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食品工場スマート化総合展、大阪で開幕

投稿日時
2026/09/28 08:00
更新日時
2026/10/22 14:55

業務用食品の総合見本市「FABEX(ファベックス)関西2026」(主催:日本食糧新聞社)が10月14日〜16日の3日間、インテックス大阪で開催され、3万730人が来場した。なかでも、本紙(日本物流新聞社)が特別協力する合同開催イベント「第4回 食品工場スマート化総合展」に大きな注目が集まった。

「仮に完全無人化で24時間フル稼働が叶ったとしても、過剰供給に陥るだけだ」――。恩地食品の恩地宏昌社長はそう指摘する。グローバル市場に活路を見出せる一般の輸出型製造業とは異なり、日持ちのしないデイリー食品をはじめとする食品業界の多くは、国内の人口減少(需要縮小)がそのまま市場の天井となる。そのため、ロボットやAIへの巨額投資を「生産量の飛躍的拡大」によって減価償却していく、従来の投資回収モデルが成立しにくい構造にある。

今、食品現場における自動化・省力化の目的は、規模を追う「拡大」から、人口減少社会における緩やかな縮小をいかに支え、生産体制を「適正化」していくかという方向へシフトしている。同展では、一足飛びのフルオートメーションではなく、こうした食品現場のリアルな実情と働き方改革と軌を一にする、地に足のついたソリューションが顔を揃えた。

フレアオリジナルは、EPSON製スカラロボットを活用した食品業界向けの自動化システムセル「箱詰め装置」をデモ実演した。EPSONとSMC、NIC、同社の4社共同開発によるもので「現状、人手で箱詰めしている作業を自動化し、従業員やパートを『考える業務』に振り向ける狙い」(池田頼昭 関西エリアマネージャー)。パッケージ提案ながらも、顧客の要望に応じて仕様を個別に調整可能で、柔軟にカスタマイズ設計できる。

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フレアオリジナルは4社合同で開発した自動化パッケージで、箱詰め作業の自動化を提案

「今年7月には『サンクゼール』の新工場に、梱包用の瓶の整列・搬送工程に導入され現場の生産性向上に寄与した」とセールスグループ・林髙文氏は最新事例を紹介。特長はベルヌーイチャックによる非接触・低荷重ハンドリング技術で、エア吸着により、表面が繊細な食品や形状が不安定なワークも傷つけずに多数・高速搬送できる。人手不足に悩む食品メーカーの働き方改革を後押しする。

ユニバーサル産業は、物流・梱包作業の自動化・省人化に貢献する自動梱包機「MS-GT-JX」を訴求する。大前和夫社長は「倉庫や出荷場の人手不足解決に目を付けた」とし、同機は段ボール箱をPPバンドで自動結束する装置で、結束力(締め付け力)をタッチパネル上で容易に調整・表示できるのが特長だ。1分間に約100回とスピードも速い。「中東情勢の不安定化でPPバンドの価格が上がっている。来場者からも問い合わせをいただいたが、我々は在庫があり当分はこれまでの価格を維持できる」と話す。「今展示会に訪れて問い合わせいただいたユーザーにはキャンペーン価格で提供する。非常に魅力のある価格を提案できるはず」と力を込めた。

台車と脚立の機能を1台に集約した「ピックカート」を出展したのは山善。従来、背の高い固定棚の上段から物を取り出すには台車と脚立の両方を運ぶ必要があったが、同製品は運んだ先で脚立として活用できるため作業効率が向上。さらに従来は手が届かなかった上部空間に棚を1段増やすことで、積載容量も3割強上げられるケースがある。上部空間をうまく活用することで棚の設置面積自体も節約可能だ。担当者は「発売から3年で納入台数も400台弱まで積みあがった」と話す。

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山善のピックカート

水溶性塗料で段ボールの自動パレタイズができる「YZロボット Pシリーズ」も参考出展。段ボールの底面4カ所に水溶性接着剤をロボットで塗布することで、省スペースでパレタイズを行うシステムだ。従来は段ボールをパレタイズした後に荷崩れを防ぐためストレッチフィルムで何重にも梱包するが、作業負荷が高いうえ梱包に広いスペースも必要だった。水溶性接着剤は水平方向からの力に強いが垂直方向には軽い力で外れる特性を持っているため、「荷崩れを防ぎつつ荷をほどく時は綺麗に剥がれる。フィルムなどの廃棄物も減らせる」という。「特に荷崩れリスクの高い飲料のパレタイズに向く。パッケージでの提供は2027年度予定だが、接着剤の塗布装置など装置単位の提供はすぐにできる」(担当者)

■来年「NEXT FOOD OPERATION」ヘ一新

象印チエンブロックは食品工場の荷役を想定し、錆に強いステンレス製フックを採用し、本体の塗装もメッキに変更した各種チェンブロックを出展。上部のレールを走るための車輪にもステンレス製を採用し、走行時のホコリの落下も受け皿で防ぐなど随所に工夫を施した。こうした仕様はいずれも特注で、顧客の要望や予算に応じたカスタマイズが可能だ。担当者は「よりクリーンな機器を望まれる場合はチェーンに蛇腹状のカバーを付加するなど柔軟に対応できる。昨今の法整備を背景に、標準品を使っていた食品メーカーも特注仕様に切り替える例が増えている。我々も提案を強化中だ」とした。

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象印チエンブロック

規模の拡大(大量生産)を前提とした「作るための自動化」が通用しなくなりつつある今、食品工場に求められるのは「残すための自動化」へのマインドチェンジだ。ロボットや最新設備を単なる「人の代替」として導入し、無理に稼働率を上げるのではなく、歩留まりの向上や廃棄ロスの削減、従業員を付加価値の高い『考える業務』へシフトさせるための適材適所な省力化こそが、人口減少下の適正な利益確保につながる。

