インタビュー
オリオン機械 副部長 大竹 史哲 氏
データセンターを外気の力でエコに冷やす
- 投稿日時
- 2026/07/10 09:00
- 更新日時
- 2026/07/13 13:31
フリークーリングチラーという選択肢
爆発的なデータ量の増加に伴い、データセンターの発熱量は上昇の一途を辿っている。冷却水の温度基準も年々上昇し、フリークーリング(外気冷却)を活用したチラーへの引き合いが急増しているという。オリオン機械の冷熱・空圧システム事業部副部長・大竹史哲氏に、データセンター市場の最新動向と同社の戦略を聞いた。

オリオン機械 冷熱・空圧システム事業部副部長 大竹 史哲 氏
――データセンター向け冷却機器の市場環境をどう見ている。
正直、私どもはデータセンター分野では後発です。FCMC55Aを2021年に発売した当初は設定温度範囲(15~35℃)では温度が高すぎて使用は限定されると言われていました。近年は冷却効率や液冷ニーズの増加により水温の基準が上がってきているため、フリークーリング機構によるメリットが増加する環境となっていることもあり、引き合いは間違いなく増えています。
――どれくらい水温の基準が上がってきているのか。
発売当時は、空冷が主流だったこともあり、水温15℃でも温度が高すぎると言われていましたが、近年では空冷用途でも22℃程度で良いという声も聞きます。液冷用途についてはお客様によって様々で、20℃台後半から35℃まで幅があります。冷却効率、つまりPUE(電力使用効率)の観点で、いかに補機分の電力を小さくするかが重要になってきています。

フリークーリングチラー「FCMC150A」
――規模別に見ると、引き合いはどのあたりから来ていますか。
コンテナ型やモジュール型等の1〜2㍋ワット規模の案件が多いですが、ハイパースケールの話もゼロではありません。
――海外メーカーが強いとも聞く。
ハイパースケール案件では海外製チラーが多く導入されていると聞いていますが、非常に大きいサイズであることもあり、運搬が大変と聞きます。また円安により導入コストもかなり上がっていると聞きます。
その点、当社のFCMCシリーズはモジュール型なので運搬も比較的簡単ですし、導入コストも下げられますので、昨今増加しているエッジやコンテナ型のデータセンターにもしっかり提案していきたいと考えています。
――55キロワット機(FCMC55A)に加え、150キロワット機(FCMC150Aを開発した経緯は。
現場からの声によるものです。FCMC55Aは工場のセントラル設備用チラーとして発売しましたが、15馬力では小さすぎるという声が少なからずありました。大規模案件では台数が多すぎるという理由で、採用が見送られるケースもありました。
そこで大型機の開発に踏み切りましたが、150キロワット機はデータセンター向けでの反応が良く、一定の手ごたえを感じています。150キロワット機は今年4月に発売し、すでに出荷実績も出ており、55キロワット機との相乗効果によるFCMCシリーズとして更なる販売増加を期待しています。
――競合他社との差別化ポイントは。
モジュール型チラーとして考えた場合、やはり最大の特徴である空冷式フリークーリング機構を搭載したハイブリッド型というのが差別化ポイントです。
■年間消費電力に大きな差
――大手メーカーは冷却能力の選択肢が豊富だが。
当社は15馬力と40馬力の2機種のみですが、フリークーリング機構による省エネ性能を最大の強みとして、ランニングコストでお客様にメリットを実感していただき、選んでいただく戦略です。
――省エネ効果はどの程度見込めるか。
使い方によって全く変わります。当社製品は液温15℃から35℃まで対応可能ですが、たとえば15℃で使う場合と30℃で使う場合とでは年間消費電力に大きな差がでます。15℃の場合と比較すると、30℃の場合ではフリークーリング機構で冷却できる領域が広がるため大幅に年間消費電力が削減できます。
――モジュール型のメリットは。
まず冗長性です。複数台構成にすることでリスクを分散できます。よく言われるのが「N+1」、最近では「N+2」という考え方で、1〜2台余分に導入しておけば、1台が停止しても他でカバーできます。増設のしやすさもメリットです。国内では屋外に大型設備を設置する場合、自治体への許可申請が必要になることもありますが、モジュール型は個別対応がしやすい面もあります。
――貴社は全国的なサービス網を構築しているが。
お客様からよく言われるのは、自社サービス網で対応できる安心感です。特にこの業界に限った話ではありませんが、サービス体制はお客様が不安を解消する要素になっています。
――今後、受注増となれば生産体制にも変化があるのでは。
大規模案件が続くとなると、当社の現状の生産能力ではカバーしきれない可能性もあります。市場動向や引き合い、受注を見極めつつ増産できる体制を整備していきたいです。
(日本物流新聞2026年7月10日号掲載)