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ナイターゴルフが新たなトレンドに

投稿日時
2026/08/07 10:57
更新日時
2026/08/07 11:14

照明、発電技術の進化が後押し

酷暑対策や多様なプレースタイルを背景に、「ナイターゴルフ」が国内で再トレンド化している。かつては維持コストの高さから衰退したが、高い省エネ性と視認性に優れた照明設備や高効率の発電機の登場が、導入ハードルを下げ運営コスト抑制を実現している。その動向を探った。


アジアの熱帯地域や中東の砂漠地帯など、酷暑を避けるため普及していったナイターゴルフ。ドバイでは、巨大なスタジアム級の照明設備を完備したコースが誕生、世界初の昼夜開催によるプロツアートーナメントも実施されている。また、近年ゴルフブームに沸く韓国では、全ゴルフ場の約45%(200コース以上)がナイター営業を行うなど、出色の普及率を見せている。

日本で本格的なナイター営業が始まったのは1983年。岐阜県の中部国際GCが全18ホールに照明設備を導入し、日本国内のみならず世界初となる全ホール完全ナイターに踏み切った(現在は通常営業のみ)。以降、バブル期による需要の高まりからパブリックコースを中心にナイター設備導入が相次いだが、その後の需要低下や維持コストの面から多くの施設が営業を終了した。

転機となったのはコロナ禍明けの2022年。猛暑対策や多様化するプレースタイルに応じ、PGM(パシフィックゴルフマネージメント)がナイター営業「ナイトゴルフ」の導入、拡大を進めた。2025年に大手運営会社アコーディアゴルフがPGMと同じ平和グループ傘下に入ったことで連携が強化され、2026年6月時点で両社合わせて全国21カ所のゴルフ場でナイター営業を行っている。

現在、国内では首都圏、関西圏を中心に約30カ所のゴルフ場がナイター営業を実施。ショートコースを含めるとその数は約100カ所にも上る。それを支えるのが、LED照明技術の進化だ。従来のメタルハライドランプに比べ、日中と同等の圧倒的な視認性と芝の鮮やかさを確保し、周辺住民への光害対策も兼ね備えた製品も登場している。

特筆すべきはその省エネ性能だ。従来型からLED照明に置換したコースでは電気代が6~7割減ったというケースもある。またLED照明自体が従来型の約4~5倍長持ちするため、交換維持費も含めたランニングコストにも優れる。

■発電機へのニーズ高まる

夜間照明設備を設置するにあたり、問題となるのが電源の確保だ。電力会社から高圧・特別高圧の電力を引き込む場合、コースの最寄りから高圧線を数十本単位で延伸し、敷地内に専用の受電設備を新設・増設する必要がある。このインフラ引き込み工事だけで数千万円から、立地によっては億を超える追加費用が発生する。

こうした背景から、導入が進んでいるのが省エネタイプの発電機だ。最新の省エネ機は、電子制御によって消費電力に完全に同期する。例えば、「日没直後の時間帯は15%の間引き点灯」をする場合や、深夜に「最終組が通過したホールから順次消灯」していく際、電力量の減少を検知してエンジン回転数を自動で最小限に落とす。これにより、従来の定速稼働機に比べ2~3割の燃料カットにつながる。

また18ホール全面を1台の超大型発電機で賄うのではなく、中型の省エネ発電機を3~4台並列で繋ぐ運用も進んでいる。この場合、常に各発電機が最も効率の良い状態で仕事をするため、総燃料消費量を大幅に圧縮可能だ。

これら省エネ型発電機や並列運用のスマート化を組み合わせることで、初期費用を抑えつつ、ランニングコストも系統電源に近い水準まで引き下げることが可能になる。




プレイヤーに聞く

「ベテランにもビギナーにもお勧め」

グリーソンアジア 営業・マーケティング本部長 蟹江 俊靖 氏


歯車加工機メーカー・グリーソンアジアで営業・マーケティング本部長を務める蟹江俊靖氏は、安定して80台をマークする実力派ゴルファー。月3~4回のペースでコースに足を運んでおり、暑さが気になるシーズンはたびたびナイターも利用しているという。

よく訪れるのというのは亀山ゴルフクラブとウッドフレンズ名古屋港ゴルフ倶楽部。いずれもアクセスが良く「仕事帰りに行ける」という。

そんな蟹江氏はナイターのメリットを、「とにかく暑さを気にせず、涼しい環境でプレーできる。予約も比較的取りやすく、料金も割安。2サム保証もあり気軽に楽しめるのがいい」と語る。