さらに今後は、製造ラインの「部分最適」にとどまらず、上流の需要予測から下流の物流・出荷(バックヤード)まで、サプライチェーン全体をデータで連携させる「全体最適」の視点が不可欠になる。

こうした業界の構造変化を見据え、FABEX関西は来年、スーパーマーケットなどを対象とする「フードストアソリューションズフェア」との合同開催に移行する。スーパーマーケットのバックヤードから食品製造ラインまで、食のサプライチェーン全体をカバーする展示会へとリニューアル。「NEXT FOOD OPERATION(ネクスト フード オペレーション)」と名称を改め、2027年9月8日〜10日にインテックス大阪で開催される予定だ。






マテハン・コネクト会

食品工場スマート化総合展に初出展

有力6社が模擬ライン構築、「工程間の連携不足」解消へ


「試食いかがですか――」。全国各地の食材や製パン・ラテアートのコンテストで華やぐ業務用食品の見本市「ファベックス関西」。そのメイン通路で、金属の駆動音とともに異彩を放つ搬送ラインが現れた。アムンゼン、オークラ輸送機、オムニヨシダ、河原、大有、をくだ屋技研の有力マテハンメーカー6社により今年6月に発足した「マテハン・コネクト会」が、インテックス大阪で10月14〜16日に開催された「第4回 食品工場スマート化総合展」(ファベックス関西構成展)に初出展した。

単体機器や単一工程の自動化だけでは解決しきれない現場課題に対し、メーカーの垣根を越えた連携を掲げる同会が照準を合わせたのが食品製造分野だ。人手不足が深刻化する一方、全体を取りまとめるラインビルダーや生産技術エンジニアの不足から「工程間の接続(コネクト)」がボトルネックとなっていた食品現場へ、6社合同の実機模擬ラインを通じて実践的な解決策を提示した。

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会場の様子。様々な搬送の困りごとが持ち寄られた

同会は「1+1=∞〜“人手不足”解消のヒントがここにある!」をテーマに掲げ、食品工場の実工程を想定した2系統の模擬ラインを構築した。代表幹事を務める大有の田中良和社長は、「メーカー間の競争ではなく、共創でユーザーに付加価値を提供したい。現場には必ず『流れ』があるため、我々が点ではなく線や面で応えることが重要になる。また代理店にとっても、単なる相見積もりではなく、建設的な提案営業が可能になる」と意義を語る。

1つ目の「上下階+水平方向のパレット搬送ライン」では、オムニヨシダの垂直搬送機(パネル展示)と、をくだ屋技研の搬送機「キャッチパレットトラック」の連携を提示し、階層を跨ぐパレット荷役から水平搬送へのスムーズな受け渡し動線を可視化した。をくだ屋技研の岩本弘嗣営業部次長は「ステンレス製や、約70%が水で構成された専用作動液『エネスイ』を活用した製品はクリーンな食品工場に最適。単体製品を求めるユーザーだけでなく、他社とのコラボによって『お困りごと』から潜在ニーズを掘り起こせる」と語る。オムニヨシダの市丸湧氏も「自社の垂直搬送機から離れた課題を頂いても従来は提案が難しかったが、同会のつながりがあれば幅広い解決策を提示できる」とし、今後のさらなる協調に期待を寄せる。

もう1つの「袋体の受入・粉砕・投入ライン」は、製パン・製菓などで負担の大きい粉体原料のハンドリングに着目。アムンゼンのバキュームリフター「イージーリフト」による重量袋の吸着昇降から、河原のリフトテーブルとオークラ輸送機のフリーコンベヤを組み合わせた適切な作業高での水平移動、さらに大有の袋体ブレーカー(解砕機)と山善の袋体投入シュートによって、原料のほぐし・投入までを一連のプロセスとして直結。原料投入の重筋作業を大幅に軽減する具体策を示した。

各社の出展手応えも上々だ。河原の森将英名古屋支店課長は「一体化提案により、ユーザーが自ら機器構成を考える手間が省け、パッケージとして直感的に理解してもらえる。単体の値段を聞きに来た方とも、その先の工程まで見据えた商談が可能となった」と語る。

オークラ輸送機の宮脇邦明統括部長も「従来のもの売りではなく、こと売りやソリューション提案に繋がるような取り組みになったと感じた」と賛同する。加えて、「メーカー単独ではお声かけいただけないお客様と繋がる良い機会になった」と出展の手応えを覗かせた。

アムンゼンの田中吉孝氏は「食品自体の展示が多い会場だが、モノを運ぶことに困っているニーズは確実にある。他社と同じブースで出展することで前後の工程まで見え、自社で解決できない課題も他社へつなぎやすくなった」と合同出展の強みを強調。「女性やシニアにも力仕事を担ってもらわなければならない時代になり、現場は深刻に困っている。実機に触れてもらうことで、具体的な一歩を踏み出すきっかけを提供できた」と手応えを口にした。

田中代表幹事(大有)は、「『こういう機械が欲しい』という単なる引き合いではなく、『こういう作業を楽にしたいが、どうすればいいか』という本質的な課題を数多く頂けた」と振り返る。専門のマテハン展には足を運ばないものの、深刻な悩みを抱える中小食品工場に対し、「食材を探しに来たついで」という絶好のアウトリーチを果たした格好だ。



(日本物流新聞2026年10月25日号掲載)




執筆:モノクエ編集部
本記事は、創刊70年超のモノづくり専門紙「日本物流新聞」の編集部が制作しています。製造業に精通した専門記者が、現場取材に基づいた正確で鮮度の高い情報をお届けします。