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インタビュー

鶴見製紙 専務取締役 里和 矩行 氏 
【現場をCONNECT(つなぐ)】アイコムのAI搭載インカムアプリが24時間稼働の製紙工場を変えた

投稿日時
2026/07/21 13:22
更新日時
2026/07/22 14:31

断線ゼロ、聞き逃しゼロ、伝達漏れゼロへ

アイコムが昨年7月にリリースしたAI搭載インカムアプリ「ICOM CONNECT」に注目が集まっている。スマートフォンにアプリを入れるだけで、通信用の専用端末を持たずにリアルタイムのグループ通話や文字情報の共有ができるもので、携帯電話回線やWi-Fiを使うため、離れた拠点も距離を気にせず一つのグループでつなげる。この新たな通信ツールを業界に先駆けて現場に採り入れたのが、埼玉県川口市に本社を置く鶴見製紙だ。関東に供給されるトイレットペーパーのシェア約4分の1を握る同社は、近年DXを軸に労働環境の改善を進めてきた。ICOM CONNECTは同社の現場に何をもたらしたのか。導入を推進した専務取締役の里和矩行氏に話を聞いた。

――まず、ICOM CONNECTを導入するに至った背景を教えてください。

きっかけは、古紙の原料受入チームで使っていたアイコム社製のトランシーバーです。当社本社工場は搬入トラックの受付と荷下ろし場が離れており、車両の到着連絡に無線を役立てていました。運用していく中で、製造サイドから「この仕組みを製造オペレーターの業務にも広げれば、もっと効率よく動けるのではないか」という声が上がってきました。

とはいえ、工場内では大型機械が絶えず大きな音を立てながら動いていて、しかも両手を使う作業も多い。従来型の有線で耳を塞ぐタイプのイヤホンでは、声を掛けても聞こえづらいうえ、作業中にケーブルが機械に引っかかる心配もありました。安全面での不安が拭えず、導入に踏み切れずにいました。そこで、製造現場でも安心して使える製品はないかと相談したところ、提案されたのがICOM CONNECTでした。

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ハンズフリーで通話でき、両手を使う作業も安全に行える 

――数ある選択肢の中から導入した決め手は。

ICOM CONNECTはスマートフォンで動くアプリケーションです。当社では全社員に1台ずつiPhoneを貸与済みだったので、導入にあたり行ったのはアプリを入れるだけでした。会社としては新たに専用端末をそろえる負担がなく、現場サイドとしても持ち歩く道具が増えないことが、導入ハードルを大きく下げてくれました。

また、相談の後すぐにデモ環境を用意していただくなど、検証へのスピード感が早かったことも好感が持てました。カタログ上の説明ではなく、現場で「これは使える」と手応えを得られたことが即決につながりました。

■本社・沼津の2拠点で約60アカウント運用

――現場ではどのような体制と機器で運用していますか。

今は本社と沼津工場の両拠点合わせて、およそ60アカウントを運用しています。アプリと組み合わせているのが、併せて導入したワイヤレスの骨伝導タイプのヘッドセットです。製紙工場は大型機械の稼働音が大きく、声を張っても聞き取りづらい場面が多い環境なのですが、骨伝導であれば耳をふさがず、周囲の状況を確認しながらハンズフリーで話せます。ノイズキャンセリングの性能も高く、騒音の中でも発言がクリアに相手へ届くと聞いています。

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聞き取れなかった内容も、トーク画面を後から確認できる 

――現場の反応はいかがですか。

導入前は「操作に慣れるまで手こずるのではないか」と身構えていました。ところが実際は、細かく機能を教えなくても直感的に扱えるようで、1週間ほどで現場に馴染み、良い意味で拍子抜けしました。

短期間で浸透した背景には、現場がメリットを実感しやすかったこともあると思います。「ケーブルの引っ掛かりや断線を気にせずに作業ができる」「機械の近くでも音声がはっきり聞こえる」といったことはもちろんですが、このヘッドセットは耳をふさがないため、装着したまま通常の電話にも出られます。受付や管理者は社外からの電話を受けることも多く、従来は電話のたびにイヤホンを外して、終わったら付け直していました。こうしたちょっとした手間や負担を、ICOM CONNECTなら減らせる。だから現場も、業務改善の一環として仕方なく装着するのではなく、働き方をスマートにするアイテムとしてポジティブに受け止めたのだと思います。

■グループ通話で伝達漏れが解消

――組織としての変化はありますか。

まず、情報の伝達漏れが解消されました。従来の現場では電話を使用していたのですが、電話は11でしか話せない。誰かに伝えた内容を別の担当者にもう一度伝え直す必要がありました。たとえばマシンのメンテナンス業務は3人一組で動くのですが、以前は1人ずつ電話でやり取りをしていました。一斉連絡ができるようになったことで、一度の連絡で関係者全員に情報が伝えられ、伝達漏れや情報の齟齬が減り作業の質が高まりました。

管理する立場としてありがたいのが、文字起こし機能です。当社の工場は24時間稼働なので、現場にいない時間も発生します。その時間帯の通信内容を、ログとして後から追える。状況把握はもちろん、シフト間の引き継ぎにも活用できるので、24時間動き続ける現場を管理するうえで欠かせない機能になっています。

こうしたコミュニケーションの深化による好影響は、社外との接点にも表れています。古紙の搬入では1日に7080台ものトラックが出入りします。時間が重なることも多く、情報連携がうまくいかないと現場がパンクし、ドライバーさんに迷惑をかけることになります。ICOM CONNECTによってリアルタイムの連絡が取りやすくなり、荷受け場での受け入れ準備などの前さばきがしやすくなりました。結果として、ドライバーさんを待たせる時間も短くなっています。

――今後の展開について聞かせてください。

当面は、アカウント数をさらに拡大していきます。現在は経験の長い中堅メンバーを中心に配布していて、新人などまだ行き渡っていない部分があるので、最終的には全従業員が使える体制を目指します。

――外国籍の方も多い貴社では、そうした方への展開も視野に入りますね。

そうです。ICOM CONNECTには同時通訳機能が付いています。当社では夜勤も含めて外国籍のスタッフが働いており、そうした仲間との連携をさらに深めたい。日本語が得意でなくてもアプリ上で翻訳できるようになったので、この機能を現場に広げていければと考えています。




AI搭載インカムアプリ「ICOM CONNECT」とは? 


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アイコムのAI搭載インカムアプリ「ICOM CONNECT

無線通信機器メーカーのアイコムが手がけるAI搭載インカムアプリ。AndroidiOS対応のスマートフォンにアプリを入れるだけで、専用端末を持たずに11の通話や複数人への一斉連絡ができる。会話はリアルタイムで録音・文字起こしされ、聞き逃しの防止や業務の引き継ぎに役立つ。ほかにも、合成音声による27言語の同時通訳や、テキスト入力による音声発信、音声メモの自動整理・要約など多彩な機能を備える。さらに同社製IPトランシーバーとも連携でき、既存の無線環境を生かしながら拡張できるため、業種やシーンに応じた柔軟な通話システムを構築できる。



(2026年7月21日MonoQue掲載)