【REPORT】 第5回 関西物流展

ほんのひと昔前まで、ケース自動倉庫はスタッカークレーンがラックの間に敷かれたレールを走りワークをハンドリングするイメージだった。今もそれがボリュームゾーンではあるが、昨今は搬送ロボットを用いたより柔軟で能力の高い自動倉庫が続々と生まれている。物を早く大量に、しかもなるべく柔軟性の高い設備で捌きたいという無茶な要求に新たな自動倉庫が応えている形だ。

【画像1】タイトルイメージ(ラピュタロボティクスのラピュタASRS)
【画像2】スター精機のパレタイザ—「PXT-1220A」
【画像3】「SIGNAS」杉田正樹常務

自動倉庫の新たなカタチ、24年問題対策も

この分野の先駆者・オートストアシステムは、関西物流展でも能力的に進化した新たなオートストアを披露。中国・HAI ROBOTICSの日本法人HAI ROBOTICS JAPANもスタッカークレーンに代わる新たなACR(ケースハンドリングロボット)を実演した。

ラピュタロボティクスのラピュタASRS

ラピュタロボティクスの自動倉庫「ラピュタASRS」も人垣を作った。昨年8月に発売。複数の薄型台車型ロボットが庫内を動き、100V稼働のエレベーターとも連携しつつ縦横無尽にワークを入出庫する。強みはAMRの知見を転用した群制御AIで、多数のロボットを効率的に動かす。倉庫の躯体はブロックのようにねじを使わず組み上げられ、かつアンカーレス。地震の不安も「三井化学と共同開発した素材を使っている。しなってエネルギーを逃がす免振構造だ」と一蹴する。「能力と保管効率を同時に追求した製品。すでに2件導入が決まっている」

仏・EXOTEC社の日本法人EXOTEC NIHONはすでにこの分野でのプレゼンスをかなり高める。展開する「Skypod」はラックの内外を高速でロボットが走り高い能力で知られる。しかし担当者は「ソフトの更新でロボットの走行経路を効率化しより能力が上がった。大規模ユーザーを中心に導入実績も増えている」と話す。「競合も増えているが、世界3カ所のコントロールセンターにお客様の現場と同じ設備を、セキュアな環境下にデジタルで完全再現して24時間監視する。ユーザーが異常に気付く前に問題をフィックスする例も多く、予知保全もできる。稼働率98%を10年間保証しており、ここまでできるメーカーはそうないだろう」

■2024年問題でパレタイザーに関心

猶予期間が終わり、影響が顕在化しつつある物流の2024年問題。会場では「猶予期間の終了で、逆に心理的な余裕が生まれたのか対応を急がなくなった企業も多い」と率直な声も聞こえたが、少なくとも長期的にはさらなる物流のひっ迫が予期される。ここに焦点を当てた展示も見られた。

強化段ボールによる梱包に強みを持つナビエースは、強化段ボールをパレットに転用した「ナビパレット」を展示。「労働時間の確保のためトラックの手積み・手下ろしからパレット輸送に切り替えたいという相談が多い。パレットは様々な種類があるが、環境性能などトータルで段ボールパレットに優位性がある」という。

同社の試算では、LCAでのCO2排出量は樹脂で素材1kgあたり5.8kg。段ボールは同0.7kgと少なく、樹脂より軽いため輸送時のCO2排出も少ない。「国内ではレンタルパレットが流通するが輸送先から戻らないことも多く、片道パレットとして段ボールパレットを提案している。CO2排出削減は今後必ず求められる要素。小さな削減効果でも積もれば大きい」と早期の切替を呼びかける。

「2024年問題の影響はすごくある。売れ行きは非常に好調だ」。そう話したのはスター精機の担当者。射出成形機の取出に用いる直交ロボットが同社の主力だが、近年は物流向けに直交ロボットを用いたパレタイザーを展開。会場でも低全高の「PXT-1220A」を出品した。「特に大阪は天井が3m以下の現場が多く、高さが低い我々のパレタイザーが重宝される。ドライバーが積み替えを行っていた現場も今後はそうはいかず、非常に需要が増えた。新たな柱に育ちつつある」

売れ行き好調というスター精機のパレタイザ—「PXT-1220A」。キャスター付きな点もマルチテナント型物流施設の支持を得る

一方、THKのパレタイザーユニットはZ軸を多段スライドにすることで、上部のでっぱりを抑制。天井の低い現場にも設置可能とした。折りたたみも可能で間口が狭い場所にも搬入が簡単。担当者は「2024年問題に対応したいが、天井や間口の条件で自動化できていないユーザーにも提案できる」とした。同社は砂利道など悪路を再現したコースで搬送ロボット「SIGNAS」も実演。杉田正樹常務は「最大積載可搬重量500kgのサインポスト式搬送ロボットで、ラフな悪路も走行可能だ」と話す。サインポストを絶対的なマーカーにすることで、悪路で多少スリップしても自己位置を補正できるためだ。

「SIGNAS」の日本機械学会優秀製品賞受賞をアピールする杉田正樹常務

をくだ屋技研は誕生60周年を迎えた「キャッチパレットトラック」に後付できる2024年5月1日発売の走行アシストユニット「電動アシスト付キャッチパレットトラック」を披露した。担当者は「オール電動式はスイッチ操作でぐっと走り出すので『怖い』と感じる作業者もいる。体の動作に合わせてモーターを動かすこの製品なら、そうした方も使いやすい」とする。

治具・マシンバイスなどでお馴染みのナベヤは「輸送防振パレット(NBK防振パレット)」をPR。同社は半導体装置などの防振材を製造していたが、それをパレットに展開。「木製のほか、強化段ボール・スチール・EPSなど材質や価格に合わせて防振材を選定できるのが強み。防振ゴムに比べ防振効果と寿命が長い。自然環境下で数十年単位で使える」という。エアサストラックに比べ防振効果が高く、エアサストラックをチャーターするより路線便で輸送防振パレットを使う方がコストメリットが高いと訴求する。

寺岡精工は関西地区に多い製造業を対象に出展。参考出品の「低床2マルチピッキングカート」は展示会初披露だ。高さのある段ボールやオリコンを載せられる低床仕様(摘み取り作業用)で「かさの大きい製品はすぐに出荷箱が満杯になり、箱交換の手間が必要。低床にすることでキャパシティーを拡げ、170サイズの段ボールや番重を10段重ねられる」とする。昨年リリースした「カウンティングカート」は手前に軽量アイテム用に特化したカウティングスケールを搭載し、パーツセンターや部品工場の要望に応える。

■関連記事LINK(日本物流新聞ONLINEにリンクします)



(1)HAI ROBOTICS JAPAN 新井 守 社長インタビュー


(2)オートストア システム マネージングディレクター 安高 真之 氏 インタビュー

(日本物流新聞 2024年4月25日号掲載)

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