一方でデメリットとして「少し深いラフに入れてしまったら、ボールが見つからない」としつつ、「逆にフェアウェイをしっかりとキープすることを念頭に置きつつ、ショットマネジメントをするようになるので、結果的にスコアがまとまってくる」とする。

まったくのビギナーには「あまりお勧めできないが、遊び感覚やデートもアリ」とし、ある程度経験のあるプレイヤーなら「練習場に行くくらいなら、さほど変わらない値段でプレーできるので、ぜひチャレンジして欲しい」という。






PGMが照らす夏の新定番

涼風とともに、夜のフェアウェイへ広がる「ナイトゴルフ」


西の空が茜色に染まる薄暮のひととき。コースにはヒグラシの声が響き、夕日を浴びた木々の影がフェアウェイにゼブラ模様を描き出す。ターンを迎える頃にはすっかり陽も落ち、ライトアップされた芝生が幻想的に浮かび上がる。高台に立てば心地よい夜風が日中の火照りを忘れさせ、眼下には煌びやかな街の夜景が広がる。これが、今注目を集める「ナイトゴルフ」の光景だ。

「日中とは全く異なるあの情景が私はすごく好きで、一度は体感していただきたい」。いち早くナイトゴルフに目を付け普及に尽力してきたパシフィックゴルフマネージメント(PGM) 運営本部 副本部長の島守和美氏はそう語る。星空の下、非日常のエンターテインメントとして進化する夜のゴルフの魅力に迫る。

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PGMが運営する「福岡レイクサイドカントリークラブ」のナイター営業の様子

同社のナイター営業の歴史は古い。千葉県のムーンレイクゴルフクラブ市原コース(旧セントレジャーゴルフクラブ市原)では、2012年にPGM傘下に入る以前からナイター営業が行われていた。「夏場は営業時間が最も長いものの、春や秋のベストシーズンに比べると、どうしても暑さで客足が鈍ってしまう」。当初は、そんな夏場のてこ入れとして、新たなプレースタイルを提案していた。

しかし、2020年を境に状況は一変する。「コロナ禍をきっかけに、新しいお客様が急に増えました」。そこに、毎年のように続く過酷な猛暑も重なり、「少しでも涼しい時間帯に」というゴルファーの切実な声が急増。PGMはこのニーズの変化を的確に捉え、ナイトゴルフのコースを一気に拡大していった。

展開のペースは速い。今年6月にも「東名厚木カントリー倶楽部」(神奈川県)と「岡部チサンカントリークラブ美里コース」(埼玉県)を加え、PGMのナイター営業コースは全国で14に達する。埼玉での展開は初であり、首都圏の空白地を1つ埋めた格好だ。

「人が集まる首都圏近郊のコースから整備を進めているが、ニーズはおそらく全国である。関東でさえ手つかずの地域もあり、可能性は大きい」

確かなニーズは数字にも表れている。ナイトゴルフの来場者数は、1コースあたり年間およそ2~3万人。アーリーバード(早朝)からトワイライト(薄暮)まで、幅広い時間をカバーするレギュラータイムが5~6万人であることを考えると、その数字は決して小さくない。しかも夜間営業は、実質的に夏を中心とした数カ月に集中する。限られた季節の、日が落ちてからの時間帯だけで、これだけの人を呼んでいる。

■賑わいを照らし、守る光

夜のコースは、とにかく賑やかだ。「若い方々のコンペは、それはもう賑やかですよ」と島守氏は笑う。スコアと静かに向き合う日中とは打って変わり、夜は仲間内の和やかな雰囲気でボールを追う。光るボールが宙を舞い、高台まで登れば街の夜景にスマホを向ける手が止まらない。

「木々を赤く照らしたり、芝生にPGMのロゴを浮かび上がらせたり、照明を使った夜ならではの演出で、日中とは違った華やかな雰囲気を後押ししています」

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PGMのロゴを浮かび上がらせる演出も

そうしたナイトゴルフならではの雰囲気づくりを同社は多くの協力会社と作ってきた。特にナイター照明は、ポールを立てて器具を据えれば済むものではない。狙った位置に光を届けつつ、日中の景観を損なわない角度や立て方を、一本ずつ詰めていく。実際に立ててみて光の当たりが悪ければ、立て直すことも珍しくない。

