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京町家を宿泊施設に再生、京都アンプリチュードなど25社連携

投稿日時
2026/07/01 15:31
更新日時
2026/07/01 15:34

伝統工芸とパナソニックの技術融合

京都中央信用金庫グループの地域商社「京都アンプリチュード」を中心に約25の事業者が連携し、京都市下京区で5年以上空き家だった築約100年の京町家2棟を宿泊施設「Ambiente(アンビエンテ) Kyoto」に再生した。伝統産業の素材とパナソニックハウジングソリューションズの先端技術を融合させ、地場産業の振興と空き家対策の両立を目指す。

同施設は、北棟「SUMI」(延べ床面積126平方㍍)と南棟「KYO」(同139平方㍍)の2棟構成で、いずれも2階建て。事業スキームは、医療福祉や飲食事業などを手がけるトキノホールディングスが物件を所有する事業主となり、京都アンプリチュードが中核となってリノベーションを企画・調整した。実運営は専門のホテル運営会社に業務委託する。トキノ社にとって古民家再生事業への参画は初となる。

絹織物ガラス建具

今回の再生にあたり、「新しい伝統工芸」をコンセプトに地元のモノづくり事業者20社以上が参画した。西陣織や京唐紙、箔を用いた壁紙のほか、漆塗りのテーブル、清水焼の洗面台などを随所に配置した。トイレの便器蓋に漆加工を施すなど、独自の試みも取り入れている。  

パナソニックハウジングソリューションズは、京都市内産杉材「みやこ杣木(そまぎ)」の挽板(ひきいた)を用いた床材や、内装ドア「AirView(エアビュー)」に京都産絹織物を挟み込んだ特注仕様を試験導入した。

柔らかい杉を床材に使うため、同社独自の「木質エイジング技術」と、開発中の「樹脂含浸技術」を応用して木材を硬質化させ、凹みや傷への耐久性を大幅に高めた。同社はこれまで国産材の突板(つきいた)は展開していたが、国産材を用いた挽板は初の試みとなる。経年変化を見極めながら本格的な市場展開を狙う。

同社の開発担当者は「天然素材だけでは日常の負荷による凹みなどの課題があり、実用性の維持が難しい部分がある。メーカーの技術やノウハウで補うため参画した」と説明する。  

絹織物ガラス建具を採用した「AirView」は、ガラス面を大きく確保したスリムなフレーム設計により、室内に豊かな光と圧倒的な開放感をもたらす建具シリーズ。空間同士のつながりを遮ることなく自然に演出するガラス部分に、京都アンプリチュードが提供した京都産の絹織物を挟み込んでいる。 

■深刻な空家問題が背景

背景には深刻な空き家問題がある。総務省の住宅・土地統計調査によると、全国の空き家数は1993年からの30年間で約2倍に急増しており、空き家率も上昇傾向にある。京都府内でも空き家率・空き家数ともに増加している。京都アンプリチュードは「京町家再生プロジェクト」を通じて、地域事業者との連携調整や企画支援を進めてきた。

改修前の町家は階段を踏み抜くほど老朽化が進んでいたが、地元の伝統産業やメーカー技術を結集し、意匠性と実用性を兼ね備えた空間に仕上げた。  

69日、関係者向けの内覧会が開かれ京都中央信用金庫の志賀紀之常務理事は「取引先であるトキノ社が事業主となり、京都北都信用金庫の取引先なども加わった広域連携で完成した。地域活性化に資する」と手応えを語る。トキノ社の山田哲大代表取締役は「京都の伝統を現代の雰囲気に合わせて表現できた。ぜひ見てほしい」と話す。  

リノベーション費用は非公開だが、伝統産業を活用した設備や建材のショールーム(商談・販売の場)を兼ねる前提のため、一般的な改修に比べ大幅に高価なわけではないという。

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挨拶する京都中央信用金庫・志賀紀之常務理事(左)、トキノホールディングス・山田哲大代表取締役 

(日本物流新聞2026625日号掲載)