連載
けんかっ早いけど人が好き Vol.131 岩貞るみこ氏(自動車評論/作家)
- 投稿日時
- 2026/10/22 16:06
- 更新日時
- 2026/10/22 16:09
パンケーキ取材
先日、取材依頼のメールが届いた。そこには「甘いものでも食べながらどうですか?」と夢のような一文が添えられているではないか。はい! よろこんで! 即答の快諾である。メールには「ご都合のいい場所で」とあった。嬉しい気配りである。たしかに家や既存の予定から近い方がロスタイムはない。しかし、出不精な私としてはこういう機会に新たな経験をしたいという気持ちになる。

提供されてからバターを上に。幸せな光景。
このところあちこちの駅近に新たな商業施設ができている。開業直後はとんでもない人出になるのだが、一段落した今なら店もさほど混んではいるまい。よってその中のひとつを提示させていただいた。「お店はお任せします」と添えて。これはこちらからの気配りである。だって、最近はコーヒー一杯が目が点になるくらいの金額のところもある。小心者の私としては知らんふりして「ここ!」と指定などできないのである。
先方からメールが返ってきた。「パンケーキとハーブティの美味しいお店でどうでしょう」。読んで感激した。というのも、私の甘いモノ好き、粉物好きはあちこちで言いふらしているのだが、カフェインをあまりとらないことはそんなに言っていない(このコラムでは書いたけれど)。実は、「できればハーブティのあるお店がいいです」とメールに一言、添えればよかったと後悔していたのだが、そんな悶々とした思いを見越したかのようにハーブティの美味しいお店を選んでくれるなんて。神!
焼きたてのパンケーキは、ホイップされたバターがその場で盛られる豪華なもので、その時、私の目は間違いなくハート型になっていたはずだ。すると相手は「お話は食べてからゆっくり伺いましょう」と言ってくれるではないか。そうそう、パンケーキは温かいうちが美味しい。さらに、ホイップされたバターは、とろりと溶けはじめているのだ。溶けてしみ込んだバターも美味しいが、まだ固形状態のものが口のなかでパンケーキとほどよく混ざる感じもたまらなく好きだ。私は元気よく「はい!」と答えてばくばくといただいた。
ふだんの取材は編集部の会議室で紙コップの水で行われることが多いけれど、たまにはこんなご褒美取材に巡り合える。しあわせだ。
(日本物流新聞2026年10月25日号掲載)
岩貞るみこ(いわさだ・るみこ)
神奈川県横浜市出身。自動車評論のほか、児童ノンフィクション作家として活動。国際交通安全学会会員。最新刊に『こちら、沖縄美ら海水族館動物健康管理室。』(講談社)