「夏の開業に向けて、冬の数カ月で施工する必要がある。タイトな工期の中で、段取りや勘所がわかっている協力会社さんだと工事を進めやすい。岩崎電気さんは照明設計の自由度も高く、こちらが狙った演出を思い通り形にできる。だから、毎回お願いしている」

一方で、照明が担うのは華やかさだけではない。照明がなければ、ゴルフ場は前も後ろも分からないほどの暗闇に沈む。一つの暗がりが、大きな事故につながりかねない。だからこそ光は、演出以上に安全のために配される。プレーの動線を照らし、カート道路のカーブや階段まわり、分岐点の矢印まで、不安な影を残さない。

「一つでも事故が起きれば、ナイトゴルフ=危険という認識が広がる可能性がある。お客様をはじめ、業界全体に迷惑をかけることになる。なので、開業後も不足があれば対策を足すなど、万全の体制を整えるように心がけている」

今年も厳しい暑さが続いている。コースは、安全にも演出にも妥協のない備えで客を待っている。あとは、日が落ちてからの一歩を踏み出すだけだ。「酷暑を避けて『夜だけゴルファー』になる。そんな新しいスタイルから始めてみるのも面白いかもしれません」。島守氏は、そう笑って誘う。




■導入設備

岩崎電気 LED投光器LEDioc FLOOD AVANT (レディオック フラッド アヴァン)400クラス


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PGMの夜のコースを支えるのが、LED投光器「レディオック フラッド アヴァン 400クラス」だ。高演色設計により芝を鮮やかに照らし出し、ティーショットからパットまで、狙いどころがくっきりと見える。「水銀灯と比べて、明るさは倍、消費電力は半分ほど」と島守氏が語る通り、消費電力約400Wながら、メタルハライドランプ1000W相当の明るさを放ち、従来の1.5kW器具と比べれば消費電力を76.1%削減する。






ゴルフ場が挑む「夏の酷暑対策」

移動中の『カート』でクールダウン


地球規模の温暖化により、日本の夏は高温多湿化と長期化が年々深刻さを増している。屋外スポーツであるゴルフにおいて、プレー中の暑さ対策は今や存続に関わる必須課題だ。こうした中、大手ゴルフ場運営会社のパシフィックゴルフマネージメント(PGM)が発表した冷暖房完備の新型『AirCon Cart(エアコンカート)』の今夏導入。その進化の礎となった前代モデルの運用実態と、今回の開発に踏み切った背景について、同社およびグループ関係者に聞いた。




■「一度使うと手放せない」 現場で大ヒットした送風機付きカート

PGMではこれまでも、夏場の氷の無料提供や、猛暑の時間帯を避けた「早朝・ナイター」のプレー枠拡充など、ハード・ソフト両面から暑さ対策を講じてきた。なかでも移動中の暑熱対策として2022年から順次導入を進めてきたのが、オリジナル大風量送風機を搭載した「Cool Cart(クールカート)」だ。現在では歩きコースなどを除くPGM 148カ所、同じ平和グループのアコーディア・ゴルフ全172カ所への導入を完了している。

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大好評の「クールカート」

関係者への取材によると、このCool Cartの現場での反響は凄まじいという。「特に7月、8月は非常に高い稼働率を誇り、日によってはキャンセル待ちが発生するゴルフ場もあるほど」と担当者は明かす。

人気の理由は、徹底されたユーザー目線の機能性にある。前後座席の上部に計4台設置された送風機は、着席時に上半身へ直接風が吹き付けられるよう配置。乗車すると自動で稼働する「人感センサー」を備えるほか、天候や個人の体感に合わせて風向きや風量を自由に微調整できる。

実際に利用したゴルファーからは「想像以上に涼しい」「一度使うと手放せない」といった声が相次ぎ、ナイトゴルフでも活用されるなど、夏のラウンドの必需品として定着した。

■送風から「密閉冷暖房」へ――飽くなき快適性と安全へのこだわり

この大ヒットした送風機付きカートの成功をベースに、「さらなる快適なプレー環境をご提供するため」として2026年7月から満を持して投入されるのが、『AirCon Cart(エアコンカート)』だ。

前代モデルが「風を当てる」仕様だったのに対し、今回の新型はゴルフカートの常識を覆す「脱着式ドア」による完全密閉空間を実現。平和グループ内でパチスロ機開発を担うオリンピアが開発したよる強力なエアコン機器を搭載し、天井と背面から車内全体を包み込むように冷気(冬は暖気)を届ける仕組みへと進化した。風量3段階調整や温度の無段階調整、スマートフォン用のUSB充電ポートも備え、快適性は送風機時代から劇的なジャンプアップを遂げている。

