インタビュー
ナノオプト・メディア 社長 大島 康彰 氏
爆発的に拡大するAIインフラ産業
- 投稿日時
- 2026/05/25 09:00
- 更新日時
- 2026/05/27 14:53
データセンター業界が大いに盛り上がっている。それに関わる機器やサービスを集めて東京・港区の産業貿易センター浜松町館で開かれた「Data Center Japan」(3月24・25日、日本データセンター協会主催)には昨年より47多い182社・団体が出展。2日間で同1.6倍の8677人が訪れた。その立役者と言える、共催のナノオプト・メディア(2000年設立、東京都新宿区)に盛況の背景を聞いた。

8年ほど前から都内の施設でボルダリングをしているという大嶋康彰社長。「登山とちがい、割と短時間で頂上にたどり着けるので手軽に達成感が得られますよ。天気にも左右されず花粉症でも大丈夫です」
——Data Center Japanが2回目を迎え、大変な盛り上がりでした。
「背景にはデータセンターの建設ラッシュがありますが、その前提として近年の生成AIの爆発的な普及がトリガーになっています。ビッグテックであるマイクロソフト、グーグル、アマゾンさんは日本のユーザーさんにサービスを提供するために日本側にデータセンターをきちんと作ろうとする動きがあれば、国内のデータセンター事業者さんが新規で施設を構築する流れもあります。最近はこれらの大規模な投資話をあちこちで耳にします。AIインフラ産業が爆発的に伸びつつあるのはその構成要素が広範囲に及ぶからです。建物の建設、電力、配管などのファシリティー、コンピュータやネットワーク機材、冷却装置、センターの中を動くロボット、ソフトウェア、あとは物理的なセキュリティもあればサイバーセキュリティ対策もあります」
——同展を共催することになった背景は。
「私が海外のデータセンター業界の催しを視察する機会があり、かなりの盛り上がりを見せていたということもあり、主催の日本データセンター協会さんに何か一緒にやりましょうという話をしたところ、ちょうど協会設立15周年を迎えるので何かやりたいということで、展示会を立ち上げることになりました。当社はInterop Tokyo(毎年6月に幕張メッセで開かれるインターネット技術展。約500社が出展)を運営している関係で、日本データセンター協会さんの中核メンバーの方々とは以前から一緒に仕事をしています」
——Data Center Japanは昨年が初回です。立ち上げ時は手間と時間を要すると思われますが、出展者や来場者集めは開催のどれくらい前から始められたのですか。
「話を始めたのが2024年5月のGWくらいのタイミングで、本格的に準備を開始したのは8月くらいから出展募集を始めました。年内いっぱいで諸々準備をして、年明けからは来場者周知を開始しました」
——貴社がデータセンターやネット技術の展示会に携わるようになったきっかけは。
「私はアメリカのネバダ州立大学ラスベガス校在学中にITトレードショー『COMDEX』にインターンシップで参加しました。ウィンドウズ95がアメリカで出た年です。その頃からこの分野に関わってきましたが、2024年にワシントンDCで開かれた『Data Center World』がすごく盛り上がり、日本でもブームが来ると予感しました。他の海外のデータセンター関連の展示会も急成長していますから」
——Data Center Japanの出展者、来場者誘致で工夫されたことはありますか。
「実は特別なことはしていません」
——となると今なにが流行りそうかをいち早く見つけることの方が大切だと。
「そうなりますね。やはり新しいビジネスチャンスが顕在化してくると、出展者も来場者も集めやすいです。今だとAIインフラ系とAI活用の分野のイベント業界はかなり活況を呈しています」
——あとはヒューマノイドロボット、フィジカルAI、防衛産業あたりでしょうか。
「防衛は少しセンシティブなので扱い方が難しいですが、注目はされていると思います」
■売り手と買い手が集う場
——Data Center Japanに話を戻すと、そのほかに特長はありますか。
「データセンターの事業者さんも出展されますので、売り手と買い手が両方出展していることが挙げられます。出展者、来場者に海外の方が多いのは、IT業界はやはり海外の方が進んでいるからでしょう」
——閉幕して2週間後に東京ビッグサイトで「データセンターEXPO春」が開かれました。意識されていましたか。
「もちろん存じています。当社では、いや展示会業界は会場ありきの部分が多分にあります。似たテーマの展示会はあまり近づけないようにはしていますが」
——産業貿易センター浜松町館を会場に選ばれた理由は。
「正直、選択の余地はあまりありませんでした。アクセスが比較的よく、都の施設なので会場費も高くありません。結果的にはすごく良かった気がしています。2回目を催すにあたり幕張メッセや東京ビッグサイトに引っ越そうかという話が持ち上がりましたが、日本データセンター協会さんが産業貿易センターをえらく気に入りました。羽田空港からもアクセスしやすく、新幹線の駅からも近く地方の方もわりと来やすいことがその理由です。もちろん弱点もあって、大規模展示場に比べると搬入出がしにくく、床がフローリングなので耐荷重は小さいです」
——来年はさらに規模を拡大されるそうです。
「今年より1フロア多い2・3・4・5階で開催します。1階のポートホールも使ってセミナーを催すので実質全館の使用になります。ただ、再来年以降はもうこれ以上、規模を大きくすることができません。そこが課題です。建設ラッシュを考慮すると、データセンター業界は少なくとも2030年過ぎまではこの勢いが続くと思います。端末側で学習などをさせるエッジAIの技術がありますが、大量のデータを蓄積させるには限界がありますから」

各フロアとも熱気に包まれたData Center Japan
執筆:モノクエ編集部
本記事は、創刊70年超のモノづくり専門紙「日本物流新聞」の編集部が制作しています。製造業に精通した専門記者が、現場取材に基づいた正確で鮮度の高い情報をお届けします。
(日本物流新聞2026年5月25日号掲載)