーなどの重機で敷設していく仕組みだ。従来の人力作業や生コン打設を重機による「機械化施工」へ置き換えることで、大幅な省力化と工期短縮を実現する。
さらに機能面での付加価値も高いと担当者は話す。透水・保水性が向上するためヒートアイランド現象の抑制に寄与するほか、安定した基盤により舗装全体の長寿命化も期待できるという。「高齢化が進み、現場を担う職人が減少する中、機械化による施工体制の構築は急務。今回の展示で様々な意見をヒアリングし、早期の実用化・商品化を目指していく」と語り、業界の構造的課題の解決に意欲を見せた。
同じく職人不足を見据え、現場の施工負荷を大幅に軽減するアプローチとして、大林(岐阜県)は名古屋大学大学院と共同開発したブロック塀の基礎新工法「FITベース工法」を展示し、現場の施工業者から高い関心を集めた。近年、プライバシー確保や防犯意識の高まりを受け、隣地境界などの狭小地におけるブロック塀の施工ニーズが増加している。しかし狭小地は重機が進入できず、従来の大規模な掘削を伴う基礎工事は職人の大きな負担となっていた。
同工法は、杭基礎の発想を従来の「深く掘る」から「横に地盤を掴む」へと転換した点が最大の特徴だ。通常のL型基礎の下部に垂直基礎を設け、鉄筋の代わりとなる専用アンカーとプロペラ状の「ウイングプレート」を挿入して一体化させる。この独自構造により、基礎スラブの出幅をわずか40㌢まで縮小することに成功した。スラブ幅の縮小により掘削量と残土が大幅に削減されるため、重機が入らない過酷な環境でも人力での施工が容易になる。すでに実際の現場での導入も進んでおり、職人の負担軽減と狭小地での提案力を同時に引き上げるソリューションとして注目されている。
さらに、現場の機動性とワンマンオペレーションを両立させるユニークな工夫として、田辺鈑金(撥水道場)は軽トラック用長尺物積載フレーム「うま次郎」を披露した。カーポートの柱などの搬入では、フロントの鳥居からリアアオリへ斜めに架ける「鳥居掛け」が一般的だが、キャビン上方への突き出しによる高さ制限リスクや、積載・固定時に複数人を要する点が課題だった。同製品は、荷台後方に門型フレームを設置して前後の高さを均一にし、長尺物の「水平積載」を実現。安全なワンマンオペレーションを可能にした。最大の特徴は、容易に外せる「脱着式」である点だ。道路事情が狭小な京都では、必要な時だけ装着する脱着式キャリアが地元の鍛冶屋等によるオーダー品として根付いていた。同社はこの地域ノウハウを標準化・製品化。「固定式が主流の大阪や滋賀、さらには全国へ、狭小地での機動性と積載性を両立する利便性を広げたい」と意気込む。
■ カーボンニュートラルに勝機
こうした施工性の改善と並び、今大会の大きな潮流となったのが環境性能やカーボンニュートラルへの対応だ。久保田セメント工業は、「地産地消めぐるコンクリート」をコンセプトに掲げ、再生コンクリートを活用したカーボンニュートラルへの取り組みを披露した。兵庫県に拠点を置く同社は、神戸市などの建設廃材を再生骨材としてアップサイクルした再生コンクリートの製造を推進。さらに、製造時のCO2排出要因となるセメントの配合量を約6割削減する低炭素化技術にも取り組む。行政とも深く連携し、「兵庫県の建設廃材を使い、兵庫県内で施工する」という地域完結型の資源循環・地産地消モデルの構築に注力している点が大きな特徴だ。
また、この再生コンクリートの開発・実装プロセスにおいて、副次的に新たな機能性が発現。それが都市部のヒートアイランド現象を抑制する暑熱対策舗装を可能にする「導水蒸発性インターロッキング」の技術開発への発展だ。同社担当者は「コンクリート内部での水の循環メカニズムや再現性については、さらなる検証が必要」としながらも、「環境配慮と都市環境の改善という二つの付加価値をリンクさせた、次世代の機能性建材として開発に挑みたい」と展望を語り、サステナブルな製品開発への強い意欲を示した。
資源循環の取り組みは、大手アルミ建材メーカーでも独自の進化を遂げている。三協アルミは、東海道新幹線の廃車車両から回収したアルミ材を再生利用した大型フェンス「フレラインフォルテS5型」を披露し、注目を集めた。同社はアルミ地金からビレット(鋳塊)を鋳造する自社工場を保有しており、廃棄車両から取り出されたアルミのスクラップ(シュレッダーくず)を溶解し、建材へと生まれ変わらせるまでの一貫生産体制を確立している。このリサイクルアルミは「ReALumi T」のブランド名で展開され、再生アルミ比率50%(製造時のCO2排出量を約4割削減)と100%(同約8割削減)の2ラインをラインナップする。これまでは高層ビル用サッシなどビル建材への活用が中心だったが、今回はその技術を初めてエクステリア商材である大型フェンスに適用。再生アルミ50%モデルとして具現化した。

三協アルミ 新幹線の廃車車両から再生利用した大型フェンス