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快適性を向上させた「エアコンカート」

『AirCon Cart』は事前予約制で、利用には通常のカートフィに加えて1人あたり税込2,000円(1台2名利用で4,000円)のアップグレード料金が必要となる(ハーフラウンドは1人1,000円)。

すでに埼玉の「KOSHIGAYA GOLF CLUB」など一部コースで稼働が始まっており、今後は8月に北海道の「桂ゴルフ倶楽部」、9月に宮城の「利府ゴルフ倶楽部」など、全国の主要コースへ順次導入準備が進められている。

全国規模でカートのアップグレードを断行する姿勢からは、ゴルファーの熱中症リスクを低減させ、安全にスポーツを楽しんでもらいたいという平和グループの強い意思が伺える。






イデアジャパン  代表取締役  土場 信慶 さん

『一打に向き合えるメリットも?

闇夜に打ち上がる花火(LEDボール)


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イデアジャパンのLED内蔵ボール。ショットのたびに10分間発光し、内蔵タイマーで消灯する。トータル発光時間は約40時間。BLUEやGREENなど5色をそろえる。写真はRAINBOW FLASH 

灼熱の夏のゴルフ場のイメージとはうって変わって静寂の夜のフェアウェイ。日没後のコースを楽しむ「ナイトゴルフ」の醍醐味は、この真夏の季節にジリジリと照り付ける日差しを凌ぎながらラウンドできることだが、それだけではない。プレーヤーのテンションを上げる雰囲気やグッズも一役買っている。ゴルフ用品開発ひと筋で、その道のプロであるイデアジャパン 代表の土場信慶さんもナイトゴルフの魅力をこう語る。

「昼のラウンドと比べて、ライやボールが見にくいなどのデメリットもありますが、全体の暗さの中でボールだけに集中しやすく、初級者ほどスコアが良くなるなんて話もあります。昼のラウンドとは雰囲気がガラッと変わりますし、新しいスポーツを体験するような楽しさがナイトゴルフにはあります」

こうした高揚感に誘われて、土場さんの周りでも「去年あたりから、普段はスコアを追い求めている競技志向の高い方からも『ナイトゴルフやるけど行く?』と誘われることが出てきた」という。

これまでナイトゴルフと言えば、コロナ禍を機にゴルフを始めた若年層や日焼けを気にする女性など、比較的ゴルフ歴が浅く、日中のプレーに気後れしがちな人たちが多かった。が、ここに来て、歴の長いゴルファーたちの間でも、ナイトゴルフへの関心が高まってきている。「基本スルーで回るので、仕事終わりにさっと楽しみたい人にも人気となってきています」

■打てば光る夜空の花火

そうした夜のプレーに華を添えるのが、イデアジャパンのLED内蔵ボール「LUKIA LED Night Golf Balls」だ。LEDとセンサーが内蔵されており、ショットの衝撃を感知するとLEDが10分間点灯する。「夜空に打ちあがる様子は花火みたい」で、打った瞬間、誰もが思わず声を上げ、笑顔になるほどの爽快感だという。

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イデアジャパンのLED内蔵ボール。ショットのたびに10分間発光し、内蔵タイマーで消灯する。トータル発光時間は約40時間。BLUEやGREENなど5色をそろえる。写真はRAINBOW FLASH 

もっとも、弱点がないわけではない。リチウム電池や基板、センサーを内蔵する以上、公認球と同等の性能を出すのは難しい。ツアーボールよりも打感はやや硬くなり、飛距離も若干落ちる。

「とはいっても、実際に打ってみると結果に大差ないケースがほとんど。クラブを一番手程度上げて調整すればそれなりにラウンドできると思います。なによりLED発光はラフに入ってもまずロストしない。ナイトゴルフでこのボールは最高の役割を果たしてくれます」

気心知れた仲間と目の前の一打を心から楽しむ――。ゴルフの遊戯としての側面を強調するナイトゴルフは、新たな文化として確かに根づきつつある。




執筆:モノクエ編集部
本記事は、創刊70年超のモノづくり専門紙「日本物流新聞」の編集部が制作しています。製造業に精通した専門記者が、現場取材に基づいた正確で鮮度の高い情報をお届けします。(日本物流新聞2026年7月25日号掲載)





(日本物流新聞2026年8月10日号掲載)