1. トップページ
  2. 連載
  3. 港製器工業、ブロック塀倒壊リスクに高強度国産木製塀で挑む

連載

港製器工業、ブロック塀倒壊リスクに高強度国産木製塀で挑む

投稿日時
2026/10/13 13:48
更新日時
2026/10/13 13:52

防災と環境保全の両立へ

今夏、自然災害が各地で多発する中、住宅や工場の危機管理意識が高まっている。しかし、建物の敷地周辺やエントランス、工場敷地の境界に建つ老朽化したブロック塀の倒壊リスクは見落とされがちな盲点だ。

2018年に発生した大阪府北部地震では、ブロック塀の倒壊により登校途中の小学生の命が失われた。塀の倒壊はこうした人命への危害に留まらず、崩れた瓦礫が道路や敷地内の動線を塞ぎ、救急車や消防車の進入・救助活動を阻む深刻な二次被害も引き起こす。工場や事業所で緊急動線が遮断されれば、自社の復旧が遅れるだけでなく、地域社会の安全確保にも支障をきたす。

アルミの支柱と国産木面材を組み合わせた「スーパーフェンス」。施工性も高く、遮熱性能も実証済み

こうしたリスクに着目し生み出されたのが、港製器工業(大阪府高槻市)が展開する安全で倒れない塀「スーパーフェンス」だ。アルミ製支柱と最大厚さ25ミリの国産天然木面材を組み合わせたハイブリッド構造を採用している。開発した未来創生部の清永雅嗣氏は、「重いブロック塀とは異なり、地震時にも壊滅的な崩落を起こさない安全設計。最大耐風圧は秒速42メートル、高さも最大3メートルまで対応する」と話す。また、最大厚さ25㍉の木質面材は火災時に表面が炭化して内部への延焼を防ぎ、30分間の加熱試験でも高い遮熱性能が実証されている。さらに、独自の「偏芯基礎」により、敷地境界ギリギリに支柱を建てられ、敷地スペースを無駄にすることなく通常の2倍以上の耐力強度を確保できる。

施工のしやすさも工場や拠点の改修において大きな利点となる。従来のコンクリート施工は、鉄筋設置や生コンの養生などで工期が長引き、資材置き場の確保や操業への影響が課題だった。スーパーフェンスは支柱に木製面材を差し込む標準化された工法で職人による品質ブレが少ない。重機作業や天候による停滞も抑えられるため、工場の操業や物流ラインを止めることなくスムーズに工事が進められる。

清永氏は開発の原点をこう振り返る。「阪神・淡路大震災の時、知人の妹が倒壊した家で助けを待っていました。しかし、崩れたブロック塀の瓦礫が道を塞ぎ、レスキュー車が近づけないまま火の手が迫って命を落とされたんです。『あの塀さえ倒れなければ命は助かったかもしれない』。その無念が胸に深く残りました。二度と塀のせいで命を奪わせない。絶対に倒れず、避難を妨げない安全な塀を作るという誓いが私たちの原点です」

■森林保全・CO2吸収源にも

機能面や環境対応の高さも備える。木材の吸音構造によって周囲への騒音を20デシベル以上低減する(使用環境による)ほか、多摩産材などの地域材を活用することで、1スパン(1.8メートル×1.8メートル)あたり58キログラムのCO2固定化認証(とうきょう森づくり貢献認証制度)を取得している。

「無機質な壁から温かみのある木目デザインに変えることで企業イメージの向上にもつながり、木材の地産地消で地域経済への貢献も可能。東京都では多摩産材を使用する場合に施工費込みで約2分の1が補助される制度の対象にもなっている」(清永氏)。

普段は静かに佇んでいる構造物が、災害時には凶器や救護の足かせへと姿を変える。家屋や工場内部の防災・BCP構築だけでなく、敷地を守るはずの「塀」に潜むリスクにも目を向ける必要がある。

Rの時代_危険なブロック塀_234634809.jpg

倒壊する可能性が高い、老朽化して危険なブロック塀(例)

(日本物流新聞2026年10月10日号掲載)