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インタビュー

西川産業 代表取締役社長 西川 正一 氏 
社員を守る環境改善投資が活況

投稿日時
2026/06/23 09:00
更新日時
2026/06/26 13:37

国内経済「なかなか良い線いっている」

生産財商社の西川産業。西川正一社長は国内経済を「総じて悪くない。良い線いっている」と力強く語る。自動車業界のライン投資がいまだ鈍い中でも、半導体や防衛、エネルギーなど活況な分野が生産財需要を牽引する。職場の快適性を高める環境改善機器への投資も活発だ。直近の景況感を聞いた。

――本日(取材日は6月15日)米国とイランの合意が発表され、生産財市場には明るいニュースでした。貴社の顧客も品薄など影響が出ていたのでは。

「この4~6月、皆さん困り果てて暗い顔だったかと言うとそんなことはありません。モノづくりも消費もちゃんと動いています。オイルショックのような買い占めもなく非常に冷静。メーカー側も『仮需』であることを見抜いており、受注制限をかけるなど良い節度が働いています。中東情勢を受けて一気に経済がしぼむような実感はありませんでした」

――西川社長はかねて、国内市況を「なかなか良い線いっている」と表現されています。

「総じて悪くないですよ。悪い方にばかり目を向ける人の声を聞いてはダメです。良い話をしないと社員を鼓舞できませんし、何より統計数字という事実がそれを示しています。 国や地方の税収は増えており、付加価値の総額たる名目GDPは5年連続、企業の申告所得額も4年連続で過去最高を更新しました。事実に目を向けず勘に頼れば声の大きい人の話ばかり前に出ますが、今の日本経済はなかなか良い線いっているのです」

――実際、国内には活況な産業が複数あります。

「まず電子機器や半導体が2025年に続き好調です。半導体製造には検査、切断、洗浄、露光、運搬、クリーン装置など幅広い技術を要し、この周辺分野に日本のメーカー群がしっかり残ってくれています。こうした設備投資が機械工具業界にプラスに作用しており、今年も引き続きプラスが見込めます。航空機や原子力も好調です。原発は続々と再稼働を始めていますし、老朽原発を建て替える政府方針も発表されました。数年後、関連企業に大量の注文が来るわけです。予算が潤沢な防衛産業でも加工需要が始まっています。造船各社も潤沢な注残を抱え、サプライヤーへ追い風が吹いています」

――日工会は工作機械の26年の受注見通しを、1兆7000億円から2兆円へ上方修正しました。

「今のペースなら2兆円を超えます。外需が1兆5000億円を占めますが、内需も年間5500億円と決して悪くない。以前は自動車業界の良し悪しで工作機械が浮き沈みしましたが、今は自動車の投資が鈍い中でも堅調な内需が見込める。これは調子の良い他の産業が工作機械を調達しており、裾野が広がったからです。これこそ日本のモノづくりの強みであり、企業が『自分たちも変化しなければ』と感じて投資に動いている証拠です」

――自社を良い方向に転換すべく投資する企業が増えている。

「人手不足を補う自動化投資や、生産性の悪い古い機械を最新機に置き換える動きが目立ちます。空いたスペースに最新設備が入れば、若い担当者は生き生きと張り切りますよ。逆にベテランしか扱えない古い機械をいつまでも残していては現場に閉塞感が漂います。国の助成金はまさに変化を促すメッセージ。私はこれを使わない手はないと思っています。めんどくさいと言っている経営者は、厳しいようですが生き残れません。めんどくさいことをするから前に進めるんです」

■社員が会社を選ぶ時代に

――環境改善機器への投資も好調と聞きます。

「『社員を守る』という企業の意識が目に見えて高まっています。昨年6月に始まった罰則付き規定で、企業に社員の身の安全を守る明確な管理責任が課されました。 21世紀に起きた最大の転換は、会社が社員を選んで採用する時代から、社員が会社を選ぶ時代に180度切り替わったことです。転職情報も簡単に手に入ります。良し悪しは別にこの事実を受け止め、企業も考え方を変えねばなりません。暑い日本の夏に、健康を守る姿勢を示す企業とほったらかしの企業では、人材の定着に大きな差が生じます。今年から気象庁が40℃を超える日を『酷暑日』と定めたように、過酷な日は現実として増えています」

「今まで環境改善は優先順位が下でしたが、コストでなく投資と考えるべきです。コストは下げる意識が働きますが、これは大切な『人財投資』。快適に働いてもらい生産性を上げるための投資です。職場環境整備に関する補助金も大いに活用すべきでしょう。当社も、軽自動車で外回りをする営業社員から『夏の車内はすぐに冷えないため空調空冷服が必要』と要望があり、希望者に提供していますよ」



(日本物流新聞2026年6月25日号掲載)