非再生材に比べて価格は約2割割高になるが、同社担当者は「『自宅に新幹線由来の部材を所有できる』という唯一無二のストーリー性は鉄道ファンのエンドユーザーへの強い訴求力になる。また、企業の低炭素ニーズとも合致しており、付加価値製品として十分に市場競争力を持つ」と分析。環境対応と情緒的価値を両立させた、新たなエクステリア提案の可能性を示した。
従来であればリサイクルが極めて困難だった異種複合素材の再生に挑むのがLIXILだ。同社は、資源循環型の環境メイン建材「revia」を用いた既存の戸建て用デッキ材とともに、来春の発売を目指し開発を進めている非住宅向け(公共施設用)デッキ材を参考出展した。reviaは、ポテトチップスの袋など、裏面にアルミが蒸着されたフィルム等の複合プラスチックを原材料に活用した素材だ。これらは不純物が混入するため、回収されても約75%が再生されず焼却や埋め立て処分されていたが、同社は高精度な粉砕・複合技術によりリサイクル工程を確立。廃プラスチックと木粉を融合させて高密度なペレットに再生し、デッキ材へと製品化した。表面に微かに煌めく粒はポテトチップス袋のアルミ箔そのものであり、環境貢献の「証」という固有の意匠性も備える。

LIXIL ポテトチップスの袋からデッキ材を再生
現行の戸建て用はコスト面から価格が高く、普及に一定のハードルがあった。そこで同社は、環境配慮への投資ニーズが強い公共施設などの非住宅市場へターゲットを定め、来春の上市に向けて開発を加速させている。同社担当者は「非住宅用途に耐えうる強度を確保するためには、構造上もう一層(被覆など)を設ける必要がある。しかし、そうするとreviaの特徴である銀の粒粒が消えてしまい、環境ストーリー性や意匠性が損なわれてしまう。強度担保と環境価値の視認性をいかに両立させるかが、現在の重要な開発課題だ」と明かした。
こうした個別のリサイクル技術に留まらず、多角的な環境負荷低減施策をブランド化する動きもある。四国化成グループは、持続可能な社会の実現へ向けた様々な環境負荷低減施策を展開する、新しい環境配慮型パーパスブランド「メグリオ(MEGLIO)」を立ち上げた。会場ではその具体的な取り組みの一環として、炭素貯蓄機能を持つ国産木材の積極的な活用方針と技術を披露した。同ブランドにおける木材活用の第一歩として、意匠性と調湿性に優れた宮崎県産の「飫肥(おび)杉」を想定。木材建材の課題である耐久性を担保するため、深部まで薬剤を確実に浸透させる「AZN乾式注入処理」を施し、高い防腐・防蟻性を確保した。同社が目指すのは特定樹種の普及に留まらず、全国各エリアでの「地産地消モデル」の構築だ。施工現場に近い国産材を使用することで輸送時のCO2排出量を抑制し、地域林業の振興を図る。その際、産地や木材の種類が変わっても独自の「処理の標準化」を徹底することで、建材として不可欠な高レベルでの品質の均質化を実現した。同社担当者は「木材や産地が変わっても品質を均一に保つ技術を確立することで、エクステリアにおける国産材活用のハードルを下げ、資源循環の輪を広げていきたい」とし、多角的な環境施策への第一歩に手応えを示した。
環境対応や施工性向上といった構造的課題へのアプローチが加速する一方で、現代の住宅トレンドに調和するデザイン面の提案も活発に行われた。YKK APは、6月にラインナップに加えたばかりのカーポート「プレーンルーフ」の後方支持タイプを披露した。同製品は、柱2本で車1台を駐車する基本仕様から、2台用、3台用へとシームレスに拡張できる設計が特徴。デザイン面では、天井パネルの内側を魅せるコンセプトに基づき、前面に向けて勾配が上がる独自の設計を採用している。この意匠性の背景には、近年の住宅トレンドがある。高気密・高断熱化の進展に伴い窓が小型化し、外壁面積の広い「四角いフォルム」の住宅が増加傾向にある。同社担当者は「シンプルゆえに個性を出しにくいと感じる施主も多い。意匠性の高いカーポートを組み合わせることで、住宅全体にアクセント(差し色)を与えるイメージの提案ができる」と狙いを語る。今後は一般の戸建て住宅だけでなく、集合住宅や非住宅分野への展開も目指していくという。
デザインによる新たな価値創造という点では、ヨドコウの提案も異彩を放っていた。同社は「物置をデコる」をコンセプトに、同社の公式キャラクター「YODOKO FAMILY」をあしらい、意匠性を高めた物置を参考出展した。従来の物置は裏庭などの目立たない場所に配置されるのが一般的だった。しかし近年、アウトドアをはじめとする趣味の拠点や「見せる収納」として、建物の前面(前庭)に設置して活用するユーザーニーズが顕在化しつつある。こうしたライフスタイルの変化を受け、同社は物置を単なる収納庫から空間を演出するアイテムへと昇華させる「映え」の文化を提案した。
(日本物流新聞2026年6月25日号掲載)